【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.17】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NU0066
利用課題名 / Title
SISPテトラブロック共重合体のミクロ相分離構造の精密分析
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
ブロック共重合体、ミクロ相分離構造、TEM、TEMトモグラフィー、FIB-SEMトモグラフィー,電子顕微鏡/ Electronic microscope,集束イオンビーム/ Focused ion beam,異種材料接着・接合技術/ Dissimilar material adhesion/bonding technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
高野 敦志
所属名 / Affiliation
名古屋大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
樋口公孝
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NU-103:高分解能透過電子顕微鏡システム
NU-104:直交型高速加工観察分析装置
NU-105:バイオ/無機材料用高速FIB-SEMシステム
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
互いに非相溶な異種高分子同士が共有結合で連結されたブロック共重合体はバルク状態において10~100nm程度の周期を有する「ミクロ相分離構造」を形成する。その構造は構成成分の分子量、組成、結合様式等などの分子パラメータに応じて多様に変化させることができる。最近、A1BA2Cテトラブロック共重合体においてfA=0.7~0.8、fB=fCの条件で、2つのA鎖の比α=fA1/fA2を変化させると棒状タイリング構造やらせん状構造を形成することが報告されている。その中でも、α>7、β≒1.5の条件では雄ねじ状Cドメインの周りにコイル状Bドメインが二重に巻いたらせん状構造が形成されることが確認されている。本研究では(α=12.5、β=1.5)の試料の調製を行い、2D TEM 、TEMトモグラフィー、およびFIB-SEMトモグラフィーにより精密モルフォロジー構造解析を試みた。
実験 / Experimental
リビングアニオン重合法によって、ポリ(スチレン-b-イソプレン-b-スチレン-b-2-ビニルピリジン)からなるS1IS2Pテトラブロック共重合体を精密合成した(Mw=119k、PDI=1.04、fS1/fI/fS2/fP=0.66/0.12/0.05/0.18)。構造観察用のバルク膜は、THF溶液から溶媒キャスト法によって調製した。ミクロ相分離構造の2次元解析はTEM(JEM-2100F)を用いて行った。また、3次元構造観察のために、FIB-SEM(NX-5000)を用いて、直径約300nm、長さ約5mmの円柱状試料を作成後、TEMで約-80~80度の範囲で2度毎にトモグラムを採取し、3次元再構築を行った。また、直交型FIB-SEM(MI4000L)を用いておよそ1mm×1mmの範囲を2nmステップで削りながら観察像を採取し、3次元再構築を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
Figure 1a、1bにOsO4、およびI2により選択染色されたS1IS2P試料のTEM像を示す。Iドメインはらせん状構造 (Figure 1a)、Pドメインは雄ねじ状構造(Figure 1b)を形成していることが観察された。また、3D-TEMによる3次元構造解析の結果、Iドメインは2重らせん構造を形成していることが確認された(Figure 1c)。これらの解析結果を総合すると、Figure 1dのようなPドメインの周りにIドメインが2重に巻いた構造であることが分かった。このような構造発現の理由は、α、βを増加させた分子設計がPドメイン周りのIドメインの配位数(本数)の増加をもたらし、1重から2重のらせん構造へと転移させたのではないかと考えられる。さらにTEMトモグラフィー、及びFIB-SEMトモグラフィーによりらせんの巻き方向を調べた結果、Figure 1eのように左巻き(赤)と右巻き(青)が1列ずつ交互に配置していることが確認された。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Figure 1 Top view and side view of a) I domain, b) P domain, c) 3D-TEM image of I domain, d) schematic drawing, e) color coding of screw direction.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 草野杏佳、織戸烈、高野敦志、樋口公孝、鈴木次郎、松下裕秀、高分子基礎物性研究会高分子計算機科学研究会合同討論会、発表番号21(12/22/2023、津)
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件