【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NM5188
利用課題名 / Title
電子冷却式温調デバイス開発に向けたシリサイド材料の物性解明と要素技術開発
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/ Electronic microscope,熱電材料/ Thermoelectric material
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
今井 基晴
所属名 / Affiliation
物質・材料研究機構
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
西尾満章
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NM-207:電界放出形電子線プローブマイクロアナライザー装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
SrSi2 は SrSi2 型構造(立方晶)を持ち、狭ギャップ半導体またはワイル半金属候補物質と考えられているが、その詳細な物性はよく理解されていない。この問題を解明するためには高品質な試料が必要であり、高品質な試料を合成するためには正確なSr-Si相図が必要である。従来のSr-Si相図では、SrSi2は室温付近に立方晶相を、高温に正方晶相を持つとされていた。今回の研究では55~100 at. %Siの範囲において、Sr-Si相図を実験的に再検討した。その結果、SrSi2は立方晶相のみが存在し、正方晶相はSrSi2より少しSiが欠損したSrSi2-xであることが明らかになった。
実験 / Experimental
本課題では、仕込み組成60.0、78.0、83.5、90.0 at.%SiのSr-Si混合物をアーク溶融法で溶解し試料を準備した。この溶解試料を切断、樹脂への埋め込み、研磨を行った後、電子プローブマイクロ分析(EPMA)を行った。加速電圧15kV、プローブ電流50nAで測定を行った。標準物質としてはSi、SrAl4を用いた。
結果と考察 / Results and Discussion
図1(a)に仕込み組成60.0 at.%Siのアーク溶融試料の反射電子像を示す。暗灰色の部分の組成はSr: 37.3 at.%, Si: 62.7 at.%であることから、これはSrSi2-xであると判断した。更に明灰色の部分の組成はSr: 49.4 at.%, Si: 50.6 at.%であることからSrSiとした。SrSi2-xが試料の大部分を占め、明灰色の部分に共晶組織が観察されることから、60.0 at.%SiはSrSi-SrSi2-xの過共晶領域であると結論した。 図1(b)-(d)に仕込み組成78.0、83.5、90.0 at.%Siのアーク溶融試料の反射電子像を示す。これらの組成はSrSi2-Siの過共晶領域である。暗灰色の部分はSiであり明灰色の部分はSrSi2である。このSiの領域でSrの検出を試みたが、Sr濃度は今回使用した装置の検出限界以下であった。これらのデータと以前から取得していたデータを合わせ、Si濃度55-100 at.% でのSr-Si二元系相図を完成させた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 Sr-Siアーク溶融試料の反射電子像
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究の一部はJSPS科研費JP22H00268の助成を受けたものです。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Motoharu Imai, Sr–Si diagram at Si contents of 55–100 at% and crystal structure of SrSi2-, Journal of Alloys and Compounds, 968, 172137(2023).
DOI: doi.org/10.1016/j.jallcom.2023.172137
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件