利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.07】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23WS0351

利用課題名 / Title

マイクロ・ナノ流体工学を用いた単一細胞分析の研究

利用した実施機関 / Support Institute

早稲田大学 / Waseda Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

MEMS/NEMSデバイス/ MEMS/NEMS device,スパッタリング/ Sputtering,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,細胞培養デバイス/ Cell Culture Device


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

清水 久史

所属名 / Affiliation

神奈川県立産業技術総合研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

由比藤 勇,高岸 和哉,澁谷 義紀

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

野崎 義人,加藤 篤,星野 勝美,坂口 千佳

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

WS-007:ICP-RIE装置
WS-010:集束イオン/電子ビーム加工観察装置
WS-011:電界放出型 走査電子顕微鏡
WS-012:電界放出型 走査電子顕微鏡
WS-016:レーザー直接描画装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

再生医療、がん治療、組織工学などの分野において、生体組織を構成する細胞集団の不均一性を明らかにするために単一細胞分析の重要性が高まっている。従来の単一細胞分析は、DNAやmRNAなど増幅が可能な核酸に注目したものがほとんどであったが、細胞機能の完全解明にはタンパク質の分析が不可欠である。そこで本研究では、単一細胞プロテオミクス解析を実現するため、10-1000 nmスケールの空間(拡張ナノ空間)を活用し、細胞試料の前処理から免疫分析、高感度検出までを統合したデバイスや、質量分析器に導入するためのインターフェースを開発する。

実験 / Experimental

マイクロ流路は、基板である石英ガラスをRIE法によりエッチングし作成される。しかし、この工程には流体の流れを乱す突起、凹みが多発するという特有の問題があった。ここでは、ガス種、ガス量、RFパワーなどを変えてエッチングし、その表面形態をSEM、FIBで観察、解析することを通して条件の最適化を進めた。概略を表1に示す。主パラメータはRIE前のArエッチング条件(RFパワー)、RIEのガス種(CHF3,C3F8,SF6)である。また、石英ガラスエッチング時のCr膜マスクパターンは、レーザー描画装置、ウェットエッチング法で作製した。 さらに、生成されてしまった突起を化学的方法で除去可能か否かについても検討を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

図1〜図3は、C3F8-RIE前に行ったArエッチングによる表面クリーニング効果を示す。 それぞれエッチング無し、RFパワー200w、400wで3minエッチングを行った結果である。Arエッチング後のC3F8-RIEによるエッチング深さは15−20umである。Arエッチングを行わないと、顕著な突起が多数生成される。RFパワー200wの場合も同様で、多数の突起が見られArエッチングの影響は少ないと思われる。しかし、400wでは基板表面全体が細かな突起で覆われたようになり、滑らかなエッチングは行われていない。石英ガラスの表面形態が突起発生に大きく影響していることを示していると言える。一方、図4はCHF3ガスによるエッチング結果である。C3F8と比較し突起の形状が著しく変化している。この他の条件でも突起を皆無にする条件は見出せていない。
 そこで、HFによる化学的エッチングで突起の除去が可能かを検討した。図5は46%HF:NHF4(1:3)に15分浸漬した後のSEM像である。突起は完全に除去され、細かな凹みとなっていることが分かる。浸漬時間を最適化することで、より滑らかに加工できると考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


表1 エッチング条件一覧



図1 C3F8-RIE後のSEM像(Arエッチング無し)



図2 C3F8-RIE後のSEM像(Arエッチング RFパワー200w)



図3 C3F8-RIE後のSEM像(Arエッチング RFパワー400w)



図4 CHF3-RIEによるエッチング後のSEM像



図5 HF処理による突起除去


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

早稲田大学技術スタッフの方々には、ICPーRIEの操作指導、SEM/FIBによる分析など、多々ご支援頂きました。深謝いたします。 


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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