利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.19】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23HK0050

利用課題名 / Title

軽量HEAの開発および水素貯蔵への応用

利用した実施機関 / Support Institute

北海道大学 / Hokkaido Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/ Electronic microscope,水素貯蔵/ Hydrogen storage,集束イオンビーム/ Focused ion beam


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

礒部 繁人

所属名 / Affiliation

北海道大学大学院工学研究院材料科学部門

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

王永明,澤厚貴,内田悠,原田真吾,森有子,平井直美,山﨑郁乃,遠堂敬史,松尾保孝,橋本直幸

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

HK-301:環境セル対応透過電子顕微鏡
HK-304:集束イオンビーム加工・観察装置
HK-402:走査型透過電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

水素は次世代エネルギー媒体として様々な分野での活用が期待され、水素貯蔵技術の一つとして水素吸蔵合金が研究開発されている。その中でもBCC構造を有するハイエントロピー合金(HEA)のTiVZrNbHfは、従来のBCC合金で確認された最大水素吸蔵量H/M=2.0を超える貯蔵量を持つ可能性を示し、注目されている。BCC系HEAの多くは遷移金属で構成されるため重量水素密度が比較的低い。当研究グループでは、重量水素密度の向上を目指し、軽量HEAの創製と水素吸蔵合金への応用に取り組んでいる。本研究では、軽量金属であるLi, Mg, Al, Tiをベースに5元素目としてV, Nbを加えた5元系HEAの創製及び水素吸放出特性評価を行った。

実験 / Experimental

本研究では、Li-Mg-Al-Ti-(V/Nb)系で構成される5元系合金を基本材料とし、作製方法としてメカニカルアロイング法(回転速度:400 rpm、ミリング時間:20 h、Ar雰囲気下)を選択した。作製した試料に対し、水素圧3.0 MPa、室温で15 h保持した際の水素吸蔵速度を容量法により測定した。また、水素吸放出特性評価として、熱重量-示差熱-質量分析(TG-DTA-MS)及びPCT測定(室温)を行った。さらに、XRDにより結晶構造及び格子定数の変化を調査するとともに、重水素を用いた固体核磁気共鳴(NMR)により試料回転数15 kHz、測定周波数92.16 MHzの条件で、水素吸蔵状態における重水素やLiの化学状態を調査した。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig.1にLi8Mg8Al28Ti28Nb28のPCT測定結果を示す。室温での最大水素吸蔵量はH/M=0.68(1.36 wt.%)であり、明確なプラトー領域が観られなかった。また、同試料に対するXRDの結果からLi8Mg8Al28Ti28Nb28はPCT前後でBCC構造を示し、水素の固溶に起因する低角側へのピークシフトが観測された。Fig.2にPCT測定後のLi8Mg8Al28Ti28Nb28における重水素の固体NMR結果を示す。この結果により、吸蔵された水素の化学状態は2種類存在し、①XRDでは検出が困難なLiやMgの微小水素化物クラスターと②TiやNb周りに固溶する水素であることが確認された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1 PCT curve of Li8Mg8Al28Ti28Nb28



Fig.2 MAS NMR spectra of D in Li8Mg8Al28Ti28Nb28


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Shigehito Isobe, Hydrogen storage and ignition properties of pelletized catalyzed magnesium, International Journal of Hydrogen Energy, 53, 517-521(2024).
    DOI: 10.1016/j.ijhydene.2023.12.032
  2. Hirotada Hashimoto, Synthesis of Li-Mg-Al-Ti based lightweight high entropy alloys by mechanical alloying and investigation of conditions for solid solution formation, Journal of Alloys and Metallurgical Systems, 4, 100037(2023).
    DOI: 10.1016/j.jalmes.2023.100037
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 南 達哉、礒部 繁人、橋本 明賢、橋本 直幸、岡 弘、榊 浩司、浅野 耕太,Li-Mg-Al-Ti-Nb系軽量ハイエントロピー合金の創製及び水素吸蔵特性,2023年度日本金属学会・日本鉄鋼協会両北海道支部合同冬季講演大会, 札幌, 2024.1.18-19
  2. 橋本 明賢、礒部 繁人、橋本 直幸、岡 弘 ,Liを含む軽量な単相固溶体合金の創製,令和5年度日本顕微鏡学会北海道支部学術講演会, 北海道大学, 2023.12.9
  3. 橋本 明賢、礒部 繁人、南 達哉、橋本 直幸、岡 弘、榊 浩司、浅野 耕太 Li-Mg-Al-Ti-M系軽量ハイエントロピー合金の創製及び水素吸放出特性評価,2023年度 水素が関わる材料科学の課題共有研究会, 東京工業大学, 2023.12.7-8
  4. 橋本 明賢、礒部 繁人、橋本 直幸、岡 弘 金属-水素化物のメカニカルアロイングによる形成相の調査,日本金属学会2023年秋期(第173回)講演大会, 富山大学五福キャンパス, 2023.9.19-22
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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