利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2025.04.03】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23QS0110

利用課題名 / Title

その場X線回折測定を用いたGaNリモートエピタキシー過程の観察

利用した実施機関 / Support Institute

量子科学技術研究開発機構 / QST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

窒化ガリウム,グラフェン,分子線結晶成長,その場X線回測定,リモートエピタキシー,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,高品質プロセス材料/技術/ High quality process materials/technique,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,X線回折/ X-ray diffraction,放射光/ Synchrotron radiation


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

成塚 重弥

所属名 / Affiliation

名城大学理工学部材料機能工学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

Harries James,長村 皓平,柳瀬 優太,横井 稜也,河原 詩絵名

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

佐々木 拓生,大和田 謙二,押目 典宏

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

QS-113:表面X線回折計


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 本研究課題では、GaNのリモートエピタキシーの様子をX線回折測定によりその場観察し、そのメカニズムを解明することを目的とする。リモートエピタキシーでは、基板をグラフェンで覆いその上に成長層を成長することで高品質な結晶成長が可能である。グラフェンは2次元材料であるので、成長層と基板との間に分子結合は形成されず、界面でスベリ変形が発生し、ミスフィット応力が緩和されることが期待される。同時に、グラフェンは単原子層厚さであるため、基板の分極がグラフェンを透過し成長層の配向をそろえることにより、エピタキシャル成長が実現する。現状では、GaNリモートエピタキシーによる転位の減少率はたかだか10分の1程度である。転位の少ない高品質なGaNのリモートエピタキシーを実現するために、本研究では成長その場X線回折測定を用い、GaNのリモートエピタキシーの様子を詳細に観察し、その成長メカニズムを解明したい。

実験 / Experimental

 グラフェンが成長したサファイア基板はあらかじめ名城大学で作製する。サンプル構造としては、r面サファイア基板上に減圧CVDによりグラフェンが成長されものである。
 GaNリモートエピタキシーをおこなう様子をその場X線回折測定を用いて調べ、GaNリモートエピタキシーのメカニズムを解明する。具体的な実験は、以下の様な手順にて行った。ビームライン(BL11XU)に設置されている分子線結晶成長装置にサンプルを導入し、放射光による高強度X線を用いGaNリモートエピタキシーの様子をX線回折測定によりその場観察した。具体的には、高輝度X線をBe窓を通して超高真空の分子線結晶成長装置の成長室に導入し、結晶成長している基板表面に照射し、試料からのX線回折光を反対側のBe窓を通して外部に再度取り出した。最終的に、X線信号を2次元X線測定器(Pilatus)により受光してX線回折パターンを観察した。

結果と考察 / Results and Discussion

 r面サファイア基板上に名城大学であらかじめ減圧CVDによりグラフェンを成長したサンプルを、BL11XUに備え付けられている分子線結晶成長装置に導入し、GaN薄膜のリモートエピタキシーの様子をX線回折測定にてその場観察した。図1にGaNが成長しているサンプルのその場X線回折パターンを示す。同図の中心付近に現れている紡錘状の回折スポットが成長しているGaN層の(11-20)回折スポットである。また、図の右側に見える強い回折スポットは、サファイア基板からの回折である。リモートエピタキシーによるとr面サファイア上に成長したGaN層はa面GaN結晶となる。強い(11-20)回折スポットのみが観察され、GaNに関連するそれ以外の回折スポットがあらわれないのはこのことを反映している。この関係は通常のヘテロエピタキシーの場合と同様であった。図2にはその場測定によるGaN(11-20)回折強度の成長時間依存性を示す。成長スタート時には回折スポットはまったく観察されないが、成長時間とともに回折強度が強くなる様子が観察された。しかしながら、図より分かる様に回折強度の増加は成長時間ときれいな比例関係を示さなかった。特に成長時間が、30分頃まではその増加速度が加速度的に増えていることがわかる。このことは、成長初期にはGaNは島状の成長をおこない、途中から基板全面を覆う平坦成長になったことを物語る。また、成長時間30分頃に成長層はほぼ平坦化し、その後は成長時間とともに成長膜厚が増加し、回折強度もほぼ比例的に増加したことが考えられる。一方、成長時間が短い間はGaN層は島状成長するため、グラフェンがむき出しの場所が多く存在し、グラフェン上でのGaの付着係数が小さいこともありGaの再蒸発が進み、その結果成長速度が減少していたものと考えられる。
 以上により、本研究では成長その場でGaNのリモートエピタキシー過程を観察することに成功し、成長膜厚の時間変化をその場でとらえるとともに、その成長メカニズム、すなわちGaN層が最初島状成長し、途中から層状成長に変化する過程を間接的にではあるがとらえることに成功したものと考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1.GaNリモートエピタキシーのX線その場観察像、θ/2θ回折によるGaN(11-20)スポット付近



