【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.21】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23AT0039
利用課題名 / Title
窒化物半導体のp型ドーパントの開発
利用した実施機関 / Support Institute
産業技術総合研究所 / AIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
太陽電池/ Solar cell,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,電子分光/ Electron spectroscopy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
松崎 功佑
所属名 / Affiliation
産業技術総合研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
赤松 雅洋
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
2050年カーボンニュートラルの実現に向けた太陽光発電の普及促進には太陽電池のさらなる低コスト化が期待され、薄膜太陽電池の1つである有機・無機ハイブリッドPbペロブスカイト太陽電池の登場により、次世代薄膜太陽電池の熾烈な開発競争が進む一方で、長期安定性に優れる無機材料の材料開発は停滞している。 薄膜太陽電池の開発において、低コスト・大面積化が必須で多結晶またはアモルファスの導入が避けられず、意図しない格子欠陥生成の抑制が可能な欠陥耐性の優れた光吸収層の材料開発が不可欠である。しかしデバイス性能劣化の主因である「電子正孔再結合損失」と「ジュール熱損失」の抑制、すなわち光吸収層の「不純物や格子欠陥による深いギャップ内準位の低減」と「不純物のドーピングなどによる低抵抗化」を同時に達成する材料設計法がなく、デバイス開発に時間を要しているのが現状である。 本研究では、低環境負荷のCu(I)系半導体に着目し、不純物導入でギャップ内準位の低減が期待される複合欠陥の生成と、p型電気伝導度の増加を同時に達成できる不純物の探索を行った。その結果Cu(I)窒化物半導体にアルカリ金属不純物のCsを用いるとキャリア濃度の増加が認められたため、Cs不純物濃度をXPSで調査した。
実験 / Experimental
窒化銅多結晶薄膜をガラス基板上に形成し、異なる大きさのアルカリ金属不純物で、「正孔濃度増加」を試みた。銅薄膜から直接窒化銅薄膜を作製できる直接窒化法を用いた。すなわちアンモニアガス・酸素ガスを混合させ、薄膜の表面でアンモニア酸化反応により、アンモニアを活性させ、400℃で高品質な窒化銅薄膜を形成した。次にアルカリ金属の不純物は、炭酸塩を用いて薄膜中に拡散させる方法を採用した(図1)。この方法で作製された薄膜中のCs不純物濃度をXPSのCs3dコアスペクトルを用いて調査した。
結果と考察 / Results and Discussion
不純物にはイオン半径の大きい順にCs、Rb、K、Naの代表的なアルカリ金属を採用した。それぞれの不純物を導入した窒化銅薄膜の電気伝導度、キャリア濃度と移動度を調査した。その中でCs不純物を導入すると、キャリアの極性がn型からp型に反転することが分かった。またCs不純物のキャリア濃度は最大で~1016cm-3であった。次に得られた薄膜中のCs3dのコアスペクトルを図1に示す。Cu2pのCs3sの面積比よりCs濃度は3x1019cm-3と見積もられ、キャリア濃度より3桁程度高いことが明らかになった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1:窒化銅薄膜中のXPS測定によるCs3d5のコアスペクトル。
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件