【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.18】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23UT0061
利用課題名 / Title
環境遮蔽コーティング材料のNanoSIMS分析
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials
キーワード / Keywords
質量分析/ Mass spectrometry,資源使用量低減技術/ Technologies for reducing resource usage,コンポジット材料/ Composite material
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
松平 恒昭
所属名 / Affiliation
一般財団法人ファインセラミックスセンター
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
北岡諭
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
竹内美由紀
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
Alを含む耐熱合金は優れた耐酸化性を発現するが、それは、表面にアルミナスケールが形成され、これが酸化に対する保護膜として機能するからである。このアルミナスケールにおいては、膜厚方向に急峻な酸素ポテンシャル勾配 (dμO)に曝されており、このdμOに従って粒界を介してOとAlとが相互拡散することによりスケールが成長することが知られているが、詳細な物質機構機構は明らかではない。そこで、酸化保護モデル膜としてアルミナ膜を用いた酸素透過試験を実施し、スケール内部における物質移動機構の解明に取り組んでいる。その結果、dµO印加時におけるアルミナ多結晶の高酸素分圧側(PO2(hi))表面近傍の酸化物イオンの粒界拡散は、 dµOがない場合と比べて大幅に抑制されることが明らかとなった。この現象を詳細に理解するには、シンプルな単一粒界を有する双晶膜による評価が有効である。そこで、双晶アルミナ膜を対象とした酸素透過試験を実施し、膜内部における物質移動について検討した。
実験 / Experimental
アルミナ双晶膜(Σ31, 厚さ:100 µm)を作製の上、膜表面を化学機械研磨によりRa≃0.1nmまで平滑化した。そして、膜厚方向にdµO(PO2(hi)=104Pa, PO2(lo)=10-8Pa)を印加した状態でPO2(hi)側から18O2を1600 ℃で4 h供給した。また、dµOを印加しない条件として、両表面にそれぞれ18O2および16O2を供給することによって両表面のPO2を104 Paに保持の上、1600 ℃で4 h処理した試料も作製した。ここで、酸素を透過させる粒界面が、(0001)表面に対して垂直になるように配置し、この粒界面に対して酸素透過方向を変化させた。この粒界拡散方向による違いを、処理後の膜断面の18O分布をNanoSIMS分析することにより評価した。
結果と考察 / Results and Discussion
高温dµO下に曝したアルミナ-Σ31モデル膜に対して、粒界を介した物質移動と粒界コア構造との関係を評価・解析した。その結果、Alイオンの粒界拡散はイオンの移動方向に強く依存するが、酸化物イオンは移動方向にほとんど依存しないことが明らかとなった。即ち、AlイオンのdµO方向の移動は、移動方向に位置する粒界面上の共有原子列が大きな移動障壁になることが示唆された。また、高PO2表面が低エネルギー面である方が、高PO2表面直下の粒界を介した酸化物イオンの移動がより強く抑制されるとともに、粒界が大きく左右に揺動した。酸化物イオンのdµO方向の移動は、粒界コア構造のみならず表面構造にも強く依存するものと推察される。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究の一部は、JSPS科研費新学術領域研究「機能コア科学」(JP19H05792)の支援を受けて実施したものである。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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, Preface, Journal of the Ceramic Society of Japan, 131, P10-1-P10-4(2023).
DOI: doi.org/10.2109/jcersj2.131.P10-1
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- T. Matsudaira, T. Ogawa, M. Takeuchi, J. Wei, B. Feng, N. Shibata, Y. Ikuhara, S. Kitaoka., “Effect of Oxygen Potential Gradient on Mass Transfer Through Grain Boundaries in Alumina Films”, MRM2023/IUMRS-ICA2023 Grand Meeting, Dec. 11-16, 2023, Kyoto, Japan
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件