【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.25】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23KT1120
利用課題名 / Title
プラズマ暴露による機能性材料の粘弾性特性および電気特性変化の研究
利用した実施機関 / Support Institute
京都大学 / Kyoto Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
窒化ホウ素,薄膜,アルゴンイオン,プラズマ,イオンフラックス,面内分布,エリプソメトリ/ Ellipsometry
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
江利口 浩二
所属名 / Affiliation
京都大学 大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
辻井駿佑
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
窒化ホウ素(BN)は多様な結合構造をとりうる材料である.高い絶縁性を有するh-BN(sp2結合相)やダイヤモンドに次ぐ硬度を有するc-BN(sp3結合相)等,BNの特性は結合構造によって多様に変化する[1].BN膜中の結合構造制御には,成膜時のイオン衝撃(イオンフラックス及びイオンエネルギー)の制御が重要となる[2].我々は高密度真空アークプラズマを利用した反応性プラズマ支援成膜(RePAC)法を提案し,様々な結合構造を有するBN膜を作製してきた[3].RePAC法で成膜されるBN膜にはウエハ面内で特性分布が存在する.この特性分布の一因はBN膜中の結合構造の違いによるものである.したがって,BN膜の面内分布評価により微視的構造と膜特性の相関を従来の研究[4]よりも詳細に解析することができると期待される.本研究では,結合構造分布の一因であるイオンフラックス面内分布を解析するため,Arイオン衝撃によるSiO2膜減少量を評価した.
実験 / Experimental
熱酸化炉(KT-207)を用いて4インチSi基板上にSiO2膜(厚さ約520 nm)を成膜した.次に,当研究室のRePAC装置を用いてSiO2膜をArプラズマに曝露した.Fig. 1に真空アーク放電の概要を示す.RePACでは陰極からの熱電子供給および磁場閉じ込めにより高密度プラズマが生成される.基板に−70 Vの直流自己バイアスを印加し,プラズマから基板へとArイオンを加速し照射した.プラズマ曝露時間は5分,10分とした.プラズマ曝露前後のSiO2膜厚分布を分光エリプソメーター(C11)により評価し,これらを比較することで膜厚減少量分布を取得した.
結果と考察 / Results and Discussion
Fig. 2に10分間スパッタ後のSiO2膜厚減少量の面内分布を,Fig. 3にウエハ上の位置A(ウエハ中心付近),位置B(ウエハ周辺)におけるスパッタ時間に対する膜厚減少量を示す.膜厚減少量の面内差に着目すると,AとBでは2倍程度の差がある.これはイオンフラックスの面内分布を反映しており,真空アークプラズマ中に密度分布が存在することを示唆する.この原因は磁場配置に起因するドリフト現象などが考えられる.今後は,イオンフラックス分布-結合構造分布-膜特性分布の相関を詳細に評価する.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 Schematic illustration of the Ar plasma in the RePAC system.
Fig. 2 Distribution of SiO2 sputtered depth after plasma exposure.
Fig. 3 Dependence of the sputtered depth on the sputtering time.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献:
[1] C. B.
Samantaray and R. N. Singh, Int. Mater. Rev. 50, 313 (2005).
[2] D. J.
Kester and R. Messier, J. Appl. Phys. 72, 506 (1992).
[3] T. Matsuda et
al., J. Appl. Phys. 61,
SI1014 (2022).
[4] T. Hamano et al.,
Proc. Int. Symp. Dry Process, 31 (2022).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件