【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.26】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22UT1036
利用課題名 / Title
安定的自立型窒化シリコンナノ薄膜加工プロセスの構築
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed
キーワード / Keywords
光学顕微鏡/Optical microscopy,電子顕微鏡/Electron microscopy,MEMSデバイス/ MEMS device,原子薄膜/ Atomic thin film
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
山崎 洋人
所属名 / Affiliation
東京大学大学院理学系研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
江刺家恵子
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-504:光リソグラフィ装置MA-6
UT-603:汎用高品位ICPエッチング装置
UT-850:形状・膜厚・電気特性評価装置群
UT-800:クリーンドラフト潤沢超純水付
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
半導体ナノ薄膜は、ナノスケールサイズの生体分子を検知し、これを調べる上で、必要不可欠な基板材料である。そのため、本研究グループでは、東京大学武田先端知スーパークリーンルームのマイクロパターニング装置・ナノエッチング加工装置を利用して、ウエハスケールでの安定的な自立型窒化シリコンナノ薄膜の作製を試みた。
実験 / Experimental
本研究では、ラベルフリーで生体分子検出可能な窒化シリコンナノ薄膜の加工を実施した。本年度は、膜厚50 nm窒化シリコンを膜厚200 µm シリコンウエハ(熱酸化膜 膜厚2.5 µm付き)に成膜したものをNTTアドバンス社から調達した。これにフォトレジストを用いてマイクロサイズのパターニングし、ドライエッチング・ウェットエッチングを実施することで、自立型ナノ薄膜を加工した。まず、窒化シリコンナノ薄膜付きシリコンウエハを有機溶媒洗浄した。これをアニーリング後、スピンコーター(回転数:2000rpm)で膜厚5 µm 程度のフォトレジスト(AZP-4620)を製膜した。成膜後、MA6 マスクアライナーにフォトマスクをセットして、UV照射によるパターン描画を行った。これを現像液に漬けることで、チップパターンを作製した。フォトレジストパターン付きシリコンウエハをCE-300 ICP-RIEを用いて、CHF3ガス条件下でプラズマエッチングを行い、チップパターンに沿って、窒化シリコン、自然酸化膜を除去した。その後、このウエハを水酸化カリウム溶媒でウエットエッチングし、窒化シリコンが除去された領域のシリコンを異方性エッチングで除去する。最後に自然酸化膜をウェットエッチング(フッ化水素酸エッチング)で除去することで、窒化シリコンナノ薄膜を加工した(Fig. 1)。
結果と考察 / Results and Discussion
フォトレジスト成膜後、MA6 マスクアライナー・アルカリドラフトを利用して、露光・現像液処理でパターンを作製し、これに対してドライエッチング(CE-300I ICP-RIE)を行い、有機溶媒(アセトン・イソプロパノール)でフォトレジスト残膜を取り除いた。Fig.2にウエハの写真を示す。ウエハ全体にチップパターンが概ね9割以上と、高い精度での加工できた。ドライエッチング後、東京大学理学部 環境学科酸処理室にて、約70oCの水酸化カリウム溶媒に大よそ一晩漬け込み、シリコンを除去し、武田先端知スーパークリーンルームの酸ドラフトを利用して、フッ化水素酸によるウエットエッチングを2~3分ほど行い、シリコン自然酸化膜を除去することで、Fig. 2に示すような窒化シリコンナノ薄膜の加工をウエハスケールで実現することができた。Fig.3に正立顕微鏡(武田先端知スーパークリーンルーム・レーザー顕微鏡 LEXT OLS5000及び、自前の正立顕微鏡)による観察像を示す。光学像より、概ね~100µm四方の膜厚50 nmの自立型窒化シリコンナノ薄膜がわかった。また、一部の領域において、マイクロサイズの白い突起物が観察された。先行研究において、島岡らの報告によると、窒化シリコンとフッ化水素酸が以下のような化学反応が生じ、この生成物がアニーリングで除去できることが示されている[1]。Si3N4 + 16HF → 2(NH4)2[SiF6] + SiF4。そこで、本研究でも、イナートガスオーブン(光洋サーモシステム INH-9CD)を用いて、窒素雰囲気下で600oC 2時間のアニーリング処理を行った。アニーリング後、正立顕微鏡を用いて、表面状態を観察した。観察像をFig. 4に示す。観察像から、アニーリング後でも、白い突起物が見られたことから、これはSiF4とは異なる組成の生成物であることが示唆された。今後、SEMなどを用いた元素解析を行うことで、生成物の組成を確かめ、突起物の除去方法を検討したい。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 Fabricatioin process
Fig.2 Wafer after wet etching
Fig.3 SiN chip before annealing
Fig.4 SiN chip after annealing
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献[1] 島岡 敬一, 船橋 博文, 光嶋 康一, フッ化水素ガス処理によるシリコン窒化膜の反応特性, 電気学会論文誌E(センサ・マイクロマシン部門誌), 2006, 126 巻, 9 号, p. 516-521.
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- H. Yamazaki, S. Uemura, High resolution single molecular sensing using solid-state nanopores with photothermal heating, 第21回東京大学生命科学シンポジウム
- H. Yamazaki, S. Uemura, Protein Unfolding Dynamics during Translocation through a Solid-state Nanopore, 第60回日本生物物理学会年会
- H. Yamazaki, Light Enhanced Solid-state Nanopore for Single Molecule Sensing, 第60回日本生物物理学会年会(招待講演)
- H. Hikaru, H. Yamazaki, R. Iizuka, R. Hirano, T. Kujirai, H. Kurumizaka, S. Uemura, A study on the structural dynamics of the nucleosome containing H2A.B using solid-state nanopores, 第60回日本生物物理学会年会
- T. Uchida, H. Yamazaki, R. Iizuka, S. Uemura, Development of a single-particle inclusions detection method by solid-state nanopore for miRNA in single exosome detection, 第60回日本生物物理学会年会
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件