利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.13】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NM0059

利用課題名 / Title

エッジAIの省エネルギー性を向上させるナノエレクトロニクス新材料とそのデバイスプロセス開発

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構 / NIMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

エレクトロデバイス/ Electronic device,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,CVD,リソグラフィ/ Lithography


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

島 久

所属名 / Affiliation

産業技術総合研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-633:SiO2プラズマCVD装置 [PD-220NL]
NM-604:マスクレス露光装置 [DL-1000/NC2P]
NM-660:マスクレス露光装置 [MLA150]
NM-633:SiO2プラズマCVD装置 [PD-220NL]
NM-605:水蒸気プラズマ洗浄装置 [AQ-500 #1]


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

エッジ領域での人工知能(AI)を利用した情報処理(エッジAIコンピューティング)では、省電力性と計算性能の両立が重要な要素の1つである。そのため、エッジAIに適したニューラルネットワーク(NN)の構造や機械学習アルゴリズムの開発が必要である。近年、入力された信号を非線形的に変換して出力できるエレクトロニクスデバイスで信号の前処理を行い、情報処理の対象となる信号自体ではなく、デバイスから出力された信号をNNに入力することで、より小規模なNN、あるいは簡易な機械学習アルゴリズムでの高度情報処理を実現するアプローチが注目を集めている。今回、固液界面の電気化学反応を利用して信号を変換するデバイスの電極形状の最適化に向けて、デバイスの電極形状とデバイスから出力される信号の形状との関係を評価するためのデバイスの試作を行った。

実験 / Experimental

熱酸化膜付きシリコン基板上に電極となるPt(20nm)をスパッタ成膜(研究グループの専用装置)した。Ptの上下には密着層のTa(1nm)を成膜している。SiO2プラズマCVD装置で成膜したCVD-SiO2膜をハードマスクとしてマスクレス露光装置で作製したフォトレジストパターンの構造をPt電極に転写した。ハードマスクの加工はCCP-RIE装置で行った。Pt電極のパターニングはアルゴンミリング装置(研究グループの専用装置)で行った。パターニングしたPt電極全体をCVD-SiO2膜でカバーしたのち、Pt電極の一部をフォトリソグラフィとドライエッチングで露出させた。この電極パターン内に固液界面が形成される。面積や形状を変化させた複数種類の電極パターンを作製した。

結果と考察 / Results and Discussion

図(a)および図(b)は左右の電極面積を同一(10000 mm2)としながら、電極の形状を対照な構造としたデバイス(左右ともに100 × 100 mm2の正方形)と、非対称な構造としたデバイス(左の電極は400 × 25 mm2の長方形で、右の電極は100 × 100 mm2の正方形)の例である。ハードマスクによる加工とPt電極パターン全面を覆うCVD-SiO2膜成膜工程により、Ptパターン端部にドライエッチング工程でフェンスが形成されることもなく、制御された領域のみで固液界面が形成されるデバイス構造を実現することができた。デバイスの端子間に電圧を印加(信号を入力)したところ、電極の形状や対称性に依存した出力信号が得られた。デバイスに対して極性が異なる電圧パルスを入力したところ、電極形状が非対称な場合には正電圧パルスと負電圧パルスに対する出力信号は電流の符号が反転しているのみで信号の形状は同一であったが、電極形状が非対称な場合は正電圧パルスと負電圧パルスに対する出力信号の波形が大きく異なっていた。今後、情報処理性能への影響を詳細に調べる予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


試作したデバイスの電極構造の例。(a)左右の電極形状が対称なデバイス。(b)左右の電極形状が非対称なデバイス。白色点線の内側の領域はPt電極が露出しており、外側はSiO2で被覆されている。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Dan Sato, Characterization of Information-Transmitting Materials Produced in Ionic Liquid-based Neuromorphic Electrochemical Devices for Physical Reservoir Computing, ACS Applied Materials & Interfaces, 15, 49712-49726(2023).
    DOI: 10.1021/acsami.3c08638
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 松尾拓真、米澤雅陽、久保祐樹、島 久、内藤泰久、秋永広幸、伊藤敏幸、野上敏材、小林 正和、木下 健太郎、” イオン液体物理リザバー素子における情報処理性能の電極面積依存性:電極周辺領域のイオンの流れと溶液抵抗の影響”、 第84回応用物理学会秋季学術講演会(熊本)、2023年09月22日
  2. 米澤雅陽、島久、久保祐樹、内藤泰久、秋永広幸、伊藤敏幸、野上敏材、小林正和、木下健太郎、” 電極構造への非対称性導入によるイオン液体物理リザバーデバイスの短期記憶と非線形変換性能の両立”、第84回応用物理学会秋季学術講演会(熊本)、2023年09月22日
  3. 久保祐樹、米澤雅陽、島久、内藤泰久、秋永広幸、伊藤敏幸、野上敏材、木下健太郎、” 熱及び電気的前処理によるイオン液体リザバーの学習性能向上”、第84回応用物理学会秋季学術講演会(熊本)、2023年09月22日
  4. Yuki Kubo, Masaharu Yonezawa, Hisashi Shima, Yasuhisa Naitoh, Hiroyuki Akinaga, Toshiyuki Itoh, Toshiki Nokami, Kentaro Kinoshita, “Improvement of Information Processing Performance in the Ionic Liquid-Based Physical Reservoir Device by Thermal and Electrical Pretreatment”, 2023 MRS Fall Meeting (Boston), 2023年11月30日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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