利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.12】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23TU0046

利用課題名 / Title

メタマテリアルデバイスの作製

利用した実施機関 / Support Institute

東北大学 / Tohoku Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

テラヘルツデバイス,位相シフト,フレネルゾーンプレート,BCB,メタマテリアル/ Metamaterial,光リソグラフィ/ Photolithgraphy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

佐々木 玲子

所属名 / Affiliation

理化学研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

鈴木 哲

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TU-058:マスクレスアライナ


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 テラヘルツ波は、光波と電波の境界領域の電磁波であるが、種々の物質に対する指紋スペクトルが存在すること、生体その他の物質への適度な侵入深さがあること、空間分解能が高い事などから、研究開発・利用が進められている。
 本研究では300 GHz帯のテラヘルツ波を想定して、微細なリング共振器を同心円2次元アレイとしたフレネルゾーンプレート(FZP)の開発を行う。THz帯で低損失誘電体を用いてレンズを形成する場合、肉厚レンズとなり、レンズ厚さ、レンズ曲率、収差等の点で、光学素子として好ましいものではなかった。FZPを使用すれば誘電体レンズの欠点を改善できる。 昨年度から引き継き開発するFZPを図1に示す。本年度に作製するものは、周波数が300 GHzであることにより、誘電体膜(BCB)の厚さが完成時で約150 µmとなる。そのため、加工プロセスの過程でいくつかの修正点があった。

実験 / Experimental

【実験方法】
1.Si基板のそりに対する改良
 誘電体として使用するBenzocyclobutene(BCB)膜が厚くなったため、熱処理の際にBCB層とSi基板の熱膨張係数の差異により、室温に冷却した際、基板全体が反る現象が現れた。そのため次に続くフォトリソグラフィなどの工程に支障が生じた。そこで熱膨張係数を考慮し石英基板を用いることにした。熱膨張係数にはまだ差があるものの、石英の硬度のため基板の反りは概ね抑えられている。
2.ダブルレイヤーFZPパターンのマスク合わせ
 2つのFZPレイヤー間隔が広いため、マスク合わせの際にずれが生じやすい。図2は第1レイヤーのFZP素子パターンの写真である。図3は第2レイヤーと第1レイヤーを透過的に観察した写真である。わずかにパターンの位置ずれが生じているのが分かる。今後マスク合わせの技術の向上により、より精密な2重レイヤーFZPを作製できる見込みである。図4は既成BCBフィルム上に形成したFZPパターンである。Alスパッタ膜を形成する際のBCBフィルムの冷却(カプトンテープによる電極板への密着)が十分ではないためスパッタ中にそれの温度が上昇し、結果としてそれが反りかえる結果となった。そのため第2層目のAlスパッタ膜形成の際にBCBフィルムを電極板に固定することが難しくなっている。現状では、フィルムの固定方法の改善が必要である。図5は第1層目のFZPパターンであり、概ね良好なパターンが形成されていることが分かる。

結果と考察 / Results and Discussion

 何回かのフォトリソグラフィ工程でのベーキングで、ホットプレートの使用によりBCBに細かいひび割れが発生した。ホットプレートの場合、温度上昇が急激であるため、ひび割れが発生したと考えられる。そこで、オーブンによるベーキングに切り替えることにより、BCBのひび割れを防止できた。またBCBコーティングの際に微小な泡とバンプが発生することがあったが、BCB溶剤の滴下方法を改良して、概ね防止できた。エッジビード除去剤の使用により基板周辺のBCBの盛り上がりを除去し、第2層のフォトリソグラフィが安定するようになった。
 いくつかのプロセスの改良により、300 GHz帯FZPの作製の見通しが良くなった。次年度は本FZPの完成まで着実に前進したい。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1. 300GHz帯メタマテリアルFZPパターン



図2. 300GHz帯メタマテリアルFZP素子パターン



図3. 第1層と第2層のFZP素子パターンのずれ



図4. 既成BCBフィルムに形成したFZP。Alスパッタ時にBCBフィルムが反りかえった。



図5. 既成BCBフィルム上のFZPパターン


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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