利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.21】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT0147

利用課題名 / Title

酸化物材料内の酸素同位体分布計測

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

SOEC, 排ガス浄化触媒,燃料電池/ Fuel cell,質量分析/ Mass spectrometry


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

長澤 剛

所属名 / Affiliation

東京工業大学 工学院システム制御系

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

竹内美由紀

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-306:超微量元素計測システム(SIMS)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

自動車用後処理触媒内における化学種分布の計測を目的として,酸素同位体を導入した酸化物触媒に対してNanoSIMSによる同位体分布計測を行った.また固体酸化物形電気分解セル(SOEC)燃料極の反応場分布を明らかにするために,酸素同位体を導入した酸化物電極に対してNanoSIMSによる同位体分布計測を行った.

実験 / Experimental

自動車排ガス触媒の一種である三元触媒を模擬したモデル試料(酸素吸蔵材料であるセリアジルコニア固溶体基板にパラジウムが担持されたもの)を作製し,500℃にて酸素同位体を導入後にサンプルをクエンチ(急冷)し,同位体分布を保存した.クエンチ後のサンプル断面および表面の酸素同位体分布をNanoSIMSによって明らかにした.またSOECについては酸化物燃料極であるLSCMおよびLSCM/GDCにおけるCO2電気分解時の反応場分布を,二酸化炭素同位体C18O2を用いて上記の触媒と同様の手法で可視化した.

結果と考察 / Results and Discussion

図1(a)に500℃にて40分の水素還元後,2分間18O2を吸蔵させたのち,クエンチしたPd/CZモデル触媒表面における18O分率c18O18Oシグナル強度を16Oと18Oのシグナル強度の和で除した値)の分布を示している.(b)には対応する相マッピングおよびSEM画像も併せて示している.これより,CZ表面における高c18O領域はPd粒子周辺に集中しており,最も高いc18O濃度はPdから2.0 µmほど離れた領域と比較して10倍程度となっている.またPd表面においても不均一なc18O分布が観察される.特にPd/CZ界面を横切る方向のc18O分布に着目すると((c)),c18OはPd/CZ境界付近で最大値を示し,境界から離れるにつれ,CZ表面,Pd表面とも単調現象する上に凸の分布となる.
図2はCO2電解時におけるSOECのLSCM燃料極断面のc18O分布を示す.(a)が電圧印加無し,(b)が2V印加,(c)が2V印加の拡大図(2視野)である.(a)と(b)は相マッピングも併せて示す.(a)と(b)の比較より,電圧印加によってLSCM粒子内部へ18Oの拡散が起こり,その領域はLSCM燃料極と電解質界面から5µm程度の領域であることが分かる.また(c)より,LSCM粒子のc18O分布は粒子表面から内部へ同心円状になっており,かつ場所によって不均一な分布を形成している.これより,LSCM燃料極においては,LSCM表面(二相界面)がCO2電解の反応場として機能していることが分かる.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 (a) 500 ℃におけるPd/CZモデル触媒表面の18O分率分布.同位置の相マッピングおよびSEM画像を(b)に,Line 1のラインプロファイルを(c)に示す.



図2 LSCM燃料極断面の18O分率分布.(a)が電圧印加無し,(b)が2V印加,(c)が2V印加の拡大図(2視野)である.(a)と(b)は相マッピングも併せて示す.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Hyo Min You, Mechanistic study of oxygen reduction reaction on a Pd/CeO2-ZrO2 catalyst, Applied Surface Science, 648, 159045(2024).
    DOI: 10.1016/j.apsusc.2023.159045
  2. Kodai Takahashi, Visualization of oxide ion incorporation in CO2 electrolysis on LSCM-based cathodes of solid oxide electrolysis cell, Journal of Power Sources, 595, 234073(2024).
    DOI: 10.1016/j.jpowsour.2024.234073
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 【優秀講演表彰受賞】Kodai Takahashi, Tsuyoshi Nagasawa, Merika Chanthanumataporn, Katsunori Hanamura, "Visualization of oxide ion incorporation in LSCM-based fuel electrodes of SOEC during CO2 electrolysis", International Conference on Power Engineering-2023 (ICOPE-2023), Proceedings of the International Conference on Power Engineering-2023, ICOPE-2023-1045, May 2023.
  2. 長澤 剛, 石川 隼, 佐藤 進, 小酒 英範, Hyo Min You, Kyeounghak Kim,"同位体イメージングとDFT計算によるPd/CeO2-ZrO2触媒の酸素吸放出機構の考察", 第132回触媒討論会, 第132回触媒討論会予稿集, 1F03, Sept. 2023.
  3. 【招待講演】長澤 剛,”同位体ラベリングと反応クエンチングによる三元触媒の酸素吸蔵可視化と解析”, 自動車技術会 2022-2023年度第4回排気触媒システム部門委員会, June 2023.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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