【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.24】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23WS0061
利用課題名 / Title
インバータ応用に向けた縦型ダイヤモンドMOSFETの開発
利用した実施機関 / Support Institute
早稲田大学 / Waseda Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed
キーワード / Keywords
光リソグラフィ/ Photolithgraphy,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,電子顕微鏡/ Electronic microscope,ワイドギャップ半導体/ Wide gap semiconductor,パワーエレクトロニクス/ Power electronics,高周波デバイス/ High frequency device,エレクトロデバイス/ Electronic device
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
太田 康介
所属名 / Affiliation
早稲田大学 基幹理工学部 電子物理システム学科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
高橋輝,河合アラリック洋平,成田憲人,賈学楨,山本稜将,髙野優希,雨堤耕史,大井信敬,河合空
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
WS-001:イオンビームスパッタ装置
WS-007:ICP-RIE装置
WS-012:電界放出型 走査電子顕微鏡
WS-016:レーザー直接描画装置
WS-022:高耐圧デバイス測定装置+ 高耐圧プローバ
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
低炭素社会の実現に向け、パワーエレクトロニクスのコア技術となる次世代インバータとして、上アームにn型パワー電界効果トランジスタ(n-FETs)、下アームにp-FETsを用いる小型化が可能な高出力高速相補型インバータが提案されている。単一のゲートドライブ回路により、同符号のゲート・ソース電圧(VGS)において、ノーマリーオフ動作のn-及びp-FETsが同時にオン状態になり得ないことから、スイッチング時のデッドタイムが不要となる。よって高周波スイッチングが可能であるため、インダクタンスが小さくなり、フィルタ及びトランスの小型化が可能となる。近年、SiCやGaN, Ga2O3等のワイドバンドギャップ半導体を用いたn-FETsの開発及び商用化が盛んであるが、次世代相補型インバータ応用に向けて、高性能なn-FETsだけではなく、下アームに対応する高性能なp-FETsの開発が求められる。特に集積化と大電流動作、高耐圧化の両立に適した縦型p-FETsの開発は必須である。ダイヤモンドは、広いバンドギャップ(5.5 eV)、高い熱伝導率(22 W·cm-1-K-1)、高い絶縁破壊電界(20 MV/cm)、低い誘電率(5.7)、高い正孔バルク移動度(3800 cm2·V-1·s-1)、高い正孔チャネル移動度(700 cm2·V-1·s-1)など半導体材料として優秀な物性値を有していることから、次世代p-FETsとして期待がされている。そこで本研究では、パワーデバイスにおいて必須の性能となるノーマリーオフ動作に加え、高耐圧かつ大電流動作を兼ね備えた縦型ダイヤモンドパワーMOSFETに向け、開発を行う。
実験 / Experimental
レーザー直接描画装置(WS-016)を用いてトレンチや電極の微細パターンを作成し、イオンビームスパッタ装置(WS-001)にてトレンチエッチング用マスクや電極形成を行った。トレンチエッチングはICP-RIE装置(WS-007)で行い、トレンチ形状は、電界放出型走査電子顕微鏡(WS-012)で観察を行った。完成した縦型デバイスの電気的特性評価は、高耐圧デバイス測定装置+高耐圧プローバ(WS-022)にて行った。
結果と考察 / Results and Discussion
酸化シリコン終端ダイヤモンド(C-Si-O)チャネルを用いた縦型ダイヤモンドMOSFETを作成し(Fig. 1)、閾値電圧-4.5 Vのノーマリーオフ動作及び最大ドレイン電流密度214 mA/mmを達成した(Fig. 2)。p型のFETであるため、閾値電圧が負の時にノーマリーオフ動作となる。C-Si-Oチャネルは水素終端ダイヤモンド(C-H)チャネルと比較し、電子親和力が1 eVほど大きく、ダイヤモンドとゲート絶縁膜Al2O3界面のフェルミ準位と価電子帯上部のエネルギー差が大きくなるため、このように高い電流密度を維持しながらノーマリーオフ動作が可能となる(Fig. 3)。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1. A schematic cross-sectional view of a (001) vertical diamond MOSFET with a C-Si-O channel.
Fig. 2. (a) ID-VDS characteristic of the vertical device with a C–Si–O channel at VDS = −45 V and VGS is varied from −40 to 20 V in steps of 4 V. (b) ID-VGS characteristic at VDS = −10 V.
