【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.16】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NM5255
利用課題名 / Title
二次元材料を用いたアンチアンバイポーラトランジスタの作製と論理演算素子への応用
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
シリコン基材料・デバイス, 薄膜, 電子線描画(EB), 蒸着(抵抗加熱、電子線),電子線リソグラフィ/ EB lithography,原子薄膜/ Atomic thin film
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
新ヶ谷 義隆
所属名 / Affiliation
物質・材料研究機構
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NM-601:電子ビーム描画装置 [ELS-F125]
NM-610:電子銃型蒸着装置 [RDEB-1206K]
NM-614:CCP-RIE装置 [RIE-200NL]
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
これまでにP型半導体とN型半導体がチャネル中央部でPN接合を有する特殊な有機トランジスタ (アンチ・アンバイポーラトランジスタ(AAT)) を提案し、室温で4桁に至るドレイン電流の増減に成功した。有機半導体で得られたこれまでの知見を活かして、二次元薄膜材料を用いたAAT素子の開発へと展開した。デュアルゲート型のAATを用いて、トップゲートおよびボトムゲートを入力、ドレイン電流を出力として、入力電圧を最適化することによって、単一素子でAND, OR, NAND, NOR, XOR, XNOR回路を実現した。今回は、有機メモリ層として亜鉛フタロシアニンをコアにもつスターポリスチレン (ZnPc-PS4) を用いて、メモリ層に電荷を書き込むことにより論理演算の種類を切り替えることができることを実証した。
実験 / Experimental
AATデバイスを作製するために電子線リソグラフィーを用いた電極作製を行った。PMMA A6をレジストとして用いて、電子線描画装置(ELS-F125)により電極パターンを作製した。12連電子銃加熱蒸着装置(RDEB-1206K)を用いてCr, Pd, Ti, Auを蒸着することによって、電極を作製した。蒸着する金属は、二次元材料ごとにそれぞれ適した金属を選定して蒸着した。また、二次元材料のヘテロ積層構造を作製するためにPPC/PDMSスタンプを用いたが、スタンプ作製のためにCCP-RIE装置(RIE-200NL)を用いた。
結果と考察 / Results and Discussion
図1に作製したデバイスの光学顕微鏡像を示す。P型半導体としてWSe2をN型半導体としてReS2をそれぞれ用いた。機械的剥離法によって作製したWSe2, ReS2フレークをPPC/PDMSスタンプを用いて、h-BN上にReS2、WSe2の順にフレークの一部が重なり合うように転写し、ReS2上にはCr/Au電極をWSe2上にはPd/Au電極をそれぞれ作製した。その後、作製したデバイス上にメモリ層をスピンコート法により厚さ20 nmで形成した。さらにh-BNを転写し、その周囲をSiO2蒸着によってシールした後にトップゲートを取り付けてデバイスを完成させた。作製したデュアルゲート型AATを用いて論理演算動作を行いAND,OR,NAND,NOR,XOR動作が可能であることを示した。メモリ層に電荷を書込消去することによって、入力電圧の組み合わせを変えることなく、論理演算の種類の切替が可能となった。この結果は論理演算回路とメモリ素子を一体化したロジックインメモリの開発に繋がる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 有機メモリ層を有するデュアルゲート型アンチアンバイポーラトランジスタの光学顕微鏡像
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 新ヶ谷 義隆, 岩﨑 拓哉, 早川 竜馬, 中払 周,相見 順子, 渡邊 賢司, 谷口 尚, 若山 裕, "二次元原子層薄膜を用いたアンチ・アンバイポーラトランジスタによる ロジックインメモリ素子の開発", 応用物理学会(熊本)、令和5年9月21日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:1件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件