【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.08】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23WS0033
利用課題名 / Title
ハイブリッド光集積回路のためのシリコン導波路加工とチップ集積化の研究
利用した実施機関 / Support Institute
早稲田大学 / Waseda Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,CVD,スパッタリング/ Sputtering,成形/ Molding,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,ダイシング/ Dicing,電子顕微鏡/ Electronic microscope,光学顕微鏡/ Optical microscope,高品質プロセス材料/技術/ High quality process materials/technique,光導波路/ Optical waveguide,MEMS/NEMSデバイス/ MEMS/NEMS device,光デバイス/ Optical Device
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
クツ テイエツ
所属名 / Affiliation
早稲田大学 基幹理工学研究科 電子物理システム学専攻
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
眞砂仁
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術相談/Technical Consultation
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
WS-007:ICP-RIE装置
WS-009: Deep-RIE装置
WS-015:電子ビーム描画装置
WS-012:電界放出型 走査電子顕微鏡
WS-001:イオンビームスパッタ装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
本研究では直接遷移半導体を用いた高光利得デバイスをシリコンフォトニクスプラットフォームに集積化することで必要な機能をすべてカバーできるようになる観点で、SOI基板を用いて、まず表面に光処理構造を作製し、基板表面で発光素子を接着するための深掘りを行う。そして、ハイブリッド集積化工程で発光素子をSOI基板の深掘り部分に接着し、発光素子の発光部から、光処理構造の受光部までの低損失な光伝搬を実現する。発光素子とSOI基板の集積化で発光しにくいSOI基板にも自体から発光できることを目指す。光信号処理性能が高いSOIに発光素子を集積化することで、分けている信号処理部と光源部が一体になって、製品の小型化と低コスト化が実現できる。
実験 / Experimental
1) SiO2堆積 プラズマCVD装置を用いて、SiO2を堆積させる。このSiO2膜厚によりSOI基板上のスポットサイズコンバーターをカバーし、クラウド層として光を閉じ込む。本研究では1.5µmで固定して行った。蒸着レートは30.8nm/minである。 2) Ni堆積 イオンビームスパッタ装置を用いて、Niを堆積させる。このNiは後のドライエッチングを対応するため作製したマスクなので、ドライエッチングでのエッチングレートとエッチングする時間を含めて計算する必要がある。ドライエッチングで選んだガスはC3F8:Ar=50:8 sccmとなって、その条件でNiに対するエッチングレートが3nm/minである。30minをエッチングする予定なので、90nm以上のマスクを成膜する必要がある。本研究では120nmで固定して成膜した。蒸着レートは10nm/minである。 3) 領域分け フォトレジストAZを用いて、SOI基板を塗布する。そして、スポットサイズコンバーターの先端に付けたフォトマックの部分に合わせることにより、段差作成の位置を決めて、チップ集積部分と表面パター部分を分ける。 4) ICP-RIE C3F8:Ar=50:8 sccmのガスを使用して、SOI基板表面に付けた1.5µmのSiO2層、220nmのSi層、2µmのSiO2(box)層をエッチングする。SiO2(box)層エッチング不完全を防ぐため、計算できたエッチング時間を10%程度オーバーエッチングする。 5) Ni除去 HF:H2O2:H2O=1:1:4のエッチング液を使用して、ICP-RIE後に残したNiマスクを除去する。エッチングレートは3nm/sである。Niマスクは銀色なので、エッチングする過程で基板表面の色変化によりエッチング完成を簡単に確認できる。 6) Ni堆積 2)のNi堆積と同じプロセスを行う。IBSの成膜として、ターゲット材料が噴出し、基板表面だけでわなく、既に作製したパターの外側にも成膜する可能なので、既に作製したスポットサイズコンバーターがある断面もカバーできる。ここのNiマスクは最後のエッチング面平坦化する場合のマスクとして使用する。 7) Al2O3堆積 2)のNi堆積と同じ、ただ成膜する材料をAl2O3に入れ替わる。蒸着レートは6.39nm/minである。本研究では200nmで固定して成膜する、Al2O3マスクはボッシュプロセスのマスクとして使用する。Al2O3はDEEP-RIEのSF6/C4F8ボッシュプロセスでほぼエッチングしないため、マスクとして使用する。 8) AZ塗布 成膜したSOI基板にAZを塗布し、チップ集積化が必要な接着部分を残すためのAZのフォトリソグラフィを行う。 9) 斜め露光 通常ポジ型のレジストであるAZフォトリソグラフィは除去したい部分に光を当たる必要があるが、エッチングした部分と基板表面の段差により、光がエッチングした部分に光が到達する場合の損失が把握し難いので、ネガ型として利用した反転リソグラフィを行う。パターニング露光ではローパスフィルタを導入し、全面露光ではフィルタを用いずに露光する。また、全面露光する場合、光源と基板表面は一定な角度があって、エッチングした部分と基板表面は段差が存在するので、光源を段差側面に向いて露光する。そうすると、光が基板表面だけ当たる。反転リソグラフィの場合、光が照射する部分が残るので、段差側面に付けたAZも残れるようになる。 10) Al2O3除去 NMD-3をエッチング液として80°Cに加熱して使用する。エッチングレートは5nm/sである。200nmのAl2O3に対して、40sのウェットエッチングを行う。ウェットエッチングする時、エッチング液の等方性より、サイドエッチングが発生する。Al2O3はDEEP-RIEのマスクとして使用し、段差部分の1.5µmのSiO2層、220nmのSi層、2µmのSiO2(box)層をカバーしている。底辺が2µmのSiO2(box)層であり、DEEP-RIEはSiO2(box)層をエッチングしないので、サイドエッチングによる、Al2O3マスクが下から一部エッチングされても側面カバーする効果が維持できる。 11) Ni除去 5)のNi除去と同じプロセスを行う。 12) ICP-RIE 5)のICP-RIEエッチングと同じプロセスを行う。しかし、エッチング時間が30minから5minに変わる。このエッチングはウェットエッチング後、残留可能なAl2O3とNiマスクを除去するため行っている。 13) DEEP-RIE SF6/C4F8を用いたボッシュプロセスを130回で150µmの段差を作製する。
結果と考察 / Results and Discussion
2重リング共振器のフィルタ特性によって透過される光は主ピークが1550.8 nmで -21.42 dB、副ピークが1535.6 nm で -29.05 dBで透過率の差は7.63 dBとなった。また、主ピークの透過率をより向上させるためにTO効果によるピークシフトを行った。L=25.15 µm のとき波長が1551.0 nmでピークが見られ、L=36.69 µm のとき波長が1550.8 nmでピークが見られた。第2章のTO効果より温度の上昇によってピークシフトは波長が増加する方向にシフトするため、1550 nm付近のピーク小さい L=36.69 µm のリングに対して温度を上昇させることでより透過率を増加させることができる。測定結果より40 ℃ に増加した際に主ピークの透過率は1551.6 nmで -21.26 dBで最大になる。また、その際の副ピークは 1536.6 nmで -28.53 dB であり、透過率の差は7.27 dBとなった。以上、ファイバトゥファイバによる光学特性評価によって作製した導波路の伝搬損失、リング長による波長選択フィルタのはたらき、重ね合わせによる1550 nm 付近の波長の光の選択性、温度変化によるTO効果の発生及び温度とピークシフトの関係を測定できた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件