利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.17】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NM0119

利用課題名 / Title

イオン照射されたチタン合金の照射損傷の解析

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構 / NIMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

チタン, チタン合金, 照射損傷


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

wakai eiichi

所属名 / Affiliation

日本原子力研究開発機構

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

石田卓

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

長谷川明,中山佳子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-502:実動環境対応電子線ホログラフィー電子顕微鏡
NM-509:デュアルビーム加工観察装置
NM-503:200kV電界放出形透過電子顕微鏡(JEM-2100F1)
NM-516:TEM試料作製装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

本研究では、高エネルギー粒子線等の放射線場で使用される機器の耐久性や高度化の評価、及び次世代材料の研究開発として、昨今注目されているチタン系ハイエントロピー合金の試作を進め、その新しい材料の特性の評価を行うことを目的としています。このため、イオン照射された2種類のチタン合金の照射損傷とチタン系ハイエントロピー合金の組織の解析を行うため、NIMSの大変優れた設備と機器を利用して実施しました。

実験 / Experimental

NIMSの走査型透過形電子顕微鏡を用いて、次のようなサンプルの観察と解析を実施しました。用いた装置と観察したサンプルを以下に示します。・使用した装置:JEM-ARM 200F、JEM 2100 F2、デュアルビーム加工観察装置、イオンスライサー.  ・TEM(STEM)の加速電圧: 200 kV.  ・観察試料: 1.イオン照射したチタン64合金、2.チタン系ハイエントロピー合金、3.イオン照射した改良熱処理型チタン15-3-3-3合金

結果と考察 / Results and Discussion

 これらの試料の解析では、低倍率と高倍率にて、HAADF像や元素マッピング像を取得しながら、合金の相や析出物の状態観察と同定を実施しました。また、電子エネルギー損失分光(EELS)法で元素及び各相の状態を併せて調べました。 イオン照射した試料では、特に、照射によって形成された欠陥について、α相とβ相でそれぞれ形成される転位ループの同定とdpa依存性の評価を行うことができました。併せて、それらの相の状態や材料中に観察される散漫散乱に関して、照射量依存性等の確認をすることができました。NIMS内で試作したチタン系ハイエントロピー合金では、通常の材料よりも強度が非常に高いため、この原因を調べるため、X線回折(XRD)による結晶構造を事前に調べ、TEM等によって、どのような組織や結晶のサイズや相の分布になっているかを調べました。また、結晶粒子のサイズとそのサブグレイン(サブミクロンサイズでクロムやタンタルが濃化している領域とチタンリッチの領域)等の評価を行い、多相の微細粒で構成されていることが分かりました。この他、STEM(TEM)観察のための試料の薄膜化において、集束イオンビーム(FIB)と表面のダメージ層を除去するためにイオンスライサー(Arイオン)で実施しました。このサンプル作りには、薄膜化過程のFIB加工処理のガリウムイオンによって形成される表面損傷層を、イオンスライサーで除去するための良好な状態にする条件で行いました。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本試験と解析を実施する上で、NIMSの長谷川明氏と中山佳子氏には、細心の注力と情熱を頂き、大変お世話になりました。また、電子顕微鏡ユニット事務局の遠藤氏を始めとして、多くの皆様のご協力に、大変感謝致しております。 また、本研究は、科研費研究費(21H04668, 21H04480)、高エネルギー物理学分野の日米協力研究、東京大学の原子力専攻科の共同研究、核融合科学研究所の一般共同研究、及び関連する研究の支援を受けて実施しました。多くの皆様に感謝致します。なお、これらの成果の一部は、現在、Journal of Alloys and Compounds誌に投稿中の論文の査読対応に役立てるために実施し、かつ、近日中に、複数の科学誌に投稿予定の研究論文の一部を構成する予定です。また、関連する材料作製やその特性評価をNIMS内の他の優れた設備群で並行して試験と評価を実施しています。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 若井栄一、能登裕之、柴山環樹、岩元洋介、石田卓、佐藤紘一、薮内敦、義家敏正、高橋俊晴、小林康浩、涌井隆、古谷一幸、鎌田貴晴、安堂正己、猿田晃一、牧村俊助、"体心立方結晶構造を主に持つ鉄系、チタン系、タングステン系ハイエントロピー合金の特性評価(照射効果含む)"、日本金属学会(東京)、2024年3月14日
  2. 若井栄一、"高放射線場で使用を目指すハイエントロピー合金の材料評価法と開発"、東海・重イオン科学シンポジウム(茨城)、2024年1月11日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る