利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.25】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22KU0023

利用課題名 / Title

機能性向上を目指した熱電材料中のナノ構造組織の解析

利用した実施機関 / Support Institute

九州大学 / Kyushu Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/Electron microscopy,集束イオンビーム/Focused ion beam


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

奥山 哲也

所属名 / Affiliation

久留米工業高等専門学校 材料システム工学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

工藤 昌輝

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KU-002:収差補正走査/透過電子顕微鏡
KU-003:マイクロカロリーメーター高エネルギー分解能元素分析装置
KU-004:広電圧超高感度原子分解能電子顕微鏡
KU-005:デュアルビームFIB-SEM加工装置
KU-006:直交型FIB-SEM


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

熱電変換材料の一つであるβ- FeSi2(β相)は、母相中にSiを微細析出させることで異方性のある電気伝導率の向上と熱伝導率の低減を図る研究が進められている。本研究では効果的な特性改善に向けたβ相中の析出Siの方位制御の実現を目標に、その基礎データとなるβ相と析出Siの結晶学的方位関係と界面構造を明らかにすることを行った。透過型電子顕微鏡を使った解析を行った結果、β相に対して[100]方向へ一軸伸長するSi析出粒子が確認できた。界面での母相/析出Si間の方位関係は[100]β//[110]Siに近い状態であることが分った。

実験 / Experimental

はじめに、Fe, Si純元素粉末からアーク溶解にてα-Fe2Si5バルク材を作製した後、真空下にて35h@973Kおよび13h@1023Kの熱処理にてSiが微細に析出したβ相(以降β相+Si)を得た。評価ならびに解析は界面化学結合状態についてX線光電子分光法 (XPS) 、界面結晶構造は走査透過型電子顕微鏡 (STEM/TEM) を用いた。

結果と考察 / Results and Discussion

界面化学結合状態についてXPS測定を行ったところ、β相と析出Si界面には酸化物は確認されずFeとSiのみによる結合状態であることが示唆された。β相/Si間の界面を詳細に調査するためSTEM/TEMによる結晶構造解析を行った。図は973K熱処理後のβ相および析出Si二相状態のTEM観察結果である。図(a)には明視野像とβ相の電子回折図形 、図(b) には解析結果をもとに想定されるβ相の結晶構造の2次元投影モデルを示している。図(a)からSiはβ相のa軸方向に沿って一軸方向に伸長したロッド状形態として析出Siすることが分った。熱処理温度1023Kでの試料についても調査したところ、同様にβ相のa軸方向へ伸長していたが、直径が太く長さが短い矩形の析出Siであった。β相の単結晶試料において熱電変換特性を調査したところ、a軸方向においてゼーベック係数が比較的高くなっていた。今回のSiを微細析出した物質においては熱処理温度に応じた違いが生じていたことから、β相のゼーベック係数の異方性を活用したa軸方向へ沿った微細Siの析出制御により熱電特性の向上が期待できるのではないかということが分った。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図 β相/Si @973Kの界面状態 (a) BFI (Diff), (b) β相の2次元投影


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究の一部は、本事業である文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ事業の他、JSPS科研費 JP22K04811ならびに物質・デバイス領域共同研究拠点(課題番号20221113)の助成を受けて実施されました。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 矢野優葵, 奥山哲也他,“Si複合化によるβ-FeSi2の熱電特性改善と接合界面解析”第28回高専シンポジウム in Yonago(島根),令和5年1月28日
  2. 矢野優葵, 奥山哲也他,“熱電変換材料β-FeSi2/Si間の結晶構造解析と界面結合状態評価”第64回日本顕微鏡学会九州支部・学術講演会,令和4年12月17日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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