【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.24】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22UT1007
利用課題名 / Title
グレースケールリソグラフィを利用した尖塔構造を持つエミッタアレイの作製
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
エレクトロスプレースラスタ,イオン液体,リソグラフィ/Lithography,膜加工・エッチング/Film processing and Etching
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
鷹尾 祥典
所属名 / Affiliation
横浜国立大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
松川 晃己,青木 里奈
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-505:レーザー直接描画装置 DWL66+2018
UT-604:高速シリコン深掘りエッチング装置
UT-850:形状・膜厚・電気特性評価装置群
UT-900:ステルスダイサー
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
微細かつ高精度な推力制御が求められるミッションに用いる推進機として、エレクトロスプレースラスタが注目されている。この推進機は表面に多数のエミッタを有するエミッタチップと対向するエクストラクタ電極から構成される。両電極間に数kVの電圧を印加することでエミッタ先端に電界集中を発生させ、エミッタ先端部のイオン液体からイオンを抽出し、静電的に加速し排気することで推力を得る。精密な推力制御を行うためには、一様な形状を持つエミッタアレイから、安定した電流の引き出しが求められる。本研究ではエミッタ先端へのイオン液体輸送改善のための溝の付いた構造のエミッタを、グレースケールリソグラフィを利用することによりエミッタ先端部以外で電界集中が発生しないような形状としてシリコンウエハ上に均一に作製することを目的とした.
実験 / Experimental
レーザー直接描画装置(DWL66+)により4インチシリコンウエハ表面に塗布したフォトレジストのグレースケールリソグラフィを行う。現像後、レジストの様子をレーザー顕微鏡(LEXT OLS5000)で観察する。このレジストをエッチングマスクとして高速シリコン深堀りエッチング装置(MUC-21 ASE-Pegasus)を利用しBoschプロセスによる異方性エッチングを行う。溝付き構造のエミッタとするため、Fig. 1(a)が示すようにエッチングマスクは星形の錐とする。レジストを削りながらシリコンをエッチングすることで、マスク形状をシリコンに転写する。レジストが消失するまでエッチングを行う。エミッタ作製後、ステルスダイサー(DFL 7340)を利用し、ウエハからエミッタチップへの切り出しを行う。
結果と考察 / Results and Discussion
Fig. 1(a) にエッチングマスクの形状、Fig. 1(b) に現像後のレジストをレーザー顕微鏡で観察した様子、Fig. 1(c) にグレースケールリソグラフィを利用して作製したエミッタのSEM画像,Fig. 1(d) に等方性エッチングと異方性エッチングを組み合わせて作製した従来のエミッタのSEM画像を示す.グレースケールリソグラフィを利用することで、エミッタ先端からエミッタ側面の突起までの距離が長くなっていることがわかる。しかし、エッチング開始直後はレジストのエッチングが進んでいないため、エミッタは完全なコーン形状ではなく、エミッタ側面の突起付近に電界集中が発生してしまうと考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1. (a) Schematic of the etching mask. (b) The etching mask observed by the laser microscope. SEM images of (c) the emitter using grayscale lithography and (d) our conventional emitter.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究成果の一部はJSPS科研費JP21H01530、キヤノン財団、JST創発的研究支援事業JPMJFR2129、JAXA戦略的開発研究費(工学)による助成を受けたものです。SEM観察は横浜国立大学機器分析評価センターにて実施されました。東京大学武田先端知スーパークリーンルームの藤原誠様、水島彩子様、技術スタッフの皆様に感謝致します。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- Fumiya Tachibana (YNU), Toshiyuki Tsuchiya (Kyoto Univ.), and Yoshinori Takao (YNU),Fabrication and Performance Characterization of an Ionic Liquid Electrospray Thruster with a Grooved Needle Emitter Shape,37th International Electric Propulsion Conference,Massachusetts Institute of Technology, Boston, MA, USA,2022/06/20
- Koki Matsukawa, Hirohide Katsuta, Yuiko Nakashima, and Yoshinori Takao (YNU),Ionic Liquid Electrospray Ion Sources with Grooved Needle Emitters for Precise Thrust Control,The 22nd International Vacuum Congress,Sapporo Convention Center, Sapporo, Japan,2022/09/14
- Yoshinori Takao (YNU), Masayoshi Nagao (AIST), Toshiyuki Tsuchiya (Kyoto Univ), Ryudo Tsukizaki (JAXA),Ionic Liquid Electrospray Thrusters with Different Types of Emitter Structures,The 11th Asian Joint Conference on Propulsion and Power,2023/03/17
- 松川晃己, 鷹尾祥典(横国大),溝付きエミッタ構造を持つエレクトロスプレースラスタの作製とイオンビーム特性評価,第66回宇宙科学技術連合講演会, 2022/11/02
- 松川晃己, 鷹尾祥典(横国大), 溝付きエミッタ構造を持つエレクトロスプレースラスタのイオンビーム特性評価,令和4年度 宇宙輸送シンポジウム,2023/01/13
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件