【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.29】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22AT0417
利用課題名 / Title
ナノカーボン薄膜電極の表面状態の観察
利用した実施機関 / Support Institute
産業技術総合研究所 / AIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
ナノカーボン薄膜電極,酸素官能基,亜鉛イオン,EDS分析
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
加藤 大
所属名 / Affiliation
産業技術総合研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
電気化学的手法による化学物質検出において、電極の表面設計は非常に重要である。報告者らは開発中の超平坦性ナノカーボン薄膜電極表面を用いた重金属イオンの検出に取り組んできた。これまでに、ナノカーボン薄膜表面に酸素官能基が入ると亜鉛イオンの計測性能が低下する現象を見出している1)。本研究では、その性能劣化の要因を調査するため、ナノカーボン薄膜電極表面を走査電子顕微鏡ならびに元素分析を行うことで、本現象の解明を試みた。
実験 / Experimental
実際の亜鉛イオンを検出する際の水溶液(亜鉛イオンを溶解した硫酸アンモニウム緩衝液)に、表面に酸素を導入したナノカーボン薄膜電極を浸漬した後、薄膜表面の水溶液を除去したものを観察試料とし、低真空走査電子顕微鏡【NPF005】を用い、表面堆積物のSEM観察ならびに元素マッピングを行った。
結果と考察 / Results and Discussion
カーボン電極表面のSEM像をFig. 1(a)に示す。表面におよそ100nm程度の粒径を有する堆積物が周期的とも見えるように無数に堆積していることを確認した。このような堆積物は表面酸素を導入していないナノカーボン薄膜上では確認されなかったことから、表面酸素官能基に依存した堆積物であることが示唆された。さらに、この堆積物をEDS分析したところ、堆積物の主な組成としては、S, O, Nが多いことが確認された(Fig. 1(b-d))。また、亜鉛についてもEDS分析を行ったが、今回検討した試料・観察条件(積算時間 2000sec)では、ほとんど観察されなかった。以上の結果から、ナノカーボン薄膜表面に酸素官能基が存在すると、亜鉛イオン計測に用いている緩衝液の電解質成分が表面に堆積していることが明らかとなり、この堆積が亜鉛イオンの検出を妨害している可能性が示唆された。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1. (a) SEM image of the nanocarbon film and its EDS mappings; (b) sulfur, (c) oxygen and (d) nitrogen.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
・今後の課題
観察条件を変えることでより詳細な表面分析を行う。
・参考文献
1) M. Takemoto, et al., Anal. Sci., 37, 865 (2021).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件