【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.16】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22UT0331
利用課題名 / Title
遺伝子・制がん剤のDDS
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/Electron microscopy,DDSマテリアル/ DDS material
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
山崎 裕一
所属名 / Affiliation
東京大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
宮本隼也
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
寺西亮佑
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-011:有機材料ハイコントラスト透過型電子顕微鏡
UT-005:原子分解能元素マッピング構造解析装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
遺伝子のDDSでは、オリゴリシンペプチドを主とするPEG化ペプチドと、ルシフェレース遺伝子をコードするプラスミドDNA(pDNA)との複合体(PEG化ペプチド/pDNA)を人工遺伝子ベクターとして、複合体の構造を透過電顕により観察し、その構造と遺伝子発現能などとの関連を探ることを目的とした。制がん剤のDDSでは、カテコール(CA)基を導入したポリビニルピロリドン(PVP-CA)と白金錯体制がん剤であるシスプラチン(CDDP)との間で、CDDPの塩素イオン配位子とCA基との配位子交換反応による錯化合物形成を利用して、PVP-CA/CDDP錯化合物複合体を調製し、制がん剤DDSに資する性能を有するか検討を行っており、透過電顕観察及び元素マッピングを試みた。
実験 / Experimental
遺伝子のDDSでは、人工遺伝子ベクターであるPEG化ペプチド/pDNA複合体を、pDNA溶液に対しPEG化ペプチド溶液を電荷比2.0で混合することで調製し、カーボン支持膜付きのグリッドに試料溶液 2μLを滴下し、酢酸ウラン溶液にてネガティブ染色を施し、Bio-TEM(JEM-1400)にて観察を行った。制がん剤のDDSでは、PVP-CA/CDDP錯化合物複合体を調製し、事前に動的光散乱(DLS)測定を行い、その測定結果に対応する電顕像が得られることを想定し、Bio-TEM(JEM-1400)にて観察を行うと共に、原子分解能元素マッピング構造解析装置(JEM-ARM200F)による解析を試みた。
結果と考察 / Results and Discussion
人工遺伝子ベクターであるPEG化ペプチド/pDNA複合体は、pDNAの全長の1/2、1/4、1/6、1/8などの長軸長を持つロッド状構造として観察され、この結果よりほとんどの複合体が単一鎖のpDNAから構成されることが示唆された。その後に行ったヒト腫瘍由来の株化培養細胞を用いた細胞取り込み量と遺伝子発現能の評価では両者において正の相関が得られ、PEG化ペプチド/pDNA複合体の取り得る凝縮構造と細胞取り込み量との間の関連が認められた[1]。PVP-CA/CDDP錯化合物複合体の事前のDLS測定では、粒径 10 nm 程度と粒径 200 nm 程度の二峰性の粒径分布が得られていた。最初に行ったBio-TEMによる透過電顕観察では、DLS結果に対応するサイズの粒子と共に、CDDP単分子と考えらる像が得られた。続いて行った元素マッピングでは、白金が検出されたものの、試料の経時変化を示唆する像が得られたため、DLSと電顕以外の物理化学的特性解析を導入し、PVP-CA/CDDP錯化合物複合体の状態をより精密に把握し得るようになった上での再検討を予定している。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究の一部は、文部科学省「マテリアル先端リサーチインフラ」事業の支援を受けて行われたものです。東京大学の技術支援スタッフの皆様に感謝申し上げます。引用文献[1] Y. Yamasaki, D. Kumekawa, S. Yamauchi, H. Omuro. Re-examination of peptide-sequence- dependent gene expression of cysteine-installed pegylated oligolysine/DNA complexes. ACS Omega 2022, 7 (18), 15478−15487.
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Yuichi Yamasaki, Re-examination of Peptide-Sequence-Dependent Gene Expression of Cysteine-Installed Pegylated Oligolysine/DNA Complexes, ACS Omega, 7, 15478-15487(2022).
DOI: https://doi.org/10.1021/acsomega.2c00122
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 三浦颯太, 山﨑裕一, “カテプシンB特異的切断配列を導入した PEG 化ペプチドの合成と機能検証”, バイオマテリアル学会(東京), 2022年11月22日.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件