図2.その場X線回折強度測定によるGaNリモートエピタキシー層の(11-20)回折強度の成長時間依存性


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究の一部は、JSPS科研費No.25000011, 26105002, 15H03559、文部科学省「ナノテクノロジープラットホーム」事業No. A-21-QS-0006,A-21-QS-0028,「マテリアル先端リサーチインフラ事業」No.JPMXP1223QS0007、JPMXP1223QS0110の支援によっておこなわれたものである。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Shigeya Naritsuka, A-plane GaN microchannel epitaxy on r-plane sapphire substrate using patterned graphene mask, Journal of Crystal Growth, 630, 127593(2024).
    DOI: 10.1016/j.jcrysgro.2024.127593
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Yuta Yanase, Kohei Osamura, Takahiro Maruyama, Takuo Sasaki, Shigeya Naritsuka, "Study of growth mechanism of graphene on m-plane sapphire grown by low-pressure CVD", 16th International Symposium on Advanced Plasma Science and its Application for Nitrides and Nanomaterials, 17th International Conference on Plasma-Nano Technology & Science (Nagoya), 令和6年3月4日
  2. 柳瀬優太,長村皓平,丸山隆浩,成塚重弥,佐々木拓生, "r面サファイア基板上に減圧CVD成長したグラフェンの面内配向性", 日本結晶成長学会国内会議(名古屋), 令和5年12月5日
  3. 横井稜也,栁瀬優太,狩野祥吾,丸山隆浩,成塚重弥,佐々木拓生, "グラフェンナノパターンマスクを用いたGaN-MCE上でのInGaN成長", 日本結晶成長学会国内会議(名古屋), 令和5年12月6日
  4. 横井稜也,長村皓平,柳瀬優太,丸山隆浩,成塚重弥, "r 面サファイア基板上にリモートエピタキシーした極薄膜a 面 GaN 層を用いた InGaN の逆臨界膜厚エピタキシー過程の観察", 第71回応用物理学会春季学術講演会(東京), 令和6年3月25日.
  5. Shigeya Naritsuka, Yuta Yanase, Takahiro Maruyama, "Comparative study of epitaxial alignment of graphene on both m-plane and r-plane sapphires", 第67回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム(高知市), 令和6年9月1日.
  6. 成塚重弥,栁瀬優太,丸山隆浩, "m面サファイア基板上に減圧CVD成長したグラフェンの配向性評価", 第85回応用物理学会秋季学術講演会(新潟市), 令和6年9月19日.
  7. S. Naritsuka, R. Matsumoto, T. Takahashi, Y. Nagase, A. Ohsumi, W. Ohta, S. Kawahara, T. Sasaki, T. Maruyama, "In situ observation of lattice relaxation process in nanochnnel epitaxy of GaN on r-plane sapphire", 第43回電子材料シンポジウム(橿原市), 令和6年10月3日.
  8. Shigeya Naritsuka, Yuta Yanase, Yuki Ueda, Takahiro Maruyama, "A New Growth Approach—Alignment van der Waals Epitaxy of Graphene", 2024 MRS Fall Meeting & Exhibit (Boston/USA), 令和6年12月3日.
  9. Shigeya Naritsuka, "Graphene CVD and GaN Nano Channel Epitaxy", 17th International Symposium on Advanced Plasma Science and its Application for Nitrides and Nanomaterials, 18th International Conference on Plasma-Nano Technology & Science(春日井市), 令和7年3月4日.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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