利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.01】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23HK0021

利用課題名 / Title

高性能ヘテロ原子ドープ炭素系触媒の開発

利用した実施機関 / Support Institute

北海道大学 / Hokkaido Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

燃料電池/ Fuel cell,電子顕微鏡/ Electronic microscope,電子分光/ Electron spectroscopy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

荻野 勲

所属名 / Affiliation

北海道大学大学院工学研究院 応用化学部門 触媒反応工学研究室

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

鈴木啓太,吉田すずか,坂入正敏,原田真吾,内田悠,澤厚貴,王永明,橋本直幸

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術相談/Technical Consultation


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

HK-201:X線光電子分光装置
HK-302:電界放出形走査電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

窒素ドープ炭素などのメタルフリー炭素系触媒は、酸素還元反応(ORR)をはじめとする、多様な電気・熱化学的触媒反応への利用が期待されている。しかし、その合成において、材料の細孔特性や表面特性を独立して制御することが難しい。よって、それぞれの物性が触媒性能に及ぼす影響を明らかにすることが困難である。本研究では、マイクロ波(MW)を用いた材料の特性チューニングを目指した。目的達成のため、酸化グラフェン(GO)から約1 nmの微細孔を有する窒素ドープ炭素(HS)とその数が少ないもの(NS)の2種類の材料を合成した。これらの試料をシングルモードMW装置を用いて高速加熱し、ORR活性評価することで分子サイズの細孔の表面特性が活性に及ぼす影響について考察した。

実験 / Experimental

HSはNH3水溶液中でGOを水熱処理により還元した後、1000℃で熱処理して合成した。さらに、2種類の還元型GO(NS1,NS2)を日本触媒から入手した。HSNSのMW加熱は、シングルモードMW反応器(2.45 GHz)内でNH3もしくはN2を流しながら1200-1400℃で5 min行った。得られた試料はX-MWT-Yとした(X:加熱試料、T :温度、Y:ガス雰囲気)。比較のため、同一バッチの試料を800 ℃-1100 ℃でNH3中、管状炉を用いて加熱処理した。得られた試料はX-CHTとした。リニアスイープボルタンメトリー(LSV)は回転ディスク電極を備えた3極式セルを用いてO2飽和 0.5 M H2SO4(aq)中で、1700 rpmの条件下で測定した。ORR活性は、LSVから得られた−0.1 mA cm-2の電流密度における開始電位(Eonset)を比較して評価した。細孔特性は、窒素吸着と水蒸気吸着を用いて評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

窒素吸着等温線から、NSと比較してHSではP/P0~10−4で吸着量の増加が見られた。これは水熱処理による還元でGOシートの再積層が抑制され、シート間に由来する微細孔が生成したことを示している。対応する微細孔の大きさは、文献1に基づいて約1 nmと推定された。HSは、NSと同程度の窒素含有量にもかかわらず高いORR活性を示した。このことから、ORRはミクロ孔内で進行していると考えられる。さらに、1200℃のMW加熱処理を行った後もこのミクロ孔は維持され、一方で表面疎水性は向上した。この試料の窒素含有量は800℃のCH処理で得た試料よりも少ないにもかかわらず高いORR活性を示した。しかし、N2中でMW加熱すると十分な窒素含有量とミクロ孔を有しているにもかかわらずORR活性は著しく低下した。このことから、高温のNH3処理によって疎水性ミクロ孔内に炭素欠陥と窒素ドープが生成し、これらが協奏的にORRを進めるものと考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Kodai Satoh, Benefits of Using Rapid Microwave Heating in the Synthesis of Metal-Free Carbon Electrocatalysts, Industrial & Engineering Chemistry Research, 63, 4825-4837(2024).
    DOI: 10.1021/acs.iecr.3c04455
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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