【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.28】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23HK0052
利用課題名 / Title
歪み印加デバイスを用いた半導体スピン物性の変調と実証
利用した実施機関 / Support Institute
北海道大学 / Hokkaido Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed
キーワード / Keywords
化合物半導体, スピントロニクス素子・物質, 半導体微細構造,スパッタリング/ Sputtering,電子線リソグラフィ/ EB lithography,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,電子顕微鏡/ Electronic microscope,スピン制御/ Spin control,スピントロニクス/ Spintronics,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,スピントロニクスデバイス/ Spintronics device,量子効果デバイス/ Quantum effect device
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
鍜治 怜奈
所属名 / Affiliation
北海道大学 大学院 工学研究院
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
田端孝成,鳥井純平
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
HK-602:超高精度電子ビーム描画装置(125kV)
HK-619:ICP高密度プラズマエッチング装置(塩素)
HK-611:多元スパッタ装置
HK-404:超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡
HK-626:光学干渉式膜厚計
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
量子情報分野への展開を駆動力として半導体量子ドット(QD) に関する研究が世界的に推し進められているが、外部歪みの利用はスピン制御におけるチューニングノブとして有望である。本研究では、圧電特性を有するPMN-PT単結晶をベースとした歪み印加デバイスを作製してQD試料を搭載することで、外部歪みによるQDスピン物性の制御を目指した。
実験 / Experimental
GaAs (111)A基板上に液滴成長したGaAs/Al0.3Ga0.7As QD試料を、図1(a)に示すナノピラー構造に加工した。ナノピラーの作製では、125 kV超高精度電子ビーム描画 (HK-602) とICP高密度プラズマエッチング (HK-619) を利用した。多元スパッタ装置 (HK-611) でPMN-PT表面にAu電極を形成した後、電極上にQDナノピラーを散布、原子層堆積装置 (HK-617) でAl2O3を成膜してナノピラーを固定した。その後、多元スパッタ装置 (HK-611) でAu電極を成膜したサファイア基板と圧電素子を導電性エポキシで接着し、クライオスタット内に設置した [作製工程の概要は同図(b)]。
結果と考察 / Results and Discussion
図2(a)にナノピラーQDの発光スペクトルを示す。試料温度を6 Kとし、励起光源としてHe-Neレーザーを用いた。QDに特徴的な鋭い発光線が観られるが、デバイスに負の電圧を印加すると高エネルギー側に、正の電圧を加えると低エネルギー側に発光線がシフトする様子が確認された [同図(b)]。印加電圧に対する発光エネルギーシフトをプロットしたのが図2(c)である。今回の実験では、最大9 meVのエネルギーシフトが観られた。光学顕微鏡での観察から、正(負)の電圧で圧電素子が膨張(圧縮)することを確認したが、この振る舞いは発光エネルギーシフトの観測結果と定性的に一致する。また、電圧の掃引方向に対するヒステリシスが確認されたが、これは本実験で用いたPMN-PT (PT: 31%) の電圧に対する応答が、測定時間に比べて遅いことが原因と考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 (a) QDナノピラーのSEM画像、(b) 歪み印加デバイスの作製工程。
図2 (a) ナノピラーQDの発光スペクトル (6 K)。外部歪みによるスペクトルの変化 (b)と、エネルギーシフトの外部電場依存性 (c) 。
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本実験で使用したGaAs/AlGaAs液滴QD試料は、物質材料研究機構の黒田隆博士と間野高明博士に提供いただきました。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- Satoru Odashima, Kosei Tabata, Reina Kaji, "Fabrication of the QD nanopillar photon emitter and PL spectral tuning by piezoelectric external force (口頭発表)", 36th International Microprocesses and Nanotechnology Conference (MNC 2023, Sapporo), 令和5年11月17日.
- 田端孝成、鍜治怜奈、小田島聡、足立智, 「歪印加デバイスの作製と単一 QD 発光エネルギー変化 (oral C-3-4)」 第59回応用物理学会北海道支部学術講演会 (北海道大学), 令和6年1月7日.
- 斎藤光汰「歪み印加デバイスを用いた単一量子ドット発光特性の制御」卒業論文 (北海道大学工学部)、令和6年2月.
- 鳥井純平 「半導体量子ドットのスピン制御に向けた歪み印加デバイスの研究」修士論文 (北海道大学 大学院工学院)、令和6年2月.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件