利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.30】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22AT0186

利用課題名 / Title

樹脂を含浸した高緻密セラミック膜の断面SEM観察処理

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials

キーワード / Keywords

非鉛強誘電体,BaTiO3(BTO),エポキシ樹脂含浸,BT-SB,BT-01


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

鈴木 宗泰

所属名 / Affiliation

産業技術総合研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-032:クロスセクションポリッシャー(ALD付帯)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 プレス成形体であるMF膜の機械的性質の改善を目的として、非鉛強誘電体のBaTiO3(BTO)のMF膜の成形とその膜へのエポキシ樹脂含浸を検討し、SEMとEDSで確認した。

実験 / Experimental

装置名:【NPF032】クロスセクションポリッシャ(CP)

 平均粒径3 μmのBTO粒子(BT-SB)と平均粒径100 nmのBTO粒子(BT-01)を用いた。SUS箔上にBT-SBとBT-01の重量比が60:40になるように積層塗工した。次に、そのBTO粒子の付着面をAl箔に対向させ、面内方向に超音波を照射しながら1 GPaのプレス荷重をかけることで、BTO粒子をAl箔へ転写した。この転写の工程を18回繰り返すことでBTO-MF膜を成形した。液状エポキシ樹脂を真空中で含浸させて50℃で架橋し、エポキシ樹脂含侵BTO-MF膜を作製し、CPを活用して断面SEM観察用試料を作製した。

結果と考察 / Results and Discussion

 エポキシ樹脂含浸後のBTO-MF膜の相対密度は90.1%であった。その膜の断面SEM像及びEDSによるC、Ti、Al、O元素マッピング像との合成によって着色された断面SEM像をFig. 1に示す。樹脂含浸前のBTO-MF膜はバインダーを含まないことから、Cの元素マッピング像の濃淡はエポキシ樹脂に由来する。従って、一部を着色した広域断面SEM像は、過不足無くエポキシ樹脂が含浸されていることを示しており、着色した拡大断面SEM像から、その樹脂はBTO/Al界面まで達していることが確認された。これまでの樹脂を含まないBTO-MF膜はスクラッチテストで圧粉体と同様に脆く崩れるが、エポキシ樹脂を含浸したBTO-MF膜はAl箔から剥離しないことから、適切な樹脂含浸でMF膜の機械的性質が劇的に改善することが明らかとなった。この樹脂含浸した膜に140 kV/cmの直流電界を印加した際のリーク電流(J)は1.1×10-6 A/cm2であり、5.4 μC/cm2の残留分極(Pr)と68 kV/cmの抗電界(Ec)の強誘電性を示した。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1 Cross-sectional SEM images colored by elemental mapping images of C, Ti, Al and O by EDS for BTO-MF film with relative density of 90.1 %.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

関連発表:
松永航輝, 鈴木宗泰, 銘苅春隆, 早瀬仁則, “MF法による高緻密BaTiO3膜作製に向けた粒子形状の最適化”, 第69回応用物理学会春季学術講演会(オンライン), 2022/03/26.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 鈴木 宗泰,銘苅 春隆,土屋 哲男,明渡 純, "Enhanced polarization property of PZT produced by press forming", The 14th Japan-China Symposium on Ferroelectric Materials and Their Applications(ハイブリッド), 2022/12/08
  2. 松永 航輝,鈴木 宗泰,早瀬 仁則,銘苅 春隆, "メガプレスフォーミング法による高密度BaTiO3膜への樹脂含侵とその分極特性", 電子材料技術協会第59回秋季大会(東京), 2022/11/25
  3. 鈴木 宗泰,松永 航輝,中嶋 香奈子,金澤 周介,小林 吉之,銘苅 春隆,森田 剛,早瀬 仁則,土屋 哲男,牛島 洋史,明渡 純,持丸 正明, "無焼結セラミックスの研究開発とその後の展開", 第42回電子材料研究討論会(横浜), 2022/11/10
  4. 鈴木 宗泰, "エネルギー貯蔵デバイス作製に向けたコーティングプロセス技術", 東京理科大学 横断型コース エネルギー・環境コース 「2022年度ポスターコンペティション」(野田), 2022/08/26
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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