【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.02】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23AT0214
利用課題名 / Title
高緻密凝集体膜の微細構造観察
利用した実施機関 / Support Institute
産業技術総合研究所 / AIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
成形/ Molding,異種材料接着・接合技術/ Dissimilar material adhesion/bonding technology,コンポジット材料/ Composite material
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
鈴木 宗泰
所属名 / Affiliation
産業技術総合研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
飯竹 昌則
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
電子セラミックスの室温プレス成形体の機能性を高めるために、メガプレスフォーミング(MF)法1)による強誘電体膜の高品質化を試みてきた。ここでは、チタン酸バリウム(BTO)のMF膜の機械的性質の改善のためエポキシ樹脂を含浸した膜の物性に関する特徴の理解を整理するため、その微細構造、結晶構造、分極特性、リーク電流特性、誘電特性を評価した。
実験 / Experimental
予め大気中800℃、30 min間の熱処をした平均粒径2 µm(BT-UP2、日本化学工業、蓚酸法)及び100 nm (BT-01、堺化学工業、水熱合成法)の出発原料を用いて、これまでと同様にBTO-MF膜を作製した。その試料表面に、上部電極としてのAuスパッタ膜(0.5×0.5 mm2、厚さ500 nm程度)を堆積し、液状エポキシ樹脂を真空中で含侵してから包装フィルムで挟み、架橋することでエポキシ樹脂含侵BTO-MF膜を得て、SEM及びEDSによる微細構造観察、XRDによる構造評価、分極特性、リーク電流特性、誘電特性の物性評価を行った。膜の相対密度(全体に対するBTO粒子が占める割合)は、膜に含まれるBTOの重量、膜厚、膜面積から得た。作製したMF膜の平均膜厚は、その試料を縦に樹脂包埋下後に「AT-032 クロスセクションポリシャー(ALD付帯)」でフラットミリング処理を行い、断面SEM観察によって得た。MF膜へのエポキシ樹脂含浸の状態は、「AT-032 クロスセクションポリシャー(ALD付帯)」で断面ミリング処理を行い、その処理面のC由来EDSマッピングによって確認した。
結果と考察 / Results and Discussion
作製したエポキシ樹脂含侵BTO-MF膜(相対密度89%)は、断面EDSマッピングからそのエポキシ樹脂がAl箔界面まで浸透していたことが確認され、優れたリーク電流特性と飽和した分極特性も示した(Fig. 1参照)。XRDによる構造解析において、MF膜の2θ/θ回折角がそれぞれの出発原料のものと一致したことから、それらの物性はプレス成形時や樹脂架橋時の圧力の影響をほとんど受けなかったと推察される。一方で、エポキシ樹脂含侵BTO-MF膜の残留分極値(Pr)は焼結体のそれよりも低かった。さらに、誘電特性の温度依存性から、BTO-MF膜の相転移温度とみられる誘電異常はBTOの相転移温度(~130℃)よりも高温へシフトしていた。線膨張係数(10-6/k)に着目すると、Alは23.6、BTOはa軸が15.7、c軸が6.2であり、BTO-MF膜が高い相対密度を有することから、誘電異常が観察された温度域において、BTO-MF膜はAl箔からの引張応力を受けたものと考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
BTOの焼結体とMF膜の分極特性
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献
1) M.
Suzuki et al., J. Am. Ceram. Soc. 103 3479 (2020).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 奥村怜生、松永航輝、鈴木宗泰、髙木優香、早瀬仁則、永田 肇,第52回EMシンポジウム,東京理科大学森戸記念会館、2023/07/04
- 奥村怜生、松永航輝、鈴木宗泰、髙木優香、早瀬仁則、永田肇,粉体粉末冶金協会2023年度春期大会,早稲田大学 国際会議場、2023/06/07
- 松永航輝、鈴木宗泰、銘苅春隆、早瀬仁則,2023年第60回秋期講演大会,名古屋大学東山キャンパス ES総合館、2023/11/23
- 鈴木宗泰,第15回日中強誘電体応用会議,中国山東省泰安市、2023/08/14
- 鈴木 宗泰,セラミックコーティング研究体 2023 年度・第1回研究会,秋保グランドホテル、2023/09/25
- 松永航輝、鈴木宗泰、早瀬仁則、銘苅 春隆,International Congress on Pure & Applied Chemistry Bali, 2023,インドネシア、バリ島、2023/09/13
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:2件