利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22AT0049

利用課題名 / Title

高純度オゾンを用いたALD Al2O3膜および SiO2膜の特性評価

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

原子層堆積(ALD),高純度オゾンガス, ビスジエチルアミノシラン(BDEAS),トリメチルアルミニウム(TMA)


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

亀田 直人

所属名 / Affiliation

明電ナノプロセス・イノベーション株式会社

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

萩原 崇之,篠 竜徳,阿部 綾香,元田 総一郎

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-023:電子ビーム真空蒸着装置
AT-052:デバイス容量評価装置
AT-063:分光エリプソメータ
AT-099:サムコ原子層堆積装置_2[AD-100LP]


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 半導体デバイスの高集積化に伴う金属酸化物薄膜の精密な膜厚制御と成膜プロセスの低温化の要求に対し原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法が注目されている。ALDの酸化源は水およびオゾンおよびプラズマ等幾つかある。高純度オゾンガス酸化源(~100vol%)としたALDは報告例が少なく、また他の酸化種を用いた場合と同一ALD炉を用いて比較したものが存在しない。
 我々は、高純度オゾンガス(~100vol%)および酸素プラズマにより同一炉にてALDを実施しAl2O3膜および SiO2膜の特性評価を行った。

実験 / Experimental

【利用した主な装置】
【NPF023】電子ビーム真空蒸着装置
【NPF052】デバイス容量評価装置
【NPF063】分光エリプソメータ
【NPF099】サムコ原子層堆積装置_2[AD-100LP]
【NPF105】ピュアオゾン供給装置 

【実験方法】
 酸化ガスとして高純度オゾンガスまたは誘導結合式ICPプラズマ(ダウンフロー型、リモート型)を用いおよび原料ガスとしてビスジエチルアミノシラン(BDEAS)を使用しSiO2膜を、原料ガスとしてトリメチルアルミニウム (TMA)を使用しAl2O3膜をALD装置により成膜した。原料ガスの供給条件は統一し、酸化ガス供給状況のみを変更した。Siウエハ〈100〉上にSiO2膜もしくはAl2O3膜を30nm程度成膜後、分光エリプソメータにより光学膜厚およびALDサイクル数によりGPCを求め、Siウエハ〈100〉上にSiO2膜もしくはAl2O3膜を60nm程度成膜後、分光エリプソメータにより光学膜厚を測定し、Siウエハの反りを薄膜応力測定装置(FLX-2000-A)よりSiO2膜応力を求めた。
 Al2O3膜(約30nm)について、Si基板上に成膜したサンプルを分光エリプソメータ計測により光学膜厚取得およびSi基板表面にRuを蒸着した基板上へのAl2O3膜およびAu電極蒸着によるMIMキャパシタ形成後、C-V測定により飽和容量を用いて誘電率を評価した。C-V測定での電圧周波数は100kHzである。Auの電極面積はφ500 µmである。

結果と考察 / Results and Discussion

 Fig. 1に基板温度とSiO2膜のGPCを示す。高純度オゾンALD(PO-ALD)および誘導結合式ICPプラズマのダウンフロー型(DPE-ALD)および誘導結合式ICPプラズマのリモート型(RPE-ALD)を用いた。PO-ALDのGPCは温度上昇に対して上昇し、200℃以上でほぼ一定となる。一方でRPE-ALDとDPE-ALDは温度上昇に対して減少また両者でのGPCの違いはほぼ無い。PO-ALDは酸化源の反応律速でGPCが決まり、一方DPE-ALDとRPE-ALDは、原料ガスの吸着量でGPCが決まるためと思われる。以上酸化源のGPCに対する違いが明らかになった。
 Fig. 2に基板温度とSiO2膜の膜応力を示す。高純度オゾンALD(PO-ALD)および誘導結合式ICPプラズマのダウンフロー型(DPE-ALD)および誘導結合式ICPプラズマのリモート型(RPE-ALD)を用いた。いずれも膜応力は圧縮応力(成膜面を上面にして上に凸の反り)であった。PO-ALDの膜応力は温度上昇に対して絶対値が減少しているのに対し、RPE-ALDとDPE-ALDは温度上昇に対して膜応力は増加している。また、DPE-ALDはより膜応力の絶対値が大きいことから、膜応力はプラズマ照射のパワーで変化すると思われる。以上、酸化源の膜応力に対する違いが明らかになった。
 Fig. 3に基板温度とAl2O3膜のGPCを示す。高純度オゾンALD(PO-ALD)および誘導結合式ICPプラズマのダウンフロー型(DPE-ALD)および誘導結合式ICPプラズマのリモート型(RPE-ALD)および水(H2O-ALD)を用いた。H2O-ALDのGPCは温度上昇に対して上昇する。一方でPO-ALDとRPE-ALDとDPE-ALDは温度上昇に対して減少またGPCの違いがほとんどない。H2O-ALDは酸化源の反応律速でGPCが決まり、一方PO-ALDとDPE-ALDとRPE-ALDは、原料ガスの吸着量でGPCが決まるためと思われる。以上酸化源のGPCに対する違いが明らかになった。
 Fig. 4に基板温度とAl2O3膜の膜応力を示す。高純度オゾンALD(PO-ALD)および誘導結合式ICPプラズマのダウンフロー型(DPE-ALD)および誘導結合式ICPプラズマのリモート型(RPE-ALD)および水(H2O-ALD)を用いた。いずれも膜応力は引張応力(成膜面を上面にして下に凸の反り)であり、100-200℃間に膜応力が最大値となり、200℃以上では温度上昇に伴い膜応力は減少した。また、成膜温度50℃ではPO-ALDの膜応力が最も低い膜応力となる。成膜温度200℃以上において、DPE-ALDの膜応力が小さくなることから、膜応力はプラズマ照射のパワーで変化すると思われる。以上、酸化源のAl2O3膜応力に対する違いが明らかになった。
 Fig. 5に基板温度と比誘電率kの関係を示す。高純度オゾンALD(PO-ALD)の基板温度上昇にともないkは上昇し200℃以上では9.1程度となる。参考に酸化源をプラズマ(PE-ALD)および水(TH-ALD)での文献報告例をそれぞれプロットした。200℃以上の基板温度でPE-ALDおよびTH-ALDのkと同程度になる。以上により、PO-ALDでもhigh-K膜として高い比誘電率の成膜できることを確認できた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Substrate temperature dependence of GPC of ALD SiO2 film.



Fig. 2  Substrate temperature dependence of film stress of ALD SiO2 film.



Fig. 3  Substrate temperature dependence of GPC of ALD Al2O3 film.



Fig. 4  Substrate temperature dependence of film stress of ALD Al2O3 film.



Fig. 5  Growth temperature dependence of dielectric constant of ALD Al2O3 film.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・共同研究者:産総研 野中秀彦様・中村健様


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 亀田直人, "酸化源として酸素プラズマまたは水に対する高純度オゾンALDの特徴", 第1回ARIM量子・電子マテリアル領域セミナー(オンライン), 2022年12月22日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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