利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.23】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22TT0045

利用課題名 / Title

撥水機能のためのマイクロテクスチャ付き圧延ロールの製作

利用した実施機関 / Support Institute

豊田工業大学 / Toyota Tech.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

形状・形態観察,バイオミメティクス,撥水、機能性表面,リソグラフィ/Lithography,膜加工・エッチング/Film processing and Etching


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

井坂 太聞

所属名 / Affiliation

豊田工業大学大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

福本由美子,中山幸子

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TT-005:マスクレス露光装置
TT-006:マスクアライナ装置
TT-008:洗浄ドラフト一式
TT-007:レジスト処理(アッシング)装置
TT-018:非接触3次元表面形状・粗さ測定機


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

研究室グループは、潜像付きのレジスト膜を貼り付ける方法で、圧延ロール面にマイクロテクスチャ微細パターンをフォトリソグラフィ加工によって製作できることを示した[1]。但し、圧延ロール鋼材に形状を刻むため、等方性ウェットエッチングを使ったため、アスペクト比は0.1程度の浅い構造に留まった。これを、微細で深い(または高い)高アスペクト比構造の硬質材料で作れるように改良する。ハスの葉が持つ撥水機能を創る場合など、バイオミメティクス分野では、凹凸構造のアスペクト比1以上が求められることが多い。この実現に、レジスト膜の微細パターンを元にした、めっき堆積が良いことに気付いた。レジスト膜に覆われていない部分にめっきを堆積し、レジスト膜を除去して凹凸違いの硬質材料に替える。レジスト膜厚まで高い構造が得られる。エッチングとは異なり、鋼の結晶粒が悪影響せず、スムーズな形状が得られる。熱交換フィン表面に撥水構造を転写するため、圧延ロール上にハスの葉に似せた微細凹凸構造を製作した。研究室で初めて曲面上に10μm以上の高さ、アスペクト比1以上の凹凸を製作できた。

実験 / Experimental

Fig.1に圧延ロール面への微細凹凸形成プロセスを示す。①8μm角の正方形が12μmピッチで並んだパターンを持つガラスマスクに、液体PVAとレジストをスピン成膜した。更にレジストTHMR-iP5700HP, 100cPを500rpmで10s、750rpmで30sスピン成膜した。②ガラス側からi線を550mJ/㎠露光した。③ガラスマスクからPVA/レジスト膜を.剥がした。この膜をロールに巻き付けて真空パックした。80℃の空気循環路で30分熱圧着した。④水にさらしてPVAを溶解した。⑤現像液にてレジスト膜を現像した。⑥酸素プラズマによりロール面にありえるレジスト残渣を除去した。この段階でレジストパターンの厚みは約11μmであった。⑦光沢Niめっきを狙い10μmで堆積した(外注)。⑧ロールをアセトン浸漬してレジストを除去した。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig.2(a)はNiめっき微細凹凸を形成した圧延ロール面を非接触3次元表面形状・粗さ測定機にて測定した結果である。Niの.規則的な凸構造ができている。Fig.2(b)はロールに対してPVA液で型取りして剥がした形状で、凹凸が逆転している。(a)よりも2倍だけズームレンズ倍率が低倍率で、広域の形状からロール円筒面のRが見られる。凹凸高さ約12.2μmである。幅は約7.7μmである。但し、面内方向は解像度不足のため誤差があると考えられる。デザイン幅8μmやピッチ12μmを考えて、アスペクト比1以上は得られたと判断できる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Process sequence for patterning the microstructure on the roll.



Fig. 2 White light interferometer observation of (a)the roll surface and



(b)the molded PVA film from the roll.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究の一部は2021年度 天田財団助成 AF-2021013-B2 一般 研究開発助成の支援を受けた。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Minoru SASAKI, Fine Patterning Method for Roll Surface Using Photolithography, Journal of the Japan Society for Technology of Plasticity, 60, 195-202(2019).
    DOI: https://doi.org/10.9773/sosei.60.195
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. [1] 佐々木実, 弓削英翔, 鈴木大瑛, “フォトリソグラフィ加工による圧延ロール面への微細パターン形成 ― テクスチャリング用レリーフの一括形成 ―”, 日本塑性加工学会論文誌「塑性と加工」Vol. 60, No.702 (2019) 195-202.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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