利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.02】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23HK0110

利用課題名 / Title

炭素系素材の表面処理による吸着・触媒特性の変化

利用した実施機関 / Support Institute

北海道大学 / Hokkaido Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies

キーワード / Keywords

電子分光/ Electron spectroscopy,高度素材識別技術/ Advanced material identification technology,ナノ多孔体/ Nanoporuous material


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

高田 知哉

所属名 / Affiliation

公立千歳科学技術大学 理工学部 応用化学生物学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

漆舘 琉介,原子 藍花,岡本 恵太朗,大森 瑞季,濱田 凪,藤原 清,矢尾 翔太

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

鈴木 啓太

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

HK-201:X線光電子分光装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

各種の炭素系素材は、その表面形態や化学構造に起因する吸着特性・触媒特性を示すことが知られている。これらの性質は、材料の表面において発現する。本研究課題では、多孔質炭素、窒化炭素を主とする種々の炭素系素材の化学的表面処理(シランカップリング処理、オゾン酸化処理、熱分解処理など)に伴う構造変化を詳細に調べ、吸着・触媒特性への影響について検討した。

実験 / Experimental

本課題で実施した種々の研究例のうち、本報告では多孔質炭素の構造改変による触媒的有機色素分解活性への影響について報告する。表面細孔の直径が10nmおよび150nmの多孔質炭素を試料とし、オゾン処理および加熱処理によって試料表面の化学状態を変化させた。処理前後の表面の構造を、X線光電子分光測定、酸塩基滴定、細孔構造測定により評価した。種々の条件での処理前後の多孔質炭素を触媒として用い、過硫酸イオン存在下での水溶液中の有機色素(ローダミンB)の分解速度を比較し、触媒活性に及ぼす表面処理の効果を評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

多孔質炭素表面の元素組成、化学結合状態(表面官能基の組成)をX線光電子分光測定および酸塩基滴定で調べたところ、オゾン処理および加熱処理によって含酸素酸性官能基(カルボキシル基)がそれぞれ増加・減少することが確かめられた。これと併せて、表面処理前後の多孔質炭素を触媒として過硫酸イオン存在下でのローダミンBの触媒分解活性を調べたところ、オゾン処理した触媒では却って活性が低下した一方、加熱処理すると未処理の場合に比べて活性が向上することがわかった。これらの結果から、表面の酸性官能基の量と触媒活性との間には相関があることが確かめられた。この反応については、表面の塩基性官能基が反応活性種の生成に関与するというメカニズムが提案されており、本研究での表面の構造改変によって触媒活性が影響を受けることが裏付けられた。現在は、X線光電子スペクトルの詳細な解析による酸性/塩基性官能基の組成の評価や、電子スピン共鳴測定による反応活性種の検出に取り組んでいる。また、ローダミンB分解の過程で、分子側鎖の脱アルキル化によりローダミン110とみられる生成物が生じることも見出されており、この反応の反応過程についても検討している。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本課題の実施に際してご協力いただいた、北海道大学X線光電子分光分析研究室 鈴木啓太技術専門職員に謝意を表する。また、細孔構造測定は北海道大学触媒科学研究所の吸着測定装置を利用して行った。測定に際してご協力いただいた、下田周平技術専門職員に謝意を表する。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Ryoto Ono, Fluoride removal from water using Zr-modified meso- and macroporous carbons: Effect of pore structure and adsorption conditions, Chemical Engineering Journal Advances, 15, 100512(2023).
    DOI: https://doi.org/10.1016/j.ceja.2023.100512
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Keitaro Okamoto, Tomoya Takada, "Persulfate-based catalytic decomposition of organic dye over porous carbon surface" Chitose International Forum on Science & Technology 2023 (Chitose), Sep. 28, 2023
  2. 原子藍花、下田周平、鈴木啓太、福岡淳、高田知哉,"グラファイト状窒化炭素の光触媒反応効率に対する電子線照射および超音波層剥離の効果" 第13回化学フェスタ2023(東京),令和5年10月18日
  3. 岡本恵太朗、下田周平、鈴木啓太、福岡淳、高田知哉,"多孔質炭素表面における有機分子の触媒的分解反応に対する表面処理の影響" 第50回炭素材料学会(仙台),令和5年11月29日
  4. 漆舘琉介、下田周平、鈴木啓太、福岡淳、高田知哉,"炭素触媒表面の酸化状態が過硫酸塩活性化による有機色素の分解に及ぼす影響" 化学系学協会北海道支部2024年冬季研究発表会(札幌),令和6年1月23日
  5. 大森瑞季、下田周平、鈴木啓太、福岡淳、高田知哉,"多孔質炭素へのアニオン性・カチオン性色素の吸着に対する表面処理の効果" 化学系学協会北海道支部2024年冬季研究発表会(札幌),令和6年1月23日
  6. 濱田凪、下田周平、鈴木啓太、福岡淳、高田知哉,"アミノシラン修飾多孔質炭素による硝酸イオン回収への各種条件の影響" 化学系学協会北海道支部2024年冬季研究発表会(札幌),令和6年1月23日
  7. 漆舘琉介、下田周平、鈴木啓太、福岡淳、高田知哉,"酸化状態を変化させた炭素触媒表面での過硫酸塩活性化による有機色素分解のメカニズム" 日本化学会第104春季年会(船橋),令和6年3月20日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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