【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.09】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NI0105
利用課題名 / Title
時効処理を施したアルミニウム合金のナノ構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋工業大学 / Nagoya Tech.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
アルミニウム基合金,電子顕微鏡/ Electronic microscope,資源代替技術/ Resource alternative technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
成田 麻未
所属名 / Affiliation
名古屋工業大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
浅香 透
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
アルミニウムに亜鉛およびマグネシウムを添加したAl-Zn-Mg合金は,航空機,鉄 道車両および自動車など,高強度が要求される構造部材に適用されている.その強化機構は析出強化型であり,GPゾーンの形成およびη'相の微細析出により達成され ている.これらは溶体化処理後に急冷し,時効熱処理温度で保持することによって 形成し強度に寄与するが,これまでの研究より,溶体化処理後に徐冷した場合にお いても急冷した場合と同等かそれ以上の強度が得られることが分かっている1),2).しかしながら,徐冷によって形成するナノ組織については詳しく分かっていない.本研究では,7003合金(Al-6Zn-0.75Mg (mass %)合金)を対象として,溶体化処理後の徐冷がナノ組織に及ぼす影響を評価することを目的とした.
実験 / Experimental
Al-6Zn-0.75Mg (mass %)合金の冷間圧延板を供試材として用いた.450℃で1時間の溶体化処理を行った後,水冷または徐冷した.徐冷については,電気炉を用いて20℃/hの冷却速度に制御して行い,室温まで徐冷後に炉から取り出して放冷した.その後,所定の温度にて時効熱処理を施し微細な析出物を形成させた.これら試料を湿式研磨後,電解研磨にて円盤状試料とした.得られた試料について,原子分解能分析電子顕微鏡にて組織観察を行った.
結果と考察 / Results and Discussion
時効熱処理の初期において,徐冷材にて特徴的な原子構造が見られた.これはGPⅠゾーンと報告されているもの3)と構造が一致した.この構造は,時効熱処理時間を長時間としても観察された.一方で水冷材では,初期には構造を持たない溶質原子のクラスタのみが観察され,時効熱処理を行うとGPⅠゾーンの形成が確認できた.長時間の熱処理後にはGPⅠゾーンと思われる構造は確認できなかった.GPⅠゾーンの観察は試料の厚みにも大きく影響され,また電子線の照射時間が長くなると構造が崩れてしまうことも確認できた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図. 溶体化処理温度から徐冷(FC)または水冷(WQ)した後の時効熱処理時間を変化させて得られたHAADF-STEM像(図中赤丸はGPⅠゾーンを示す)
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献を以下に示す.
1) C. Rowolt, B. Milkereit, A. Springer, M. Mihara-Narita,
H. Yoshida, K. Yamashita, K. Oldenburg and O. Kessler: J. Mater. Sci., 56 (2021),
20181–20196. 2) 吉田英雄,渡辺威郎,八太秀周:軽金属,67
(2017),41–48.3)A. Lervik, E. Thronsen, J. Friis, C. D. Marioara, S. Wenner, A.
Bendo, K. Matsuda, R. Holmestad and S. J. Andersen: Acta Mater., 205 (2021),
116574.
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 成田麻未,佐藤尚,渡辺義見,吉田英雄,"Al-Zn-Mg合金におけるナノ組織形成と時効硬化挙動" 軽金属学会第145回秋期大会(東京都立大),令和5年11月11日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件