【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.04】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23HK0117
利用課題名 / Title
鉄基材料中の微細析出物の照射誘起非晶質化
利用した実施機関 / Support Institute
北海道大学 / Hokkaido Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
Steel materials, Environment-resistant and radiation-resistant alloys, Transmission electron microscopy, Scanning transmission electron microscopy, Ion implantation,,電子顕微鏡/ Electronic microscope,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
叶野 翔
所属名 / Affiliation
東京大学大学院 工学系研究科 原子力専攻
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
大多亮
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
オロワン機構に代表されるように、材料中に第二相粒子を分散析出させることにより、種々の材料特性が改善する。しかし、これまでの本研究グループの研究取組では、照射下において鉄鋼材料中の種々の第二相粒子(炭化物)が不安定化する事象を確認しており、これらの機構解明が求められている。そこで、本研究では、イオン照射前後の原子スケールの微細組織観察を通し、析出物の不安定化機構を解明することを研究目的とした。
実験 / Experimental
鉄基材料中に存在するCrリッチなM23C6を対象とし、照射下における相安定性を調査した。また、その不安定化機構を解明するべく、ここでは、冶金学的手法を駆使し、化学組成を調整したバルク状のM23C6を作製した。これらの試料は、東京大学重照射研究設備(HIT)において160 keV-He+のイオン照射後、FIBによってTEMラメラに加工した。その後、北海道大学Titan3 G2 60-300を用い、格子分解能のHAADF観察、ならびに、EELS分析を実施した。
結果と考察 / Results and Discussion
HAADF観察より、析出物の原子番号に起因したコントラストを確認した。未照射材では、第一原理計算等で予測された原子カラムにFeやCr、Wが配置されていたのに対し、照射材では、Wの配置サイトが不規則に変化しており、所謂、照射によるケミカルディスオーダリングが可視化された。また、EELSを用いた材料密度評価では、照射による析出物の密度低下を確認しており、本事象は、析出物中に形成した照射欠陥に由来すると考えられる。なお、これらの研究結果は、学会、学術論文誌等で報告した。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Sho Kano, Radiation-induced amorphization behavior of thermally-aged M23C6 in F82H-BA12 steel, Journal of Nuclear Science and Technology, 60, 1244-1257(2023).
DOI: https://doi.org/10.1080/00223131.2023.2188271
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Sho Kano, Phase Stability under Irradiation of Secondary Phase Particles in the Nuclear Material, Materia Japan, 62, 159-163(2023).
DOI: https://doi.org/10.2320/materia.62.159
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Sho Kano, Effect of solid solution tungsten on the radiation-induced amorphization in bulk M23C6 fabricated by vacuum induction melting, Journal of Nuclear Materials, 587, 154740(2023).
DOI: https://doi.org/10.1016/j.jnucmat.2023.154740
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Sho Kano, Chemical and topological disordering in M23C6 due to irradiation: An atomic-scale observation, Journal of Nuclear Materials, 587, 154733(2023).
DOI: https://doi.org/10.1016/j.jnucmat.2023.154733
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 叶野翔、安堂正己、渡辺淑之、濱口大、野沢貴史、吉田健太、柴山環樹、阿部弘亨、“F82H鋼中の第二相粒子の照射誘起非晶質化(第五報)”、日本金属学会 2024年春季 第174回講演大会、東京理科大学葛飾キャンパス、2024年3月12-15日
- 叶野翔、安堂正己、渡辺淑之、濱口大、野沢貴史、阿部弘亨、“F82H鋼中の第二相粒子の照射誘起非晶質化(第四報)”、日本金属学会 2023年秋季 第173回講演大会、富山大学五福キャンパス、2023年9月19-22日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件