利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.19】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT0125

利用課題名 / Title

レーザーアブレーション法で作製したナノ微粒子の形状観察

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

微粒子、発光材料,電子顕微鏡/ Electronic microscope


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

宮島 顕祐

所属名 / Affiliation

東京理科大学 先進工学部・物理工学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

余 希,原口 遼,横田 葵

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

森山 和彦,押川 浩之

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-007:高分解能分析電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

我々の研究室では,SiCのナノ構造化による発光効率増大を目指した研究を行っている.その発光機構の解明には,研究対象であるSiCナノ微粒子の結晶構造やサイズ分布の詳細を明らかにする必要がある.本課題ではSiCナノ微粒子を分散させたアセトン溶液にレーザー光を照射し,アブレーションによるSiCナノ微粒子のサイズ変化を観測した.アブレーションする前のSiCコロイド溶液には数nmから数100 nmの微粒子が含まれている.アブレーションによって微粒子の粒径がさらに小さく,サイズ分布が狭くなることが期待される. 本研究では,SiC粒子が混在するコロイド溶液を作製した後,パルスレーザー光を照射したときの照射時間による微粒子のサイズと発光特性の変化を明らかにした.

実験 / Experimental

SiCナノ微粒子の形態観察にTEM(日本電子製JEM2010F)を使用した.ここでは,TEMを用いた研究成果について報告する.

結果と考察 / Results and Discussion

アブレーションに用いたレーザー光はパルス幅3 ps,波長800 nmで繰り返し周波数は1 kHzであった.まず,アセトン中で4H-SiC基板(MPD < 2 cm-2)を90 minレーザーアブレーションすることでSiCコロイド溶液を作製した.次にそのコロイド溶液から4H-SiC基板を取り出した後に、レーザー光を集光することでコロイド溶液を再アブレーションした。再アブレーション時間は0~180 minまで60 min間隔で延ばし,4つの試料を作製した.アブレーション光の照射密度は2.33 J/cm2で一定とした.作製したそれぞれの試料を相対遠心加速度2000 Gで60 min遠心分離し,TEMグリッドに滴下してTEM観察を行った.
Fig.1に異なる再アブレーション時間で作製したSiCナノ微粒子のTEM明視野像を示す.再アブレーション時間は(a)0 min,(b)60 min,(c)120 min,(d)180 minである.形状は球形に近いものが多いが,歪んだ形の粒子も存在していることがわかる.作製した微粒子は大きい微粒子同士はあまり凝集せず散在している.一方で大きい微粒子の周りに観測される小さい微粒子は凝集して存在している.観測された微粒子サイズの平均値はそれぞれの再アブレーション時間において0 minで15.6 nm,60 minで16.6 nm,120 minで15.0 nm,180 minで10.7 nmであった.粒径は60 minまでの再アブレーションで増加し,さらに再アブレーションすると減少する傾向を示す.再アブレーションによってSiC微粒子が細分化されていると考えられる.一方,再アブレーション時間60 minでの一時的な粒径の増加は再アブレーションによって数100 nmの粒子が数10 nmまで分解されたためであると考えられる.0 minの再アブレーションでは遠心分離によって取り除かれ,観測できていなかった数100 nmの粒子が60 minの再アブレーションで数10 nmまで分解されたことによって一時的に粒径の平均値が増加したと考えられる. 発光測定ではコロイド溶液の再アブレーション時間の増大に伴って,SiC由来の発光ピークエネルギーがブルーシフトし,発光強度も増大した.これは,量子サイズ効果によるエネルギーシフトと,ナノサイズ化による発光効率の増大を示している.以上の結果から,SiCコロイド溶液に対するレーザーアブレーションによって,粒子の微小化とそれに伴う発光効率の増大を明らかにした.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1 異なる再アブレーション時間で作製した
試料TEM明視野像. 再アブレーション時間(a)0 min,(b)60 min,(c)120 min,(d)180 min.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 原口遼, 山口遼介, 石原淳, 宮島顕祐,"SiCコロイド溶液へのレーザーアブレーションによる微粒子サイズおよび発光の変化" ナノ学会第21回大会(函館) ,2023.5.11-13
  2. 原口遼, 山口遼介, 石原淳, 余希, 宮島顕祐,"パルスレーザー光照射によるSiCナノ微粒子の微小化と発光強度の増大", 第34回光物性研究会(大阪), 2023.12.8-9
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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