利用報告書 / User's Reports


【公開日:2025.01.27】【最終更新日:2025.01.23】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT1027

利用課題名 / Title

ネガ型レジストSU-8を用いたマイクロウェルシート用鋳型の作製

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

光露光(マスクアライナ)/ Optical exposure (mask aligner),光学顕微鏡/ Optical microscope,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,細胞培養デバイス/ Cell Culture Device


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

酒井 康行

所属名 / Affiliation

東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

松永 久美子

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

水島 彩子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-504:光リソグラフィ装置MA-6
UT-850:形状・膜厚・電気特性評価装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

PDMS製ハニカム型マイクロウェルシート(ウェル内接円直径 126 μm)を転写するための鋳型作製方法を確立することを目的とし実験・検討を行った。鋳型となるピラーが無数に並んだ立体構造は3Dプリンターを用いて作製することが可能だが、本鋳型の使用目的であるPDMSマイクロウェルシート作製においては、75℃以上で加熱する工程があるため、耐熱性樹脂が必要となる。しかし、3Dプリンター用耐熱性樹脂は粘性が高いため、内接円直径 500 μm 以下のハニカム型ピラーを高解像度で構築することが難しかった。そのため、本研究では、感光性ネガ型レジストSU-8を用いマイクロウェルシート用鋳型の作製方法を検討した。公開猶予理由:特許出願予定

実験 / Experimental

本実験は、露光後ベイクまでの作業を武田先端知ビルスーパークリーンルーム内のクリーンルーム2(クラス100、イエロールーム)で行った。
【基板の前処理】ホットプレートを用いてシリコンウエハを120℃、10分加熱し、表面を脱水した。
【レジストのコーティング】脱水したシリコンウエハにネガ型レジストであるSU-8ドライフィルム(膜厚45 μm)を製品プロトコールに従って4層積層し、180 μm 厚の膜を成膜した。
【UV露光】次に、Mask Aligner SUSS MA6とマイクロウェルのパターンを持つフォトマスクを用い、成膜済みの基板にUV露光を行った。露光はコンタクト条件で行い、ギャップは10 μm とした。ドーズはSU-8メーカー推奨条件の内、最も厚みがあるもので40 - 100 μm の時150 – 250 mJ/cm2 であった。今回実際に取り扱っている膜厚は約180 μm と超厚膜だったがSU-8は透明度が高いため、ドーズは150 – 250 mJ/cm2の範囲内で最適条件を検討した。
【露光後ベイク】露光後ベイクは、ホットプレートを用い65℃、1分の後、温度を95℃まで上げて10分行った。
【現像】現像には振とう機が必要であったため、露光後ベイクまで完了した基板を遮光して自機関に輸送し行った。露光後ベイクを完了した基盤を安全キャビネット内でSU-8 Developerに浸し、振とう洗浄を0.5~1時間行い、SU-8 Developerを新しいものに置換し同じ作業を2回繰り返した。その後、基板をIsopropanol に浸し5分、2回のリンスを行い、エアブローにて乾燥させた。
観察・評価: 現像済基板を武田先端知ビル、スーパークリーンルームのクリーンルーム3(クラス1000)に輸送し、下記の様に機器を用いて評価した。
【ピラー高測定】触針式膜厚段差計Dektak XTを用い、基板むき出しでピラーの無い部分を0点としてピラー高を測定した。ピラー高は4点測定し、平均値をピラーの高さとした。
【ピラー形状確認】ピラー形状は、レーザー顕微鏡LEXT OLS5000を用い確認した。  

結果と考察 / Results and Discussion

本研究では、ウェル内接円直径 126 μmのハニカム型ピラーを、超厚膜である約180 μmで形成するため、ドライフィルム型のSU-8を積層して使用した。ドライフィルムの積層に慣れない内は、フィルム間に空気やフィルム破片の混入が生じ失敗することがあり、手技のトレーニングが必要であった。しかし液体型SU-8を用いた場合に必要なスピンコートやソフトベイク工程が必要ない点は利点であった。UV露光条件は、高解像度での転写を実現するため、コンタクト条件とし、Gapは10 μm とした。なお、Hard-ContactおよびSoft-Contactの違いによる大きな変化は観察されなかった。ドーズは150 – 250 mJ/cm2の範囲内で検討し、180 mJ/cm2 で問題なくピラーを形成できた。図1はピラー形態のレーザー顕微鏡画像である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1.ピラー形態のレーザー顕微鏡画像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

謝辞
本研究の遂行にあたり、ご指導を賜りました生産技術研究所 機械・生体系部門 篠原満利恵助教、ならびに東京大学 大学院工学系研究科 水島彩子氏に深謝いたします。
参考文献
Shinohara, M. et al. Combination of microwell structures and direct oxygenation enables efficient and size-regulated aggregate formation of an insulin-secreting pancreatic β-cell line. Biotechnol. Prog. 30, 179-187 (2013).


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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