利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.02】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23HK0103

利用課題名 / Title

CO2水素化触媒の表面構造の理解とそれに立脚した触媒創成

利用した実施機関 / Support Institute

北海道大学 / Hokkaido Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電子分光/ Electron spectroscopy,ナノ粒子/ Nanoparticles


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

多田 昌平

所属名 / Affiliation

北海道大学大学院工学研究院応用化学部門

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

石川健也,中島大和,中神亜友香,西川創,山口春音,佐藤初音,岡崎未奈

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

鈴木啓太,吉田すずか,坂入正敏

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

HK-201:X線光電子分光装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

二酸化炭素水素化によるメタン合成(メタネーション)は、ゼロカーボン社会を実現するための重要な技術である。我々は、本合成を可能にする新規固体触媒の開発を行っている。メタネーションは発熱であるため、できるだけ低温で運用することで収率を向上させることが見込まれる。しかし、熱的に安定な二酸化炭素を活性化させるには高温が必要である。我々は、低温域でも十分に二酸化炭素を活性化し、メタンを得ることを目的とし、新規Ru触媒の探索を行い、Ru/m-ZrO2触媒(m-: 単斜晶)を見出した。今回は、開発触媒中のRu種の酸化数を議論するためにXPS測定を実施したので報告する。[1]

実験 / Experimental

Ru/m-ZrO2触媒は、選択析出法(SD法)にて調製した。[1] 硝酸Ru水溶液にアンモニア水を滴下し、pHを9にする。この溶液に単斜晶ZrO2(PCS90, PCS110, PCS140)を導入し、10分間攪拌した。この後、遠心洗浄を行い、70度で一晩乾燥した。得た粉の一部は、500度で3時間焼成した。比較として、含浸法(IWI法)でもRu/m-ZrO2触媒を調製した。焼成後の触媒と水素還元後の触媒に関して、XPS測定を行った。水素還元後の触媒の準備は、以下の手順で実施した。まず、300度で30分間、H2気流下で還元処理を行った。得られた触媒は、グローブボックスとトランスファーベッセルを使用することで、大気暴露させずに、XPS装置の資料室に導入した。

結果と考察 / Results and Discussion

図a左に調製した触媒のRu 3p XPSスペクトルを示す。IWI触媒およびSD-cal触媒(SD後に焼成した触媒)では、463.4eVにピークが出現した。一方で、SD触媒(SD後に焼成なし)では、462.1-462.5eVにピークが出現した。図bに触媒写真を示す。IWI触媒およびSD-cal触媒は黒いと、それ以外は薄い黄色をしていた。XPSおよび触媒粉末の色から、IWI触媒およびSD-cal触媒はRuO2を有しており、それ以外ではRu3+種が触媒上に存在していることが示唆された。図a右に水素還元後のXPSスペクトルを示す。触媒の種類によらず、461.6-461.8eVにピークが出現したため、これらの触媒には金属Ruが選択的に形成されていることが示唆される。[1]

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図  調製したRu/ZrO2触媒の(a)Ru 3p XPSスペクトルおよび(b) 写真. Reprinted with permission from [1]. Copyright 2024 American Chemical Society.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] S. Tada, T. Jinushizono, K. Ishikawa, S. Miyazaki, T. Toyao, K.-i. Simizu, M. Nishijima, N. Yamauchi, Y. Kobayashi, R. Kikuchi, Energy Fuels 38 (2024) 2296-2304.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Shohei Tada, Low-Temperature CO2 Methanation over Ru Nanoparticles Supported on Monoclinic Zirconia, Energy & Fuels, 38, 2296-2304(2024).
    DOI: 10.1021/acs.energyfuels.3c04619
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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