【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.02】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23HK0037
利用課題名 / Title
形態制御材料の構造及び組成解析
利用した実施機関 / Support Institute
北海道大学 / Hokkaido Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/ Electronic microscope,電子回折/ Electron diffraction,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,燃料電池/ Fuel cell,太陽電池/ Solar cell,電極材料/ Electrode material,エネルギー貯蔵/ Energy storage
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
北野 翔
所属名 / Affiliation
北海道大学 大学院 工学研究院
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
大多亮,大久保賢二,谷岡隆志,横平綾子,岩崎純子,中川祐貴 ,坂口紀史,柴山環樹
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
環境負荷の少ない発電方法の一つとして、バイオアルコールなどを用いたアルコール燃料電池が注目されている.特にエタノールは人体への低い毒性や既存の流通網などの利点があるが,その発電効率はアノード反応であるエタノール酸化反応(EOR)に制限されてしまうため,高い活性を示す触媒の開発が必要である.高活性な電極触媒の開発方法の一つとして,金属ナノ粒子や水酸化物などを複合した触媒材料の複合界面が,電極反応において高効率な活性点として機能することが報告されている.高活性化メカニズムとして,複合触媒の電子状態の変化や界面における複合物による基質供給が議論されているが,複合界面の局所構造と反応特性の知見は未だ不十分であり,高活性触媒の明確な設計指針は明らかになっていない.複合材料の形状や構造を制御することで複合界面の結晶面や局所構造が明瞭な新規複合触媒を開発できれば,局所構造と反応特性の関係を明らかにすることが期待される.本課題では,形状制御により特定の結晶面を露出させたPdナノ粒子(Pd-NP)に対して,アルカリ電解質中のEORに必要な水酸化物イオンとの親和性が高い遷移金属水酸化物ナノシート(NS)を複合した触媒材料を合成し,EORへの適用を試みた.複合化に伴う物性の変化を調べると共に,複合界面の局所構造が触媒特性に与える影響を明らかにすることを目的とした.
実験 / Experimental
Pd-NPは,既報に従い形状制御剤を用いて立方体(c-Pd)および八面体(o-Pd)を合成した.NSは,水熱合成した層状複水酸化物の剥離操作により,FeNi水酸化物ナノシート(FeNi-NS)およびMnNi水酸化物ナノシート(MnNi-NS)を合成した.合成したPd-NPおよびNSを混合し,複合触媒(Pd/NS)を合成した.Pd-NPとNSの複合状態を確認するため、試料をCuグリッド上に塗布し、STEM観察(Titan3 G2 60-300)を行った。試料をグラッシーカーボン回転電極上に塗布,乾燥させて作用電極とし,Ar飽和の1.0 mol dm-3 KOH水溶液に1.0 mol dm-3 エタノールを加えた電解液中でエタノール酸化反応(EOR)を行った.参照電極にはHg/HgO電極,対極にはPt線を用いた.
結果と考察 / Results and Discussion
SEMおよびTEM観察により,c-Pd,o-Pdは (100)面,(111)面がそれぞれ表面に露出したナノ粒子であり,電子回折像から結晶面特有の回折ピークを確認した.Pd/NSのSTEM観察から,いずれのPd-NPにおいてもその表面にFeNi-NSおよびMnNi-NSが複合化されたことがわかった(Fig. 1).複合前後のXPS測定の結果から,複合触媒におけるPdは複合前よりも高酸化状態に変化したことが明らかとなった.合成したPd-NPおよび複合触媒を用いてEORを測定した結果,貴方向への電位の掃引に伴ってEORの進行に伴う電流密度の増大と,中間体被毒による電流密度の減少がみられた.Pd-NPは複合化に伴い電流密度の増加と過電圧の低下を示し,複合したNSの種類に着目すると,MnNi-NS複合触媒がFeNi-NS複合触媒よりも高い活性を示した.これは,Pdが酸化的な電子状態であり,より水酸化物イオン親和性の高いMnNi-NSが,EORの脱水素反応を促進したためと考えられる.また,複合触媒の形状差に着目すると,複合前にc-Pdより過電圧の高かったo-Pdが,複合後にはc-Pd/NSより低い過電圧を示した.これにより複合界面の局所構造が複合触媒の反応特性に与える影響が示唆された.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1. The composite catalysts of FeNi-NS and (a)c-Pd and (b)o-Pd.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 本橋洋也, 北野翔, 岩井愛, 青木芳尚, 伏見公志, 幅崎浩樹, 水酸化物ナノシート複合形状制御Pdナノ粒子触媒によるエタノール酸化反応, 2023/9/11
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件