【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.11.30】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22NU0077
利用課題名 / Title
透過型電子顕微鏡を用いた固体触媒のナノ構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
単原子触媒, CO酸化, 担体効果, 局所構造,電子顕微鏡/Electron microscopy,電子分光
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
薩摩 篤
所属名 / Affiliation
名古屋大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
永田 武史,織田 晃,壱橋里沙,沢邊恭一
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
山本悠太
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NU-102:高分解能電子状態計測走査透過型電子顕微鏡システム
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
低温CO酸化触媒は自動車のコールドスタート時の排ガス浄化や空気改質などに利用される.PtはCO酸化に有効な元素の一つであるが,低温においてはCO吸着由来の被毒を受けるため,室温以下でCOを酸化するPt触媒はほとんどない.一方,2011年に室温(27℃)において,0.435molCO/h/gPt の高い反応速度でCOを酸化するFeOx担持Pt単原子触媒(Pt1/FeOx)が報告された(B.Qiao,et al.,Nat.Chem.3(2011)634-641).
FeOx担体上で固定された酸化状態のPt単原子は,COとの親和性が低く,CO被毒を受けにくい. また触媒担体からの酸素放出によってもCO酸化は有利に進行する.
本研究では, 低温CO酸化反応に対して高い触媒作用を示すPt1 -MnO2 触媒を設計した.PtO2 は,容易に酸素を放出するβ型MnO2 と同じルチル型構造をとりうる.MnO2 担体表面のMn4+ 欠陥サイトが,Pt単原子をPt4+ として固定し,Pt1 -MnO2 複合酸化物表面を形成する事が予想された.
実験 / Experimental
Hayashiらの報告(E.Hayashi, et al., J. Am. Chem. Soc. 141 (2019) 890−900)を参考に, β型MnO2 (150 m2 /g) を合成した. これに硝酸Pt水溶液を含浸して, 0.2wt% Pt-MnO2 触媒を得た. CO酸化活性試験は反応ガス (0.3%CO/20%O2 /Ar) を流通下で実施した. STEM像は日本電子JEM-ARM200Fにて測定した。
結果と考察 / Results and Discussion
0.2wt% Pt-MnO2 のSTEM像をFig.1に示す.βMnO2 上で原子状に分散したPt原子が観察された.XPSから得られた74.8eVと78.1eVの2つのピークのエネルギー位置は,βMnO2 上のPtがPt4+ の酸化状態で存在する事を示した.この0.2wt% Pt-MnO2 上のPt局所構造をXAFSにより解析した.Pt–O,Pt–(O)–Mn,Pt–(O–Mn)–Oに帰属される後方散乱が観測された.
0.2wt% Pt-MnO2 上は単原子Ptが酸化状態で固定化されていることが示された.
Pt1 -MnO2 のCO酸化試験の結果を,代表的な文献値と共にTable1に示す.Pt1 -MnO2 はこれまで報告されたPt単原子触媒の中で最も低い0℃でCO酸化活性を示した.また,25℃におけるCO酸化速度は,Pt1 /FeOX と比較して,約1.5倍高いものであった.Pt1 -MnO2 触媒は,高酸化状態のPt単原子を有しており,CO被毒耐性を発現した.
さらに,複合酸化物表面は25℃においてもCO酸化反応に関与するPt-O-Mn活性格子酸素を創出することが示唆された.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1 0.2 wt% Pt-MnO2のSTEM像
Table 1 Pt単原子触媒のCO酸化速度.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Takeshi Nagata, High Pt-mass activity of PtIV1/β-MnO2 surface for low-temperature oxidation of CO under O2-rich conditions, Catalysis Science & Technology, 12, 2749-2754(2022).
DOI: https://doi.org/10.1039/D2CY00677D
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Takehiro Tamura, Enhanced CO oxidation by reversible structural variation of supported Ag nanoparticle catalyst from single to twin by CO treatment, Catalysis Today, 411-412, 113814(2023).
DOI: https://doi.org/10.1016/j.cattod.2022.06.029
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件