利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.02】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22MS5015

利用課題名 / Title

有機材料局所伝導度測定

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

キラル構造体、CISS効果、機能性デバイス


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

佐藤 拓朗

所属名 / Affiliation

自然科学研究機構分子科学研究所協奏分子システム研究センター

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

鍋井 庸次,中島 良太,相澤 洋紀,Malatong Ruttapol,Urban Adrian Joe,山本 浩史

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-204:走査プローブ顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

本課題は、対称性と結合した新奇な伝導現象を検出し、そのミクロな起源を明らかにするとともにデバイスへの展開を目指したものである。特に、近年注目を集めているキラルな対称性に注目し、キラル構造体を電子が通過した際に生じる自発的な巨大スピン偏極現象(CISS効果)の実験的な観測に取り組んだ。具体的には、強磁性電極と組み合わせた局所伝導度測定を行い、CISS効果が局所磁気抵抗に及ぼす影響を定量的に評価した。

実験 / Experimental

具体的な対象物は、電極基板上に形成した自己組織化キラル単分子膜や、Physical Vapor Deposition(PVD)法で作成したらせん超分子である。AFMを用いた局所伝導測定と、磁性基板を組み合わせ、磁性基板を偏極させた状態で、AFMチップと下部磁性電極との間に流れる電流を詳細に調べた。磁性体の向きの制御は、磁性基板の下に配置した外部制御可能な磁石を用いて行った。

結果と考察 / Results and Discussion

上記の実験の結果、磁性基板の偏極の向きを反転させることで、流れる電流に有意な変化が見えることが明らかになった。さらに、その変化の符号は、測定した分子のキラリティに強く依存することから、CISS現象を明確に検出できたと考えている。本申請課題では、外部制御可能な磁石を用いて磁性体の偏極の向きを反転させたが、これによって、磁性の向きを変える前後で、測定試料を動かす必要がなくなり、ほぼ同一点で磁性の影響を調べることが可能になった。検出される電流の場所依存性を取り除くことができ、より定量的な評価を行うことができた。今回確立した手法は、引き続き他の試料に適用していく予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. R. Nakajima, Giant spin polarization and a pair of antiparallel spins in a chiral superconductor, Nature, 613, 479-484(2023).
    DOI: 10.1038/s41586-022-05589-x
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 1.相澤 洋紀, 佐藤 拓朗, 米倉 功治, 眞木-米倉 沙織, 濱口 祐, 高場 圭章, 湊 丈俊, 山本 浩史, 応用物理学会 PVD法で成長するCo(Ⅱ)フタロシアニン螺旋超分子の磁性基板を用いたキラル分割
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る