【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NU0064
利用課題名 / Title
電子顕微鏡を利用したLi(Cr.Mn)O2正極材料の化学イメージング
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
正極材料,二次電池/ Secondary battery,電子顕微鏡/ Electronic microscope
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
喜多條 鮎子
所属名 / Affiliation
山口大学大学院創成科学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
武藤俊介
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
樋口公孝,山本裕太
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NU-102:高分解能電子状態計測走査透過型電子顕微鏡システム
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
エネルギーの供給を安定的に進めるための一つの方法として、蓄電池を利用することが検討されている。その蓄電池候補として、リチウムイオン電池が検討されているが、高エネルギー密度化や安全性など克服するべき課題は多い。この次世代リチウムイオン電池の正極材料として、Li(Cr,Mn)O2正極について検討を進めている。しかしながら、この材料の熱処理による容量変化や特性変化を示すことはすでに明らかとしているが、その要因については明らかにできていない。この要因について検討を進めるため、正極微粒子の:Li,Cr,Mn,Oの混合状態や電子状態の熱処理温度によるミクロな変化からアプローチすることを目指している。
実験 / Experimental
原材料LiMnO2 + LiCrO2を混合した粉末をメカニカルミリングして試料を得た。一部は熱処理によって構造回復させた.得られた試料をマイクログリッド上に分散させたものをSTEM(JEM ARM200F Cold)-EELSスペクトラムイメージ法でデータ取得し、その化学状態をマッピングして可視化した。
結果と考察 / Results and Discussion
Li1+0.5x(Cr1-1.5xMnx)O2系正極材料に関して、LiCrO2(x=0)はミリング処理後LiFを添加することで、Li1.2Cr0.4Mn0.4O2(x=0.4)はボールミリング処理後、熱処理を施すことで各々電気化学特性が改善した[1]。そこで、本研究ではSTEM-EELSによる局所状態分析によってLi1+0.5x(Cr1-1.5xMnx)O2の正極特性の説明を試みた。Li1+0.5x(Cr1-1.5xMnx)O2は固相合成法で調製した。各Li1+0.5x(Cr1-1.5xMnx)O2のSTEM-EELS-SIデータ(x= 0)の解析結果をFig.1に示す。Fig.1(c,f)はそれぞれミリング後の LiCrO2とLiF添加後の LiCrO2において、EELSのCr-M2,3強度マッピングをLi-K強度マッピングで除算した図である。この図から、LiF添加によってLiCrO2ナノ粒子の表面で、Crに対してLiの濃度が減少しており、LiCrO2の電気化学特性に影響を及ぼす可能性があることが分かった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig 1. (a,b) ADF images of milled LiCrO2 (c) Li-K/Cr-M2,3 map of milled LiCrO2 (d,e) ADF images of LiF-added LiCrO2 (f) Li-K/Cr-M2,3 map of 1.0LiF LiCrO2
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献[1] Ayuko Kitajou, Satoshi Hiroi, Koji Ohara, Kazutaka Ikeda, Takuma Nanami and Shunsuke Muto, J. Phys. Chem. C 127, 2866-2874 (2023).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Ayuko Kitajou, Cathode Properties of xLiF–LiCrO2 Composites (x = 0–1.5) Prepared by Dry Ball-Milling Method for Lithium Ion Batteries, The Journal of Physical Chemistry C, 127, 2866-2874(2023).
DOI: 10.1021/acs.jpcc.2c08419
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 名波拓馬、喜多條鮎子、廣井慧、尾原幸治、池田一貴、武藤俊介、”STEM-EELSによるLi1+0.5x(Cr1-1.5xMnx)O2系正極材料の解析”、日本顕微鏡学会第79回学術講演会(松江)、令和5年6月26日
- 喜多條 鮎子、松田 奨平、武藤 俊介、”微細化Li1.2Cr0.4Mn0.4O2の熱処理による結晶子サイズ変化がLiイオン電池特性に与える影響”、第64回電池討論会(大阪)、令和5年11月28日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件