【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.14】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23AT0217
利用課題名 / Title
スパッタ装置を用いた銀薄膜成膜と膜厚測定およびアルゴンミリングによる銀薄膜のドライエッチングレートの算出
利用した実施機関 / Support Institute
産業技術総合研究所 / AIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
スパッタリング/ Sputtering,イオンミリング/ Ion milling,X線回折/ X-ray diffraction
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
田中 希宙
所属名 / Affiliation
東邦大学大学院
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
郭哲維
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
AT-025:スパッタ成膜装置(芝浦)
AT-045:触針式段差計
AT-072:微小部蛍光X線分析装置
AT-033:アルゴンミリング装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
実証例が一つしか存在していない動的カシミール効果の実在性を強固にするため、実証実験とは異なるエネルギースケールで実証するための実験試料作成を計画しており、生成光子数を増やすために表面プラズモンポラリトンを利用することを計画している。
今回、産業技術総合研究所ナノプロセシング施設で目的の実験試料が作成できるか否かを、対象である銀薄膜の膜厚を計測するという点で検証した。
可視光領域の波長をもつレーザーを照射することにより、金属界面に発生する表面プラズモンポラリトンを励起させる実験試料作製のため、AT-025を用いてスライドガラスに銀薄膜を成膜し、AT-045、AT-072を用いて膜厚の測定を行った。成膜した厚さは60nmと1000nmの2パターンであり、1000nm成膜サンプルはAT-033を用いてドライエッチングを行い、ドライエッチング前とドライエッチング後の膜厚をAT-045で計測したデータの比較を行うことでAT-033における銀のエッチングレートを算出した。
実験 / Experimental
松浪硝子工業株式会社製のスライドガラスであるFRONTIERコートスライドグラスを基板にAT-025で銀をスパッタリングした。以下に実験手法を示す。
実験① 成膜時間を1分6秒(66秒)に設定し、60nmの銀薄膜を成膜した。成膜した試料はAT-045、AT-072で膜厚を計測した。
AT-045で膜厚を計測する際、スパッタ時にカプトンテープでマスクした部分と銀が成膜されている部分の境目の段差を計測することで成膜された銀薄膜の厚さを計測した。計測の際は、一回の測定を終える毎に針の位置をわずかにずらして測定した。
AT-072で膜厚を計測する際、Cd用フィルタをセットし、コリメーターを2.5mmΦに設定した状態で、同じ箇所を10回測定した。
実験② 成膜時間を18分9秒(1089秒)に設定し、厚さ1000nmの銀薄膜を成膜した。成膜した試料は、AT-045を用いて膜厚を計測した。この時、図1にあるように、触針式段差計を走査し膜厚の計測を行った。その後、AT-033を用いて60秒、150秒、600秒、1230秒の4パターンでドライエッチングを行い、エッチング後の膜厚をAT-045で計測し、エッチング前とエッチング後での膜厚データを比較しエッチングレートを算出した。
結果と考察 / Results and Discussion
実験① 表1,2はそれぞれの測定機器における銀薄膜の膜厚測定結果である。表中にも記載されているが、銀薄膜の膜厚は、AT-045では69.078±4.079[nm]、AT-072では61.07±4.67[nm]と計測された。
実験② 表3に計測した膜厚の測定値、グラフ1が銀のドライエッチング量を示している。各々のエッチング時間とエッチング量から、銀のエッチングレートは7.4[Å/s]という結果となった。4例しか実行できていないため断定はできないが、エッチング時間が短いサンプルの方が膜厚の測定誤差が大きい傾向にある。何例かエッチング時間のパターンを増やしてエッチングレートの安定性を評価する必要がある。エッチングに用いたサンプルの状態にもよるが、仮にエッチングレートの不安定さが装置のビーム由来であるとするならば、現在設定しているビームのウォームアップの時間を延ばすことで、イオンビーム強度の不定性をなるべく小さくする必要があると考えた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 膜厚計測時の触針式段差計走査図
表1 AT045を用いた時の銀薄膜厚表1 AT045を用いた時の銀薄膜厚
表2 AT072を用いた時の銀薄膜厚表2 AT072を用いた時の銀薄膜厚
表3 エッチング前とアルゴンミリング装置によるエッチング後の銀薄膜の膜厚
グラフ1 アルゴンミリング装置における銀のエッチング量
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
AT-072で膜厚を測定する際は装置付近に保管されている標準サンプルで一度計測をしてから目的のサンプルを測定することを勧める。特に、厚い膜厚を持つサンプルを始めに測定してしまうと計測エラーの多発や誤った計測データが出力される。
本年度はほかにも様々な装置を利用させていただきました。ナノプロセシング施設の方々には実験試料作製にあたり多大なご助言、ご協力頂きました。ここに感謝の意を表します。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件