利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2024.07.03】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22QS0109

利用課題名 / Title

深さ分解手法を用いた方向性電磁鋼板の内部磁区構造調査

利用した実施機関 / Support Institute

量子科学技術研究開発機構 / QST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

変圧器,電磁鋼板,X線磁気円偏光発光,放射光/Synchrotron radiation,パワーエレクトロニクス/ Power electronics,パワーエレクトロニクス/ Power electronics


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

中田 崇寛

所属名 / Affiliation

JFEテクノリサーチ株式会社

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

高橋真,阪口友唯

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

稲見俊哉,菅原健人

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

QS-112:共鳴非弾性X線散乱装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

方向性電磁鋼板の磁気特性は磁区構造に強く影響されるため、磁区構造の可視化および局所的な磁化状態の定量化は必要不可欠な技術である。これまでに磁気Kerr効果顕微鏡やローレンツ走査電子顕微鏡等による磁区観察が精力的に研究されてきたが、製品に必須となる被膜が付加された状態での内部磁区構造の報告例はなく、表面から数μmの磁区観察に限られるのが現状である。本研究では、X線磁気円偏光発光と2結晶分光器を用い、方向性電磁鋼板の磁区細分化処理近傍における内部磁区の準静的磁場変化挙動を明らかにすることを目的とする。

実験 / Experimental

【利用した装置】:共鳴非弾性X線散乱装置
【実験方法】
実験は大型放射光施設SPring-8のBL11XUにおいて方向性電磁鋼板(磁区細分化材)を用いて行った。入射X線エネルギーは必要な侵入長を考慮し26 keVとし、直径約13 μmまで集光したのち試料に入射した。試料から散乱された蛍光X線はミラーで収集・平行化し、ダイヤモンド移相子(111)で円偏光と直線偏光の相互変換を行い、Ge(400)の直線偏光子で偏光解析すると同時にエネルギー分析を行って検出した。測定する元素および蛍光線は、Fe 1(6.4055 keV)を選び、移相子による移相量が+π/2と-π/2の条件で測定し、反転比から磁化の大きさを評価した。試料への磁場印加は電磁石磁化器を用いて、一度5 kA/mまで印加し、その後磁場印加方向を逆転させ所定の磁場に固定し、2結晶分光器を用いた深さ分解手法を適用することにより図1に示すような板厚方向断面の磁区像の取得を目指した。

結果と考察 / Results and Discussion

本実験では、方向性電磁鋼板の磁区細分化処理近傍において深さ分解測定を行い、板厚方向の磁区像取得を目指したものの、ビームライントラブル(分光器冷却装置不調)で1日分のビームタイムを失い、測定までには至らなかった。今後は再度本実験を試み、方向性電磁鋼板の磁区細分化処理近傍における内部磁区の準静的磁場変化挙動を明らかにしていく。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 深さ分解測定による板厚方向断面の磁区像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

量子科学技術研究開発機構の稲見俊哉氏、菅原健人氏、綿貫徹氏には共同研究者として、多大な支援をして頂きました。
菅原健人、稲見俊哉、中田崇寛、阪口友唯、高橋真、”X線磁気円偏光発光を用いた3次元磁気顕微鏡の開発”、第37回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム(姫路)、令和6年1月11日


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Toshiya Inami, Observation of Buried Magnetic Domains in Grain-Oriented Electrical Steel, IEEE Transactions on Magnetics, 59, 1-6(2023).
    DOI: 10.1109/TMAG.2023.3237939
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 中田崇寛, 阪口友唯, 高橋真, 菅原健人, 稲見俊哉, “X線磁気円偏光発光を用いた方向性電磁鋼板の磁区観察” 日本金属学会2022年秋期講演大会, 令和4年9月22日.
  2. 稲見俊哉, 菅原健人, 中田崇寛, 阪口友唯, 高橋真, “X線磁気円偏光発光顕微鏡を用いた方向性電磁鋼板のtransverse磁区の観察” 第46回日本磁気学会学術講演会, 令和4年9月7日.
  3. 稲見俊哉, 菅原健人, 中田崇寛, 阪口友唯, 高橋真, “X 線磁気円偏光発光を用いた方向性電磁鋼板の磁区観察” 第58回X線分析討論会, 令和4年11月11日.
  4. 稲見俊哉、菅原健人、中田崇寛、阪口友唯、高橋真、”X線磁気円偏光発行顕微鏡による方向性電磁鋼板の磁区の深さ分解測定”、日本金属学会 2024 年春期(第174回)講演大会(東京)、令和6年3月14日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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