利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.10】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NM0027

利用課題名 / Title

透過型電子顕微鏡法による高機能性多次元ナノ細孔質複構造物質の微細構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構 / NIMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

未利用資源の有効利用技術/ Technologies for effective utilization of unused resources,易循環型材料設計技術/ Recycling-friendly material design technology,資源循環技術/ Resource circulation technology,ナノ粒子/ Nanoparticles,ナノシート/ Nanosheet


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

山崎 淳司

所属名 / Affiliation

早稲田大学創造理工学部環境資源工学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

伊坂 紀子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-503:200kV電界放出形透過電子顕微鏡(JEM-2100F1)
NM-504:200kV電界放出形透過電子顕微鏡(JEM-2100F2)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

新規の中間バンド材料としてCoをドープしたSnS2のナノ細孔質粒子を水熱合成法により調製し、その微細構造をTEM-STEM-EDXで解析した。さらに、その中間エネルギーバンド構造の生成を第一原理計算で求め、光触媒活性の発現物性を調べた。

実験 / Experimental

純水30 mLを入れた100 mLビーカーに、塩化スズ(Ⅵ)五水和物(SnCl4・5H2O)と塩化コバルト(Ⅱ)六水和物(CoCl2・6H2O)を投入してマグネティックスターラーで十分に溶解し、 錯化剤としてエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(C10H14N2Na2O・2H2O)を加え、さらにチオ尿素(CH4N2S)水溶液を撹拌しながら加えた。得られた溶液をテフロン容器を内装したステンレス製オートクレーブ容器に密封し、適当な速度で回転させながら200℃、24 h水熱処理した。処理後は、ろ過、洗浄を行い60℃で24 h乾燥して粉体試料を得た。
構造解析には、NIMS電顕ステーションのJEM-2100F型分析電子顕微鏡を用いた。サンプルはCu150P(STEM)上に分散させ、EDX分析対応型の2軸傾斜ホルダーに装着した。TEM、HAADF-STEM、EDX-mapping等の観察モードにて、ナノ粒子の組織・構造観察や元素マッピングを行い、各種物性との対応関係を考察した。

結果と考察 / Results and Discussion

本プロセスで調製されたCoをドープしたSnS2は、数100 nm程度の粒子径と、10 nm以下の結晶子サイズのSnS2相と(Co,Sn)S2相が入り組んだ組織からなることが、HRTEMおよびSTEMイメージングによりわかった(Fig. 1、Fig.2)。このことから、Co-Sn固溶体相が均質に分散したSnS2のナノ多結晶粒子の合成に成功したことがわかった. また, 両相の結晶子界面も明瞭であることから、結晶格子間は粒界物質をほとんど挟まずに接合していることが推察された。
さらに、フリーソフトを用いて、CoをドープしたSnS2の2×2×1のスーパーセルを用いたバンド構造計算を行ったところ中間バンドの生成が確認された(Fig.3)。さらにPDOS計算の結果から、中間バンドがCoのd軌道とSのp軌道で構成されていることが推察された。
これにより、Coドープによる室温、可視光下での色素(メチレンブルー)の接触触媒分解能の発現が説明できると考えられた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 HRTEM image of  Co doped SnS2



Fig. 2 STEM-EDX images of Co doped SnS2 prepared by hydrothermal synthesis



Fig. 3  Band structure of 2×2×1 super-cell of Co doped SnS2


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究は、文部科学省「マテリアル先端リサーチインフラ」課題として物質・材料研究機構 NIMS-ARIMの支援を受けて実施されました。実験遂行にあたり、直接のご支援を頂きました伊坂紀子様をはじめ、NIMS電子顕微鏡ユニットの皆様に深く感謝いたします。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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