利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.14】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NU0083

利用課題名 / Title

高純度同位体シリコンエピ基板の構造評価

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

同位体シリコン, 半導体ヘテロ構造, 量子情報処理,電子顕微鏡/Electron microscopy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

宮本 聡

所属名 / Affiliation

名古屋大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

加納 光樹,佐藤 剛志,伊藤 耕平,宇佐美 徳隆

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

山本悠太,樋口公孝

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-102:高分解能電子状態計測走査透過型電子顕微鏡システム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

制御性のある量子ビットを数十nm間隔で高度集積化して大規模なシリコン量子コンピュータを実現するためには、母体基板として最有力な同位体シリコンSi-28エピ膜において、原子レベルでの表面・界面平坦性を確保し、更にはエピ膜内部の結晶欠陥・転位制御による高品質化が重要となる。本課題では、我々が独自に開発したこの同位体制御Si-28エピ基板を、透過型電子顕微鏡(TEM)で詳細に構造観察し、所望とする構造が作製出来ているか精密に評価することを目的とする。本年度は、前年度に引き続き、シリコン同位体Si-28薄膜の下地層として利用可能なSiGe仮想基板に水素を導入し、その局在化で生じる面状のプレイトレット欠陥を観察することで、歪みを有する半導体ヘテロ構造における局在水素機能の検証を行った。

実験 / Experimental

【利用した主な装置】 分析電子顕微鏡(JEM-2100plus、JEM-ARM 200F Cold)、集束イオンビーム加工装置(FB-2100)、試料作製装置群
【実験方法】シリコン同位体Si-28薄膜の下地層として、傾斜組成層を有するSi0.87 Ge0.13 /Siヘテロ構造に対して、水素プラズマ照射で局在水素を導入し、断面薄片化したのち、高分解能TEMで転位構造の局所観察を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig.1(a)は、水素導入を行った後のSi0.87 Ge0.13 /Si構造内部に生じた水素プレイトレットの断面TEM像である。局在化して加圧状態にある水素が周囲の結晶格子を変位させることに起因する明瞭なcoffee beans型の干渉パターンが観察され、これは分子状態での水素局在化を示唆する顕微ラマン分光の結果とも一致する。内圧により生じる結晶変位場を仮定し、透過波と回折波の動力学的回折を基に計算した結果をFig.1(b)に示す。実験的に得られる断面TEM像のフリンジの周期性を良く再現できることが分かり、3.9GPa程度の内圧がかかっていると推察される。この局在化した水素は400℃以上の熱処理により脱離し、残存した空孔がクラスター化することでEnd-of-Range型の転位ループに置換されることが明らかとなった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1: (a) Cross-sectional TEM image of hydrogen platelets in Si0.87Ge0.13 buffer layers grown on Si substrate. (b) Calculated interference pattern of transmitted and diffracted waves, which is simulated based on the assumption of crystalline displacement fields created around hydrogen platelets.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・本課題は、MEXT-QLEAP(JPMXS0118069228)、JSPS科研費(JP20H00303,JP21H01808)の助成を受けました。また、山本悠太技術職員(名古屋大学)、樋口公孝技術職員(名古屋大学)に支援を頂きました。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Keisuke Fukuda, Epitaxial growth of SiGe films by annealing Al–Ge alloyed pastes on Si substrate, Scientific Reports, 12, (2022).
    DOI: 10.1038/s41598-022-19122-7
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. M. Kano, S. Miyamoto, Y. Kurokawa, and N. Usami, The 22nd International Vacuum Congress (IVC-22), September 11-16, 2022.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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