【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.23】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22TT0042
利用課題名 / Title
微細加工技術による立体機械部品への機能性表面の創成
利用した実施機関 / Support Institute
豊田工業大学 / Toyota Tech.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
膜加工・エッチング,形状・形態観察,切削工具,マイクロテクスチャ,リソグラフィ/Lithography
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
韓 剛
所属名 / Affiliation
豊田工業大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
久野友滉
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
福本由美子
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
TT-005:マスクレス露光装置
TT-006:マスクアライナ装置
TT-008:洗浄ドラフト一式
TT-011:Deep Reactive Ion Etching装置(Boschプロセス)
TT-015:デジタルマイクロスコープ群
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
昨年度のナノPF利用(JPMXP09F21TT0001)に引き続き、シリコン基板を両側から垂直エッチングして作る貫通構造を一種のマスクに応用する発展研究を進めた。その一つとして、切削工具すくい面への、数µmサイズの微細マイクロテクスチャリングを試みた。マイクロテクスチャにより、切りくずとすくい面の摩擦を低減して工具の切削力を低減することによる省エネ効果、工具の摩耗を抑制して寿命を延ばす効果が期待できる。従来は、ワイヤ放電加工を適用した研究報告がなされているが、サイズが100μmと粗い溝にすぎなかった。
実験 / Experimental
Fig. 1に、Siハードマスクの製作プロセス(ステップ1-7)と、更にこのマスクを利用した切削チップの加工プロセス(ステップ8-10)を示す。厚さ200μmの両面研磨Siウェハを、表と裏側からパターニングして垂直エッチング(共用装置のDeep Reactive Ion Etching装置を利用)した。Si格子のデザインは、ラインとスペースいずれも2μm、ピッチ4μmである。長さ100μmに区切った細長い穴が約4mm角の広域に並ぶ。Siハードマスクの厚みは約50μmである。
結果と考察 / Results and Discussion
Siハードマスクを利用してエッチングした切削チップは、三菱マテリアル社、TPGX110308 UTi20Tである(対象被削材:ステンレス鋼など)。11°のテーパが付いた壁面を持つ正三角形(角を3回入れ替えて利用可能)、厚さ3.18mmの板である。三角コーナの半径は0.8mmである。チップ平板をセットする治具を作り、その上にSiハードマスクをカプトンテープにて固定した。Fig. 2(a)は加工したチップ先端の写真である。エッチング条件は、以下の論文・プロシーディングに示したものと同じである。Arイオン照射による物理エッチングのため、超硬材料に対しても変化は僅かである。Siハードマスクのピッチ4μmの規則的な格子パターンが転写できた。Fig. 2(b)拡大図から、エッチング幅が広くなっていることが分かるが、イオンの回り込みやマスクの浮きがあるためである。狙いのアスペクト比は1(深さ2μm)としたが、Siハードマスクは鋼と同程度の丈夫さで、厚み余裕があるため、もっと深い加工も可能である。なお、製作した切削チップを使ってステンレス棒を旋盤加工したところ、省エネ効果を確認した。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 Fabrication sequence of the Si hard mask (steps 1-7) and plasma etching of the face of cutting tool (steps 8-10).
Fig. 2 (a)Tip corner and the microtextured face of cutting tool.
Fig. 2(b) Magnified microtexture.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
・チップ加工に利用した誘導結合型プラズマエッチング装置は自作したもので、鋼加工の専用機である。
・ 本研究は、公益財団法人 大澤科学技術振興財団(大澤財3第14号-1)の助成を受けた。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Gang Han, Microtextured die using silicon stencil mask for micro-machining of stainless steel, Japanese Journal of Applied Physics, 61, SA1012(2021).
DOI: 10.35848/1347-4065/ac1c3b
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Gang Han, Dry Etching of Stainless Steel Using a Silicon Hard Mask, IEEJ Transactions on Sensors and Micromachines, 142, 259-265(2022).
DOI: https://doi.org/10.1541/ieejsmas.142.259
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- (1) Gang Han, Minoru Sasaki, “Microtextured Die Using Silicon Stencil Mask for Micro-machining of Stainless Steel”, Japanese Journal of Applied Physics Vol. 61 (2022) SA1012.
- 韓剛, 佐々木実, “シリコンハードマスクを用いたステンレス鋼のドライエッチング”, 電気学会論文集E, Vol. 142, No. 10 (2022) pp.259-265.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件