【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.24】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NM0141
利用課題名 / Title
TOF-SIMSを用いた混錬材料評価手法の検討及び製品接着不具合の解析
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
質量分析/ Mass spectrometry,X線回折/ X-ray diffraction
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
大西 雅之
所属名 / Affiliation
三井・ダウポリケミカル株式会社
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
齋藤法継
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
宮内直弥,廣戸孝信,安福秀幸
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NM-205:飛行時間型二次イオン質量分析装置
NM-202:硬X線光電子分光分析装置(HAX-PES/XPS)
NM-204:多目的X線回折装置_Cu_SSL
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
ポリカーボネートとABSなど異種のポリマーをブレンドしたアロイ樹脂は広く研究されている。
異なる樹脂の場合、TEMなどで海島構造を確認するなど混錬性を確認することができる。
しかし、近年では同じ種類で分子量の異なるものをブレンドすることがある。
その場合、TEM等では混錬性を評価することができない。そこで、今回TOF-SIMSを用いて混錬性を評価する手法を確立した。
今回の手法で混ざり具合を評価することができた。
また、今回の検討ではポリマーの結晶性、結合状態など基本データを取得しブレンド品の性能向上に繋げたい。
実験 / Experimental
①混錬性評価
同種類のポリマーを3種類用意し、A法、B法、C法の異なる3つの方法でブレンドした。
3種のポリマーは、同種の樹脂であるが酸含量、分子量分布の異なる樹脂を使用した。
ペレット造粒後、プレスシートを作製し、TOF-SIMSで測定した。
②結晶性評価
粉砕した試料をSi製無反射試料ホルダの上に充填し、測定した。
測定時に温度を25℃→110℃まで上げその後110℃→25℃まで降温し、各温度で測定を実施した。
③結合状態評価
ポリマーに添加剤を加え、造粒して試験用ポリマーを2種類作製した。
それぞれ異なる環境下で曝露し、結合状態を確認した。
結果と考察 / Results and Discussion
①混錬性評価
3種類のポリマーをそれぞれTOF-SIMSで測定した結果を図1に示す。
その結果、酸の違いによる判別は可能であったが分子量の違いによる判別はできなかった。
次に各ブレンド法でブレンドしたポリマーをTOF-SIMSで測定した。
検出したイオンからマッピング像を作製し、二値化像から各ブレンド法の結果を数値化した。
これよりTOF-SIMSを用いることでポリマーの混錬性を評価することできた。
②結晶性評価
結晶性の評価はXRD(SmartLab (45kV, 200 mA, CuKα))にて評価を行った。Initial(図3C)ではピークがブロードであることから、アモルファスに近い状態と推定される。そこで本試料を一度、110℃まで加熱し(図3A)、次いで室温まで炉冷を行ない(図3B)、それぞれの温度でのXRD測定を行った。110℃では、initialと同程度なブロードなピークが見られた。他方、DSCでは、既に融解をしていると考えられることから、近接秩序が発達した部分融解状態にあるものと考えられる。冷却後の測定では、2θ=22°付近の主ピークの半値幅が狭くなり、また、強度が増した事から結晶化が進行していることが確認できた。今回は昇温と降温測定を一度実施しただけであるが、次回は測定条件を再検討しさらに結晶化の解析を実施したい。③結合状態評価
XPSで2種のポリマーに含まれる添加剤の結合状態を確認した。
しかし、今回のポリマーでは大きな差異は見られなかった。
次回、より過酷な環境に曝露し、結合状態を確認する。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 各ポリマーのマススペクトル
図2 混錬性のスコア化
図3 各温度のXRDパターン
図4 ナロースキャン(ポリマー1)
図5 ナロースキャン(ポリマー2)
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件