Fig. 3. Models of the diamond and Al2O3 energy band levels at their interface. (a) C-H channel. (b) C-Si-O channel.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
【利用した他のARIM支援機関と課題番号】
物質・材料研究機構(NIMS), JPMXP1223NM0011
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Kosuke Ota, Normally-off operation in vertical diamond MOSFETs using an oxidized Si-terminated diamond channel, Carbon, 213, 118099(2023).
DOI: https://doi.org/10.1016/j.carbon.2023.118099
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- K. Narita, K. Ota, Y. Fu, C. Wakabayashi, A. Hiraiwa, T. Fujishima, H. Kawarada, "Normally-Off Vertical Diamond MOSFETs with Drain Current Density Over 200 mA/mm using Oxidized Si Terminated Diamond Channel Formed by Si Molecular Beam Deposition Approaches", 2023 Virtual MRS Fall Meeting & Exhibit , Dec. 5-7, 2023 (Poster, Dec. 7, 2023)
- X. Jia, K. Narita, K. Ota, A. Takahashi, R. Yamamoto, A. Hiraiwa,T. Fujishima, H. Kawarada, "Reliable Formation of Diamond p-type Channel by Additional Negative Ions Formed from Corona Discharge", 2023 Virtual MRS Fall Meeting & Exhibit, Dec. 5-7, 2023 (Poster, Dec. 7, 2023)
- K. Narita, K. Ota, Y. Fu, C. Wakabayashi, A. Hiraiwa, H. Kawarada, "Normally-Off Operation in Vertical Diamond MOSFETs Using Oxidized Si Termination Diamond Channel Formed by Si Molecular Beam Deposition Approaches," 2023 International Conference on Solid State Devices and Materials, Nagoya, Japan, Sept. 5-8, 2023 (Oral, Sept. 8, 2023)
- K. Ota, Y. Fu, K. Narita, C. Wakabayashi, A. Hiraiwa, H. Kawarada, "Achievement of the first normally-off operation in vertical diamond MOSFETs using oxidized Si termination diamond channel," Design & Engineering by Joint Inverse Innovation for Materials Architecture(DEJI2MA), Waseda Univ., Tokyo, Mar. 11, 2023 (Poster)
- 山本稜将, 成田憲人, 太田康介, 付裕, 若林千幸, 平岩篤, 藤嶌辰也, 川原田洋, "最大ドレイン電流密度:200 mA/mmを超えるSi-MBD法を用いたC-Si-O側壁チャネルによるノーマリーオフ縦型ダイヤモンドMOSFETの開発", 第37回ダイヤモンドシンポジウム, 東海大学 湘南キャンパス(神奈川県), 2023年11月14日 -16日 (口頭, 2023年11月15日)
- 成田 憲人, 太田 康介, 付 裕, 若林 千幸, 平岩 篤, 川原田 洋, "Si-MBD装置を用いたC-Si-O側壁チャネルノーマリーオフ縦型ダイヤモンドMOSFETの作製", 第10回ZAIKEN Festa , 早稲田大学各務記念材料技術研究所 (東京), 2023年10月5日 (ポスター)(奨励賞)
- 山本 稜将, Xuezhen Jia, 成田 憲人, 太田 康介, 平岩 篤, 藤嶌 辰也, 川原田 洋, " コロナ放電の負イオン照射による C-H ダイヤモンド表面伝導性の改善 ", 第84回応用物理学会秋季学術講演会, ハイブリッド開催(熊本城ホール・熊本市民会館・熊本市国際交流会館・TKP熊本カンファレンスセンター(熊本) + オンライン), 2023年9月19日-23日 (口頭, 2023年9月21日)
- 雨堤 耕史, 太田 康介, 藤嶌 辰也, 川原田洋, "水素終端縦型ダイヤモンドMOSFET における低オン電圧実現に向けた構造検討", 第84回応用物理学会秋季学術講演会, ハイブリッド開催(熊本城ホール・熊本市民会館・熊本市国際交流会館・TKP熊本カンファレンスセンター(熊本)+ オンライン), 2023年9月19日-23日(口頭,9月21日)
- 髙野 優希, 浅井 風雅, 長 幸宏, 太田 康介, 高橋 輝, 平岩 篤, 藤嶌 辰也, 川原田 洋,"縦型高周波ダイヤモンドMOSFETsにおけるソース・ドレインの交換による電流密度向上”, 第84回応用物理学会秋季学術講演会, ハイブリッド開催(熊本城ホール・熊本市民会館・熊本市国際交流会館・TKP熊本カンファレンスセンター(熊本)+ オンライン), 2023年9月19日-23日(口頭, 2023年9月21日)
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件