利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.08】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23WS0062

利用課題名 / Title

高周波領域におけるダイヤモンドFETの高出力化

利用した実施機関 / Support Institute

早稲田大学 / Waseda Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

走査電子顕微鏡,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,ALD,CVD,PVD,スパッタリング/ Sputtering,リソグラフィ/ Lithography,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,電子線リソグラフィ/ EB lithography,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,ダイシング/ Dicing,光学顕微鏡/ Optical microscope,高周波デバイス/ High frequency device


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

川原田 洋

所属名 / Affiliation

早稲田大学 基幹理工学部 電子物理システム学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

高橋 輝

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

WS-007:ICP-RIE装置
WS-004:原子層堆積装置
WS-001:イオンビームスパッタ装置
WS-012:電界放出型 走査電子顕微鏡
WS-022:高耐圧デバイス測定装置+ 高耐圧プローバ


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

現在の社会では5Gの施行に始まり高速大容量通信の需要が拡大しています。そのため高周波領域において高出力な半導体デバイスが必要不可欠となっており、そのためには絶縁破壊電圧の向上や電流密度の増加が必要になります。半導体不足が叫ばれる現在、ダイヤモンドは従来多用された半導体材料であるシリコンに代わる新たな半導体材料として研究が活発化している。ダイヤモンドは装飾品としての価値だけでなく広いバンドギャップや高い熱伝導率などの複数の良好な物性値を有しており、表面の水素終端化及びアルミナの原子層堆積によって2次元正孔ガスを誘起する事で、高いキャリア密度を有するホールの蓄積層を形成するため高周波・高出力増幅器としての応用が期待されています。またダイヤモンドの高い熱伝導率を活かしたマルチフィンガー構造を実現することで単位面積当たりの出力を増加することができ、今回空中配線のエアブリッジ構造ではなく地下を導通する縦型構造を導入したことでダイヤモンドの良好な物性やトレンチ側壁および表面の終端による特性を生かしてダイヤモンドが他材料に比べて優位性を確立できることが期待されています。

実験 / Experimental

この研究では、P+基板をソース電極とした縦型構造のマルチフィンガー構造の高周波ダイヤモンドMOSFETデバイスの作製を行った。デバイス断面図はFig.1に示す。本施設の設備を用いた具体的なプロセスとしては紫外線露光装置を用いてパターン形成を行った後イオンビームスパッタ装置でマスクを堆積させICP-RIE装置でのエッチングを行った。マスク除去後エッチングの状況をSEM及び触針式段差測定(テンコール)によって深さやエッチング側面の状態などの確認を行った。今回のデバイス作製では合計2回のトレンチエッチングプロセスを行ったが、その内Source電極部分のトレンチエッチング後のSEM画像をFig.2に示す。他には紫外線露光装置でレジストのマスクパターンを形成しプラズマリアクターで素子分離を行った。そしてALD装置にて水を酸化剤としてゲート絶縁膜(Al2O3)を堆積させた。最後に紫外線露光装置にてパターンを形成してからイオンビームスパッタ装置にてゲート電極を堆積させた。完成後の基板全体の光学顕微鏡画像を次のFig.3に示す。測定では高耐圧測定装置にてDC測定を行った。そこで得たデータをもとに高周波測定装置にて高周波特性を測定した。

結果と考察 / Results and Discussion

本研究における結果に示すのはDC特性と高周波特性の結果である。ゲート幅とトレンチ幅をいくつか振り分けた設計があり、全部で14種類ある。その中でも最大の実電流を記録したのは総ゲート幅2000µm、トレンチ幅8µmのデバイスでIDSmax=-499.9mAだった。また最大の電流密度と相互コンダクタンスを記録したのは総ゲート幅500µm、トレンチ幅8µmでIDSmax=-297.4mA/mm, gm=13.16mS/mmだった。これらのDC特性の結果をFig.4に示す。またマルチフィンガー構造の特徴であるゲートフィンガー数を2倍にしたことで実電流が2倍に増加しつつ電流密度を維持しているという特徴も見られた。またトレンチ幅での特性比較を行った時、トレンチ幅が大きいほど実電流が大きくオン抵抗は小さくなるという傾向も見られた。次に高周波特性だがDC特性で得たデータを元に相互コンダクタンスが大きいバイアス点で測定を行った。トレンチ幅による利得の変化を示したFig.5のSパラメータS21の変化ではトレンチ幅増加に伴い利得が向上しているのが分かる。これはトレンチ幅の拡大で電流値が上昇し相互コンダクタンスが増加したためだと考えられる。今回測定できた中で最も大きい最大発振周波数の値はFig.6に示す通り0.9GHzであった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig1. デバイス断面図



Fig2. Sourceトレンチエッチング後SEM画像



Fig3. 完成後基板全体光顕画像(100基板)



Fig4. 実電流最大(左)、電流密度及び相互コンダクタンス最大(右)デバイスのDC特性



Fig5. トレンチ幅での高周波特性(S21)比較



Fig6. 最も大きい最大発振周波数のデバイスの高周波特性


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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