利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.02】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23HK0101

利用課題名 / Title

グラフェンの微細加工およびグラフェンデバイスの作製

利用した実施機関 / Support Institute

北海道大学 / Hokkaido Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

エレクトロデバイス/ Electronic device,量子効果デバイス/ Quantum effect device,リソグラフィ/ Lithography,電子線リソグラフィ/ EB lithography,量子効果/ Quantum effect


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

中根 晃紀

所属名 / Affiliation

北海道大学大学院情報科学研究院 情報エレクトロニクス部門 ナノエレクトロニクス研究室

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

アグス スバギョ

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

HK-703:EB加熱・抵抗加熱蒸着装置
HK-704:スパッタ装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

グラフェン電子デバイスの作製に必要なグラフェンをデバイス基板に直接成長させるために、スパッタ装置あるいはEB加熱蒸着装置を用いてSiO2/Si基板とAl2O3基板上にNi触媒膜の成膜をおこなった。グラフェン成長は真空加熱法によりおこない、炭素源としてPMMA膜を用いた。900℃の加熱によりデバイス基板に直接グラフェンの成長をおこなった結果、多層グラフェンを得た。

実験 / Experimental

グラフェン成長に用いられるNi触媒膜の成膜は、EB加熱・抵抗加熱蒸着装置(HK-703)あるいはスパッタ装置(HK-704)を用いておこなった。具体的には、α-Al2O3(0001)とSiO2/Si 基板を有機洗浄したのち、Ni を300 nm 成膜した。炭素源として4%と2%のPMMAをNi触媒膜上にスピンコートし、180 ℃で2分間ベークすることによって溶剤を蒸発させてPMMA膜を得た。作製したPMMA/Ni/基板の試料をランプ加熱装置により用いて900 ℃で加熱した.加熱時間の効果を調べるために、30分と60分の加熱をおこなった。加熱後は、Ni触媒膜をFeCl3のエッチング液により除去して、デバイス基板上のグラフェンをデジタル顕微鏡、ラマン分光装置および原子間力顕微鏡を用いて評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

ラマンスペクトルより、Si/SiO2基板上ではグラフェンの成長が認められないが、Al2O3基板上で取得したラマンスペクトルは1580 cm-1付近のGピークと2700 cm-1付近の2Dピークが観察されることからグラフェンが成長していることが分かった.欠陥由来のDピークも観察されており、その強度がGピークの強度と比較して低い(ID/IG≒0.06)ことから、品質の良いグラフェンが成長したと考えられる。光学顕微鏡を用いて広範囲に観察した結果、成長したグラフェンが数マイクロメートル程度のグレイン状となっていることが分かった(図1参照)。しかし、ラマンスペクトルのDピークがGピークと同程度と高い個所もあるため品質の低いグラフェンの存在も認められており、これらも数マイクロメートル大きさのグレインで成長しており、成長のバラツキがあることが分かった。さらに、原子間力顕微鏡の観察より、高品質なグラフェンの厚さが数 nmから数10 nmの範囲で厚く、グラフェンは多層グラフェンであることが分かった。電子デバイス応用には単層あるいは2層グラフェンが望ましいため、今後はNiの膜厚や他触媒材料の検討、PMMAの濃度と厚さ、加熱時間などの条件の最適化を図る計画である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1  Al2O3基板上に直接成長させたグラフェンの光学顕微鏡像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

参考文献:
[1]. K.S.Novoselov et al., Science 306,666 (2004).
[2]. Y-M.Lin et al., Science 327,662 (2010).
[3]. C-Y. Su et.al., Nano Lett. 11, 3612-6 (2011)
[4]. J. Kwak et. al., Nature Commun 3, 645 (2012).


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 片岡起也, Subagyo Agus,佐藤真, 大和田真,芳野藤也,八田英嗣, 末岡和久、「真空加熱した触媒微細構造を用いたグラフェンデバイス作製」、第84回応用物理学会秋季学術講演会 (口頭発表), 2023年9月20日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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