利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23IT0043

利用課題名 / Title

 単一PSI分子の光電流特性と金基板上に規則正しく配置されたAuナノロッドによるプラズモン増強と偏光依存性

利用した実施機関 / Support Institute

東京工業大学 / Tokyo Tech.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/ Electronic microscope,光デバイス/ Optical Device,電子線リソグラフィ/ EB lithography


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

神戸 遼太

所属名 / Affiliation

東工大 VACHA研

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

IT-038:電子ビーム露光装置
IT-002:電子ビーム露光データ加工ソフトウェア
IT-007:走査型電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

太陽電池やバイオセンサーなどの光デバイスの性能を向上させるための手段として、金属ナノ粒子の局在表面プラズモン効果を応用することが研究されている。金属ナノ粒子の一つである金ナノロッドにはプラズモン効果の偏光依存性が存在するため、その性質を活かすためにはデバイス上に等方向、等間隔に配列させる必要がある。本研究では電極上にPMMA層を製膜し、金ナノロッドが一つ入る穴を複数空け、電気泳動法を用いることで、金ナノロッドの大面積直接配列を試みた。

実験 / Experimental

金基板(ガラス基板に金が10 nm蒸着されている。)上にPMMAを膜厚が50 nm程度になるようスピンコートした。電子ビームリソグラフィーで金ナノロッド(25 nm×60 nm程度)が一つ入る穴(40 nm×100 nm程度)を2000個×2000個、間隔が1 μmとなるように空けた。このパターンの範囲は2 mm×2 mmとなる。金ナノロッドを負に帯電させるために11-Mercaptoundecanoic acidを、正に帯電させるためにポリマーであるpoly-DADMACを用いた。パターンのある金基板を作用電極、金またはITO基板を対電極としてソースメーターに接続し、両極板間の距離を3 mm程度にし、間を金ナノロッド水分散液で満たした。このとき分散液には電解質としてNaClが溶かされている。あらかじめ決められた電圧を一定時間印加し、金基板を乾燥後、暗視野顕微鏡で配列を確認した。

結果と考察 / Results and Discussion

対電極としてITO基板を用い、負に帯電した金ナノロッドの分散液(NaCl 0.2 mM)に5 Vの電圧を70秒印加した場合。部分的に規則的な配列が確認され、青白い散乱光が観察された。この散乱光のスペクトルは520 nm付近にピークを持ち、これは本実験で用いた金ナノロッドの短軸方向のプラズモン共鳴波長に対応する。すなわち金ナノロッドが金基板に対して縦方向に配列していることを意味する。
対電極としてITO基板を用い、正に帯電した金ナノロッドの分散液(NaCl 0.2 mM)に-4 Vの電圧を10秒印加した場合。規則的な配列は確認されなかったが、負に帯電したナノロッドとは異なり、赤い散乱光が観察された。これは金ナノロッドの長軸方向のプラズモン共鳴波長に対応し、金ナノロッドが基板に対して横に配列していることを意味する。このことから金ナノロッドを基板に対して横に配列させるためにはpolyDADMACによって正に帯電した金ナノロッドを用いるべきであることがわかった。
対電極として金基板を用い、正に帯電した金ナノロッドの分散液(NaCl 0.2 mM)に-4 Vの電圧を60秒印加した場合。部分的に規則的な配列が確認され、赤い散乱光が観察された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 対電極にITO、負に帯電した金ナノロッドに5 Vの電圧を70秒印加したときの暗視野観察像。



図2 対電極にITO、正に帯電した金ナノロッドに-4 Vの電圧を10秒印加したときの暗視野観察像。



図3 対電極に金、正に帯電した金ナノロッドに-4 Vの電圧を60秒印加したときの暗視野観察像。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

H.Zhang, Y.Liu, A.Ashokan, C.Gao, Y.Dong, C.Kinnear, N.Kirkwood, S.Zaman, F.Maasoumi, T.D.James, A.Widmer-Cooper, A.Roberts, P.Mulvaney. A General Method for Direct Assembly of Single Nanocrystals. Adv. Opt. Mater. 10, 14, (2022).
宮本恭幸先生、梅本先生(東京工業大学)に感謝します。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 神戸遼太, 大曲駿, VACHA Martin, "規則的に並べられた金ナノロッド基板の作製、及びその局在プラズモン効果による光化学系Iの機能増強 " 2023年光化学討論会 (広島), 令和5年9月5日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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