【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.13】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NM5196
利用課題名 / Title
ダイヤモンドデバイスの研究
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
カーボン系材料,エレクトロデバイス/ Electronic device,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,リソグラフィ/ Lithography,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,ボンディング/ Bonding
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
笹間 陽介
所属名 / Affiliation
物質・材料研究機構
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NM-635:電子ビーム描画装置 [ELS-BODEN100]
NM-636:マスクレス露光装置 [DL-1000]
NM-609:電子銃型蒸着装置 [ADS-E86]
NM-614:CCP-RIE装置 [RIE-200NL]
NM-638:水蒸気プラズマ洗浄装置 [AQ-500 #2]
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
ダイヤモンドは,優れた半導体特性を有することから,電子デバイス材料として期待されている.本課題では,ダイヤモンド電界効果トランジスタ(FET)の高移動度化を目指し,ダイヤモンドFETを作製した.ゲート絶縁体中の欠陥に起因するキャリア散乱を抑制するため,高品質の六方晶窒化ホウ素(h-BN)単結晶をゲート絶縁体として利用した.我々のこれまでのh-BNゲート絶縁体を利用したダイヤモンドFETでは,接触抵抗を低減させるため,ソース・ドレイン電極とゲート電極をオーバーラップさせた構造としてきた.しかし,そのFETではソース・ドレイン電極を作製した後にそれらとオーバーラップするようにh-BNを貼り合わせているため,電極近傍でh-BNが浮いたスペースやh-BNにひずみが生じることなどの懸念があった.本課題では,それらの解決のため,ソース・ドレイン電極と自己整合させたゲート電極を作製する手法を開発し,それを利用したダイヤモンドFETを作製した.
実験 / Experimental
水素終端化したダイヤモンド基板上に,ゲート絶縁体となるh-BNを貼り合わせた.電極の作製前に水素終端ダイヤモンド上にh-BN を貼り合わせるため,以前の研究の懸念点が解消できると考えられる.その後,電子ビーム描画装置を用いて,電極のパターンをレジストに描画した.その後,電子銃型蒸着装置を利用し,治具を用いて斜め45度からPdを蒸着した.この際,h-BN がマスクとなるため,ソース・ドレイン電極とゲート電極間のスペースにはPd が蒸着されず,ソース・ドレイン電極と自己整合ゲート電極が同時に作製される.その後リフトオフを行った.そして,電子ビーム描画装置及びCCP-RIE装置を用いてh-BNをエッチングし,素子をホールバー形状にした.そして,原子層堆積装置を用いてAl2O3を成膜し,素子を保護した.最後に,マスクレス露光装置及び電子銃型蒸着装置を用いて,電気伝導測定用の導線とパッドを作製した.このようにして作製したダイヤモンドFETは,ワイヤーボンダーを用いて,測定用のサンプルホルダーにボンディングし,電気伝導特性を評価した.
結果と考察 / Results and Discussion
出力特性の測定によって,デバイスの電気伝導特性を評価した.作製したFETは,狙い通りに負のゲート電圧の印加によって,ドレイン電流が増加するp型のFET動作をした.デバイス構造上,ゲート長が25 μmと長いにもかかわらず,最大のドレイン電流密度は30 mAmm-1程度と比較的大きなドレイン電流密度が得られた.このように,Pdを斜めから蒸着するというシンプルな手法によって,ソース・ドレイン電極と自己整合させたゲート電極が作製でき,良好なFET動作をさせることに成功した.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- Yosuke Sasama, "High-mobility hydrogen-terminated diamond transistors with a reduced surface acceptor density", 2023 Taiwan-Japan Workshop on Crystal Growth, Analysis and Calculation (TJ-CGAC), 2023
- 笹間 陽介, 渡邊 賢司, 谷口 尚, 山口 尚秀, "自己整合ゲート電極を有する水素終端ダイヤモンド電界効果トランジスタ", 第37回ダイヤモンドシンポジウム, 2023
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件