利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.05】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23TU0150

利用課題名 / Title

呼気分析用マイクロ予備濃縮器

利用した実施機関 / Support Institute

東北大学 / Tohoku Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

2段階エッチング,Bosch Process,ボッシュプロセス,MEMS/NEMSデバイス/ MEMS/NEMS device,センサ/ Sensor,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,流路デバイス/ Fluidec Device,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,チップレット/ Chiplet


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

李 相錫

所属名 / Affiliation

鳥取大学工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

古林庸子,森山雅昭

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TU-201:DeepRIE装置#1
TU-058:マスクレスアライナ
TU-316:JEOL FE-SEM
TU-001:エッチングチャンバー
TU-052:アクテス スピンコータ#1


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

呼気分析用マイクロ予備濃縮器の作製のため、ハーフインチ(Φ0.5インチ)のSiチップ上にマイクロ流路デバイスを作製する。マイクロ流路はSiの深掘りエッチング技術であるボッシュプロセスを用いてSiピラーを形成するが、Siピラーの垂直性が重要となるので、Siエッチング時のボッシュプロセスのパラメータの最適化が必要である。また、Φ0.5インチSiチップを作製すると時間とコストが掛かるので、Φ4インチSiウェハ上にΦ0.5インチチップを複数配置することで、1枚のΦ4インチウェハから多くのΦ0.5インチチップを作製する。
そこで、マイクロ流路の作製は、東北大学試作コインランドリで技術代行により行った。

実験 / Experimental

出来上がりΦ0.5インチチップ上にマイクロ流路を形成するため、SiO2マスクとフォトレジストマスクを用いて、Φ4インチSiウェハと2段階エッチングを用いることで、マイクロ流路となるSiピラーの作製とΦ0.5インチチップの切り出しを行う。

【実験内容:事前確認】
本課題のマイクロ流路となるSiピラーは垂直性が求められるので、標準レシピでの垂直性の確認、および、各パラメータの変更による垂直性の確認を行う。エッチング条件は表1の通りであり、それぞれ200サイクルずつエッチングする。
この事前確認の結果を基に、実際のΦ0.5インチチップとなるマイクロ流路デバイスを作製する。

【マイクロ流路デバイス作製】
1.マイクロ流路のパターニングと酸化膜エッチング
(1) 厚み525 µmの4インチSiウェハ上に1 µmの厚みの熱酸化膜が有るウェハにフォトレジストTCIR ZR8800 96cPを塗布し、マスクレスアライナMLA150を用いてマイクロ流路デバイスの流路をパターニング
(2) Deep-RIE#1を用いて、SiO2エッチングレシピで1µmの熱酸化膜をエッチングし、O2クリーニングレシピでフォトレジストを除去

2.Φ0.5インチチップ切り出し用リングパターンのパターニング、酸化膜エッチング、Siエッチング
(1) フォトレジストTCIR ZR8800 96cPを塗布し、マスクレスアライナMLA150を用いてマイクロ流路デバイスの流路をパターニング
(2) Deep-RIE#1を用いて、SiO2エッチングレシピで1 µmの熱酸化膜をエッチングし、SiエッチングレシピでSiを450 µm程度エッチング
(3) O2クリーニングレシピでフォトレジストを除去

3.2段階エッチングにより、Φ0.5インチチップの切り出しとマイクロ流路のSiピラー形成のSiエッチング
(1) 両面熱剥離テープ(日東電工 リバアルファ No.3195、120℃)を用いて、Siダミーウェハとサンプルウェハを貼り合わせる
(2) Siエッチングレシピ(条件:表1)を用いて、Siを100 µm程度エッチングし、Siピラーの形成とΦ0.5インチチップの切り出し
(3) 130℃程度に加熱したホットプレート上にダミーウェハを置き、数十秒程度たったら各チップをピックアップ

4.裏面の熱酸化膜の除去
(1) IPA中にチップを入れピラー内にIPAを満たした後DI水で置換し、ピラー内がDI水で満たされた状態にする
(2) BHF16で熱酸化膜をエッチング
(3) DI水でリンスし乾燥

結果と考察 / Results and Discussion

 Siピラーの垂直性の事前確認を行った結果、標準レシピでは本サンプルパターンのSiピラーは逆テーパー形状となった(図1)。この原因は、1サイクル毎のエッチング量が多かった事によると考えられる。そこで、Siピラーが垂直となるよう、表1の通りボッシュプロセスの条件を変更した。条件1はパッシベーション時間を1秒増やし6.0秒にしたが、ピラー中部から下部は垂直に近くなったが上部は逆テーパであり、若干縦筋も見られた(図2)。条件2はエッチング圧力を5 Pa、エッチングを7.0秒、パッシベーションを6.0秒としたが、ブラックシリコンが多く発生した(図3)。この原因は、エッチング時間を短くした事と圧力を上げた事によりエッチング種となるFイオンやラジカルの平均自由行程長が短くなったことにより、パッシベーション膜が破りきれなかったことと推察される。条件3では条件2の結果からエッチング時間を1秒増やし8.0秒、パッシベーションは6.0秒のままとしたが、ピラー中部から下部に掛けてブラックシリコンになりかけており、順テーパー形状となった(図4)。条件1と条件3の違いはエッチング圧力の差だけであるので、もう少しエッチング圧力を下げた方が良いと推察される。
 これらの傾向から、条件4はエッチング時の圧力を4.0 Paに下げた条件4でエッチングしたところ、Siピラーはほぼ垂直形状となった(図5)。そこで、条件5としてエッチングの圧力は標準条件の3.7 Paとしてエッチングを試した結果、条件4とほぼ同様のSiピラーはほぼ垂直形状となったので(図6)、マイクロ流路デバイスとなるSiピラーの作製用エッチング条件は条件5が良いと判断し、採用した。
 マイクロ流路チップ作製において、事前確認により条件出しを行った条件4を使用し、エッチングサイクルはSiピラーの高さが100 µm程度となるように220サイクル程度とし、マイクロ流路デバイス作製の手順1~3の通りに2段階エッチングにを行い、マイクロ流路の作製とΦ0.5インチチップへの切り出しを行った。その後、手順4で裏面の熱酸化除去をBHF16を用いて13~15分程度SiO2エッチングを行うことで、Φ0.5インチのマイクロ流路デバイスが完成した。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


表1. エッチング条件



図1. 標準レシピでのエッチング



図2. 条件1によるエッチング結果



図3. 条件2によるエッチング結果



図4 条件3によるエッチング結果



図5. 条件4によるエッチング結果



図6. 条件5によるエッチング結果


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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