【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.25】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22UT1094
利用課題名 / Title
第一原理計算とX線光電子分光法による金属/絶縁ポリマー界面のバンドアラインメントの解明
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
計算科学,シミュレーション、XPS<,電子分光,ナノエレクトロニクスデバイス/ Nanoelectronics device,原子薄膜/ Atomic thin film
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
片瀬 大祐
所属名 / Affiliation
東京大学工学部電気電子工学科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NM-607:スパッタ装置 [CFS-4EP-LL #3]
UT-700:4インチ高真空EB蒸着装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
X線光電子分光法(XPS)によって金属から絶縁ポリマーへの正孔注入障壁を測定し,この測定結果と第一原理計算から得られた正孔注入障壁の解析結果を比較し,金属/絶縁ポリマー界面の電子準位接続(バンドアラインメント)の決定機構について考察した。金とポリイミド,金とポリプロピレンの界面のそれぞれについて正孔注入障壁の測定を行い,極性基や共役系の有無がバンドアラインメントに影響を与えるかなどについて検討した。また,成膜手法の違いによって金属/ポリマー界面のバンドアラインメントに変化が生じるかについても調査した。
実験 / Experimental
金属/絶縁ポリマー界面をXPSによって測定するため,厚さ4 nm程度のAu薄膜をポリマーフィルム上に製膜した試料を作製した。XPSは非常に表面敏感な測定手法であるため,Au膜厚を数nm程度に制御する必要がある。このため本研究では,スパッタリング装置CFS-4EP-LL i-Millerを用いてAu薄膜を作製した。また,CFS-4EP-LL i-Miller はArスパッタという手法でAu層を成膜する。これに対し,NSP Ⅱは電子銃蒸着という手法によってAu膜を作製する。この成膜法の差によって,Auと絶縁ポリマーの界面状態が異なる可能性が考えられた。そこでNSP ⅡによってもPTFEフィルム上にAu層の成膜を行った。作製した試料の概観をFig. 1に示す。このようにして作製した試料について,自機関が所有しているXPSによってAu/ポリマー界面の正孔注入障壁の測定を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
XPSによってAu/絶縁ポリマーの正孔注入障壁の測定を行い,これと並行して第一原理計算による界面のバンドアラインメントの解析を行った。それぞれ得られた結果を比較することによって,共役系や極性基の有無に依らず,界面におけるバンドアラインメントは金属とポリマーの真空準位が一致するように決定されることが示唆された。この成果は学会発表等で公開済みである。対して,CFS-4EP-LL i-Miller と NSP-IIの成膜法の違いが正孔注入障壁に大きく影響を与えるか検討するにはまだ実験結果が不足しており,成果は未発表である。今後PTFE以外の絶縁ポリマーについても各サンプルについて正孔注入障壁の比較を行い,それぞれの装置の成膜法がAu/絶縁ポリマー界面の電荷注入特性にどのように影響を与えるのか考察を行う予定である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1. Schematic diagram of samples prepared with CFS-4EP-LL i-Miller and NSP II for this study. Thin Au layer (around 4 nm thick) was deposited so that XPS measurement of the Au/polymer interface.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 片瀬大祐,鈴木遥登,好永るり佳,小林正起,熊田亜紀子,佐藤正寛,”第一原理計算とX線光電子分光法による金電極/ポリイミド界面のバンドアラインメントの解明” 第53回電気電子誘電絶縁材料システムシンポジウム,令和4年9月5日
- 片瀬大祐,鈴木遥登,好永るり佳,小林正起,熊田亜紀子,佐藤正寛,”Au/ポリプロピレン,Au/ポリイミド界面のバンドアラインメントの解明” 令和4年放電学会年次大会,令和4年12月2日
- 片瀬大祐,鈴木遥登,好永るり佳,小林正起,熊田亜紀子,佐藤正寛,”Au/ポリプロピレン,Au/ポリイミド界面のバンドアラインメントの解明” 令和4年放電学会若手セミナー,令和4年12月3日
- 片瀬大祐,鈴木遥登,好永るり佳,小林正起,熊田亜紀子,佐藤正寛,”金属/絶縁ポリマー界面のバンドアラインメントに対する双極子モーメントの影響” 令和5年電気学会全国大会,令和5年3月15日
- 片瀬大祐,鈴木遥登,好永るり佳,小林正起,熊田亜紀子,佐藤正寛,”Au/ポリプロピレン界面,Au/ポリイミド界面のバンドアラインメントの解明” 電気学会論文誌A, vol. 143, no. 5 (掲載決定)
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件