利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT1043

利用課題名 / Title

ドライエッチングを利用した石英基板への微細加工

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

プラズマエッチング、触針段差計、光学素子,光デバイス/ Optical Device,リソグラフィ/ Lithography,電子線リソグラフィ/ EB lithography,膜加工・エッチング/ Film processing/etching


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

片桐 健

所属名 / Affiliation

株式会社アマダ

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

井原鈴歌,小林寛和

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

藤原誠,水島彩子,太田悦子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-608:汎用NLDエッチング装置
UT-850:形状・膜厚・電気特性評価装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

石英ガラス製の光学素子の微細加工は切削加工などの方法があるが、納期や価格面に問題がある。一方、露光とドライエッチングによって石英ガラスを成形する加工方法は短納期かつ低価格でサンプル製作が可能である。今回ドライエッチングによる石英ガラス加工を対象にエッチング特性に関して調査した。

実験 / Experimental

洗浄した4インチ石英基板にポジ型レジストをスピンコートし汎用NLDエッチング装置でドライエッチングした。ドライエッチングのガス条件は Ar(270sccm)、O2(10sccm)、C4F8(10sccm)、CHF3(10sccm)、処理圧力(APC Press) 0.67Paに設定し、出力(Antenna RF Power)を振って実験サンプルを作製した。各出力におけるエッチングレートとサンプルの外観、表面粗さを評価した。エッチングレートと表面粗さの測定には触針段差計を用いた。表面粗さはサンプル中央付近1か所で長さ0.5mmを触針段差計で測定し算術平均粗さRaを算出した。

結果と考察 / Results and Discussion

図1に各出力でドライエッチングした石英ガラス基板の外観を示す。出力1800Wと1500Wは基板中央部に広範囲で曇り領域が見られる。出力1200Wは中央部が比較的透明だが周辺部に曇り領域が見られる。出力900Wと600Wは外観上透明で曇りがない。図2に出力を変化させた時のエッチングレートを示す。出力が1200W以下の範囲では出力に対してエッチングレートが線形的に上昇している傾向を示している。出力が1200W以上の範囲では出力に対するエッチングレートの上昇量が小さく値が飽和傾向にある。表1に出力と表面粗さの関係を示す。1200W, 1500W, 1800Wの表面粗さは外観評価に対応して高い値を示した。外観上透明な600W,900Wでは2nm以下の値を示し光学素子としても問題なく使用できる品質となった。エッチングレートと表面品質の観点から出力900Wが適切な条件と結論づけた。
今回使用したNLDエッチングではArイオンの物理エッチングによる結合破壊とその他ガスのラジカルの化学エッチングによる揮発除去によってエッチングしている。出力を大きくしたことによって粗さが大きくなる詳細なメカニズムは不明だが、イオンエネルギーが高くなったことによって物理エッチングの安定性に影響したものと推察している。表1によると出力1500Wで粗さが最大となり出力1800Wでやや粗さが低下したように見えるが、これは測定箇所によるばらつきによる差であり両サンプルの粗さは同等の可能性が強いと考えている。文献によると処理圧力も表面の平滑性に影響することが示されているため圧力設定によっても結果が変わる可能性がある。(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvsj2/53/7/53_7_441/_pdf/-char/ja)

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1. 各出力(Antenna RF Power)でドライエッチングした石英基板外観



図2. 出力(Antenna RF Power)とエッチングレートの関係



表1. 出力(Antenna RF Power)と石英基板表面粗さの関係


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本実験の遂行にあたり東京大学大学院技術専門職員の藤原誠様、水島彩子様、太田悦子様に多大なるご助言、ご協力を賜りました。深く感謝申し上げます。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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