利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.28】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23HK0012

利用課題名 / Title

ナノ構造体電極触媒の合成と構造理解

利用した実施機関 / Support Institute

北海道大学 / Hokkaido Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion

キーワード / Keywords

燃料電池/ Fuel cell,電極材料/ Electrode material,電子顕微鏡/ Electronic microscope,電子分光/ Electron spectroscopy,資源代替技術/ Resource alternative technology,資源循環技術/ Resource circulation technology


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

加藤 優

所属名 / Affiliation

北海道大学大学院地球環境科学研究院

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

庄宇,河村弥季,谷奥真治,齋藤駿,八木一三

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

森有子,山﨑郁乃,平井直美,遠堂敬史,松尾保孝

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

HK-402:走査型透過電子顕微鏡
HK-406:X線光電子分光装置
HK-401:収差補正走査型透過電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

固体高分子形燃料電池 (PEFC) のカソードでは,酸素還元反応 (ORR) が触媒され,酸素が水へと変換されている.アノードの水素酸化反応に比べ,ORRが遅いため,ORRの電極触媒活性がPEFCの性能を支配することが知られている.ORR電極触媒として,カーボン担持Pt合金触媒の活性が高いことから,Pt合金比率やナノ形態制御の研究が数多く報告されている.本研究では,粒子系触媒に比べ,カーボン担体との多点相互作用により高耐久性が期待されているPt合金ナノワイヤの中でもPtNiナノワイヤに着目し,電位サイクル時の形態変化について調べた.

実験 / Experimental

既報の合成法[1,2]に従って,PtNiナノワイヤをオレイルアミンを溶媒として,加熱温度433,493,553 Kの3条件で合成した.電位サイクル前後のナノワイヤの形態変化を収差補正走査透過型電子顕微鏡(日本電子,JEM–ARM200F),超薄膜評価装置(日立,HD–2000)などを用いて観察した.広角散乱環状暗視野走査透過型電子顕微鏡 (HAADF–STEM) 像はJEM–ARM200Fを用い,加速電圧200 keVで取得した.触媒耐久性試験は,353 Kで0.6 Vと0.9 V vs. RHEの矩形波 (各電位3 s保持)を2000電位サイクルの条件で実施した.

結果と考察 / Results and Discussion

得られたPtNiナノワイヤの線径は加熱温度によらず約2 nmであったが,平均鎖長が31, 56, 78 nmと加熱温度の上昇と共に長くなる傾向があった.また,433 Kと493 Kの加熱条件においては,PtNiナノワイヤだけでなく,PtNiナノ粒子の共存も確認できた.Ptの含有量は,加熱温度433, 493, 553 Kの触媒においてそれぞれ94.0, 86.4, 83.7 atom %であった.3種類の触媒の中で特に高い触媒耐久性を示したのが,493 Kで合成した触媒であり,その触媒の形態は,耐久性試験後,Ptスキンを持つ数珠状構造へと変化していた (Figure 1)[2].493 Kで合成した触媒の初期のNi含有量が比較的多かった点と,共存していたPtNiナノ粒子の電位サイクルに伴う溶解,PtNiナノワイヤへの再析出した点の2点が,このような耐久性の高い構造への変化を促したと考えている.このような触媒自身の自発的な構造変化に伴う高耐久性の発現は,今後の高耐久性電極触媒を開発するうえで重要になると考えている.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Figure 1 HAADF-STEM and EDS mapping images of PtNi beads-on-nanowires


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

参考文献.[1] M. Kato, Y. Iguchi, T. Li, Y. Kato, Y. Zhuang, K. Higashi, T. Uruga, T. Saida, K. Miyabayashi, I. Yagi, ACS Catal., 12, 259–264 (2022). DOI: 10.1021/acscatal.1c04597.[2] Y. Zhuang, Y. Iguchi, T. Li, M. Kato, Y.A. Hutapea, A. Hayashi, T. Watanabe, I. Yagi, ACS Catal., 14, 1750–1758 (2024). DOI: 10.1021/acscatal.3c04709.謝辞.本研究は文部科学省委託事業ナノテクノロジープラットフォーム課題として北海道大学微細構造解析プラットフォームの支援を受けて実施されました.北海道大学の平井直美氏にはSTEM像の取得に関して深く感謝致します.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Yu Zhuang, Platinum–Nickel Alloy Nanowire Electrocatalysts Transform into Pt-Skin Beads-on-Nanowires Keeping Oxygen Reduction Reaction Activity During Potential Cycling, ACS Catalysis, 14, 1750-1758(2024).
    DOI: 10.1021/acscatal.3c04709
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 庄宇,加藤優,八木一三,"白金多元合金ナノワイヤーの合成と電位サイクルによる酸素還元活性と耐久性への影響",電気化学会第91回大会 (愛知),2024年3月14日
  2. 河村弥季,シャルカーオビナッシュチャンドロ,加藤優,八木一三,"多元合金触媒を用いた電気化学的亜酸化窒素還元",化学系学協会北海道支部2024年冬季研究発表会 (北海道),2024年1月24日
  3. 谷奥真治,星敬仁,加藤優太,加藤優,八木一三,"Pt含有三元合金ナノワイヤーの合成”,化学系学協会北海道支部2024年冬季研究発表会 (北海道),2024年1月24日と電極触媒活性",
  4. 齋藤駿,佐藤舜,加藤優,八木一三,"高比表面積カーボンを用いた(Cu,Fe)-Nドープカーボン触媒の酸素還元活性",化学系学協会北海道支部2024年冬季研究発表会 (北海道),2024年1月24日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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